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ちょーちょーちょーいいM&A、金融・財務相談所

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略１１

前号のあらすじクレジットカード決済を導入した「空のカフェ」。顧客満足度を高めるために導入したのですが、予期せずして、キャッシュフローの悪化という事態を招いてしまいました==========================「手元資金がちょっと心もとないですね」財務アドバイザーが言います。「え？どういうことですか？」あなたは聞き返します。財務アドバイザーが言うには、売上規模に比べて、手元の現金の量が若干不足気味、ということでした。安全のために、銀行から運転資金を少し調達したほうがいい、ということになりました。あなたは創業時に400万円を借りましたが、月々の返済は順調です。やっと残高が半分ぐらいになり始めているのに、また借金をするなんていやだなあ、と思いましたが、経営の安定化のためであればやむを得ません。あなたはまた国民金融公庫に融資のお願いに行きます。「運転資金を少しお借りしたいのですが」今回の融資はすぐに決定されました。やはり初年度から黒字経営をして、売上も順調なこと、そして、創業時の借入金を滞りなく返済していることにより、国民金融公庫における「空のカフェ」の信用度があがってきたのです。これで、あなたは500万円の追加融資を受けました。「ふ～、なんだかいろいろと問題が出てくるなー。でも一つ一つ解決していくのはおもしろいな」【2年目終了】無事、2年目の営業も終了しました。また黒字決算が出そうです。しかも、今回は昨年よりもコストコントロールもきちんとできて、売上も当初予想レベルで推移し、非常に安定した1年でした。あなたは1年前を思い出します。そうです、株主に創業支援をしてくれたことに対して配当という形で報いたかったのに、それができなかったことを思い出しています。「今年こそ、配当を！」その思いで今年1年間がんばってきました。決算内容を見て、あなたは財務アドバイザーと相談します。「配当できますかね？」財務アドバイザーはにっこりして、「ええ、可能ですよ。一度株主の方を喜ばせてあげてくださいよ」「やったー！！やっと配当ができるぞ」あなたは天にも昇る気持ちです。【株主総会当日】あなたは上機嫌です。「みんなよろこんでくれるだろうな～」配当支払いを株主に伝えると、あなたの予想通りみんなよろこんでくれました。が、一人だけ浮かない表情の株主がいます。「どうしたの？」「いや、あのさ・・・」浮かないその株主話を聞くと、彼は、「空のカフェ」の株式を売却したいということでした。転勤が決定し、転勤後は新しい生活を始めるために何かとお金が必要だろうし、当分は東京に戻ってこないから、自分の行かないカフェの株を持っていても意味がない、という内容の話でした。「空のカフェ」の経営は順調ですが、あなたは月給20万円しかもらっていません。貯金をする余力はないため、あなたには彼の株式を買い取る手元資金がありません。「どうしよう…」

Oct 1, 2004

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有効な敵対的買収防衛策はありません！

もし、どこかの証券会社、銀行が「有効な敵対的防衛策に関するご提案をお持ちしました」を言ってプレゼンテーションを持ってきたら、その会社を出入り禁止にしてください。どういうことかと言うと「有効な敵対的買収に対する防衛策は存在しません！」そんなことを考えるだけ、時間の無駄です。「え？だってポイズン・ピルとか、いろいろ聞くよ」という人もいるかもしれませんが、もう一度「有効な敵対的買収に対する防衛策は存在しません！」三井住友銀行によるUFJに対する敵対的買収の可能性がある作今、新聞などで敵対的買収に対する防衛策などについて記事が書かれていますが、読むのも無駄です。「防衛」とは誰にとっての防衛なのか。それは大体が経営陣の保守に対する防衛です。株主にとっては自分が保有する株式の会社がよりよく経営されれば経営陣は誰でもいいのです、極論は。したがって敵対的であろうがなんであろうが、株価が上がればいいわけであって、敵対的でも株価を上げる施策がきちんとしていれば株主にとっては魅力的です。何度も言います。「有効な敵対的買収に対する防衛策は存在しません！」世の中に敵対的買収に対する防衛策に見える技は結構存在します。それらをご紹介するだけでも100ページのプレゼンテーションです。でもそれは、その100ページを作成する労力、紙代、印刷代、すべてが無駄です。

Sep 30, 2004

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株式による資金調達について

日経新聞で、昨日から企業財務のページで「資金調達」に関するコラムがあります。非常に分かりやすく、このブログで書いた資本コストなどの話が載っているので、ご一読をお薦めです。数日前の夕刊にも載っていたけど、今年は株式による資金調達が増えているそうです。理由は企業が積極的な投資活動を行うようになっており、その原資として株式による資金調達を行っているというもの。今年、大型の株式発行を行った流通系企業から「財務戦略に関してのアドバイスをいただきたい」と連絡があったのは去年の後半でした。当時、同社は株式発行による資金調達を考えており、それを行っていいものかどうか、迷っていらっしゃいました。私は、現状分析から、適切と思われる資金調達手法まで、一通りご提案させていただきました。資本コスト、格付、株価への影響などを分析し、結果としては、株式による資金調達はタイミング的にも妥当だと思われる、ということでした。もちろん社債などでの資金調達でも良かったが、株式による資金調達が可能なタイミングはあまりないので、その意味で株式による調達のほうが相対的な魅力が高かったのでした。カフェ物語でも書いてますが、株主は非常に敏感です。その意味、株式による資金調達は慎重に行う必要があります。借入金は返済すればまた元に戻りますが、株式発行はその後ずっと企業の財務内容、株主構成に影響を与えます。日経新聞のコラムはそんな株式発行による資金調達の脆弱性、重要性を垣間見るにはいいと思います。

Sep 29, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略１０

前号のあらすじあなたが新規オープンした「空のカフェ」は1年目をめでたく黒字で終了しました。しかし、利益を株主に配当するのではなく、内部留保して翌年以降の成長投資に充当することを株主総会でお願いしました。苦渋の決断でしたが、全株主、最終的には快く了承してくれました==========================「よーし、今期もいい1年にしようぜ！」株主の一人がいいました。「うん、私ももっとたくさん友達連れてくるわ」他の株主も言います。【2年目】あなたが矢継ぎ早に打ったメニューの改善などにより、客数が戻ってきました。あなたはホッと一息です。また夜の酒類メニューを充実させたことにより、夜の客単価があがってきました。そんなある日でした。「あ！！お金を銀行でおろすの忘れたよー」お客様の一人が会計時に言いました。「クレジットカード使える？」「申し訳ございません、当店ではカードのご利用はできませんでして…」結局このお客様はまた後日お金を持って来店されるということになりましたが、あなたは思います。「やはりクレジットカードでもお支払いができるようにして、顧客満足度・利便性を高めた方がいいかなあ」今までも他のお客様からもカードで支払いをしたいと言われたことがありました。あなたは悩みます。「うーん、カードは確かに便利なんだけど、加盟店手数料として5%支払わないといけないので、カード導入によって売上高が5%上昇しないと損することになるんだよなー」あなたは、クレジットカード導入が売上高の上昇につながるかどうか、完全にシュミレーションができていません。が、更なる顧客満足度・利便性向上のためにクレジットカードの導入を決めました。「よーし、これでお客様は満足してくれるだろう！」あなたはレジ前に「クレジットカードでの支払いも可能になりました！！」とデカデカと告知をしました。しばらくするとお客様の何割かがカード支払いをするようになりました。あなたは思いました。「うんうん、みんな満足しているぞ。カード導入は成功だったな！」【2ヵ月後】あなたは月次収支表を精査しています。どうも先月辺りから現金が不足気味なのです。「うーん、どうしたんだろう。売上は順調なのに、現金がなんだか不足している感じがするぞ…」あなたは財務アドバイザーの保田君にまた相談しました。「なぜか現金が不足した感じがするんですよ」「今の支払いサイトは何日ですか？」「支払いサイトって何ですか？」「商品の仕入れの際に、仕入れてから何日後に決済をするかということですよ」「ああ、それならほとんど現金払いで食材などは購入していますよ。ので、ほとんど０日ですね」「なるほど。カードの利用者は全体のお客様の何割ぐらいですか？」「3割ぐらいですかね」現金が不足した感じがするのはカード導入に原因がありました。あなたが導入したカード会社では、カード利用者分の現金を約2ヶ月後に店に支払います。つまり売上が立ってから現金回収までに2ヶ月の期間を要するのです。「なるほど～。じゃ、2ヵ月後には手元の現金額はまた元通りになりますね！」あなたはホッとしました。「いや、それはなりませんよ」「ええ～？！どうして？2ヵ月後には現金回収できるのでしょ？」「ええ、今日の売上は2ヵ月後に回収できますが、今から2ヶ月間もまた3割のお客様がカード支払いを続けると恒常的にこの状態が続きます」「うわ、マジで…？」あなたは月次収支表の現金残高を眺めます。「うーん、ちょっと心もとないなあ」「そうですね、ちょっと心もとないですね。これが売上とキャッシュフローの違いであり、ギャップなんですよ」なるほど。たまに新聞や雑誌で見かける「キャッシュフロー」の概念とはこういうことだったのね。「配当」、に続いてあなたは「キャッシュフロー」の概念を学びます。

Sep 27, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略９

前号までのあらすじあなたはカフェ開業2週間前を迎えました。思い起こせば最初に開業資金調達のために友達9人に対して説明会を開いてから、紆余曲折ありましたがやっと開業です-----------------------【オープン当日】「空のカフェ」がとうとうオープンです。出資してくれた9人が最初のお客様として開店前から店の前に並んでいます。しかも各人が友達を呼んできてくれたので、開店前から既に30人ほどが店の前に並んでいます。「いったい何がオープンするんだ？」と近所の住民も興味しんしんです。初日、「空のカフェ」は48万円の売上がありました。一日当たりの目標売上高は30万円です。それに比べるとスムーズな滑り出しです。【オープン1ヶ月】「空のカフェ」の1ヶ月の売上高が出ました。1,050万円です。目標は月間900万円の売上ですので目標を上回ったことになります。それもこれも最初の出資者である9人が次々と友達を呼んでくれたことにあります。あなたは有頂天です。「やっぱり僕の思い描いていたカフェはみんなに喜ばれるんだ！！」早速あなたは1ヶ月の業績報告を9人の出資者に書きました。そして2ヶ月目以降も更なる躍進を！という思いを新たにしました。【1年後】1年間で、「空のカフェ」は1億1,100万円を売り上げました。当初目標だった1億800万円をわずかですが上回りました。上出来です。9人の出資者も喜んでいます。最終的な利益（純利益）は180万円でした。これは当初の予定の金額である324万円を下回りました。当初の予定よりもさまざまなコストが上積みされたのが原因です。あなたは思いました。「売上が当初予定よりも良かったのは上出来だ。でも、コスト見積もりが甘かったな。やはりいざ始めてみると予想外のコストが出てくるし、もう一度気を引き締めていかないと」そしてあなたは利益の180万円を配当として株主に分配するのではなく、全額内部留保として会社に蓄積し、翌年の支出に充当したいと考えていました。立ち上げ後半年は目標売上を上回っていたものの、後半の半年は目標レベル以下になってしまう月も出てきていました。あなたは新メニュー開発のためにいくつか必要だと思うキッチン用の備品や、予想以上に破損してしまった食器などを買い揃えたいと思っています。あなたは、税理士の先生と1年間の決算を閉めます。そして180万円の純利益の使い道については株主総会で決を採ることになりました。その前にあなたは会社の取締役会で180万円全額を内部留保として蓄積し、翌年以降の更なる成長のための投資に充当することを承認してもらいました。取締役の一人が言いました。「本当は利益のほんの一部でも株主に配当としてお支払いしたいところですが、翌年以降の成長のためには今は1円でも多く成長投資をしたいですね」あなたも全く同じ思いです。9人の出資者のおかげで初年度から黒字にすることができました。彼らはたくさんの友達を店に呼んでくれました。利益を出せたのも彼らのおかげといってもいいかもしれません。でも、来年が本当に勝負の年です。そのためには今回の純利益は投資に充てたいと思っています。株主総会を開きました。正直なところ9人の株主の一部は、利益の一部を配当として受け取ることができると思っていました。もし180万円全額を株主に対して配当として還元する場合は、株式の保有割合に応じて配分されるため、以下のような取り分になります。あなた　180万円X50.2%＝約90万円9人の出資者　180万円X49.8%＝約90万円つまり、9人の友達は一人当たり約10万円の配当を受け取る権利を有することになります。当初の出資額が33万円ですので、利回りは約30%ということになり、これは投資としては大成功です。「利益を配当として還元するのではなく、翌年の投資に充当しないといけない理由を教えてください」株主の一人が言いました。あなたは答えます。年後半の業績が若干落ち込み気味であること、新メニューの開発のためにキッチンの備品を拡充したいことなどなど。正直なところ、株主のみんなが配当が欲しいところです。しかし、翌年以降の更なる成長のために、みんな納得して利益の全額を投資に充当することに納得しました。「人様のお金をもとに、会社を経営するというのは、本当に大変なことだな」あなたは痛感します。と同時に、「みんなのためにも一生懸命がんばって、翌年は必ず配当ができるようにしよう」あなたは、カフェ開業までは全く分からなかった「株主」「配当」ということがやっと分かってきました。

Sep 25, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略８

前号のあらすじあなたのカフェに対して出資をしたい、という友達が6人現れました。いくらをどういう形で出資してもらうか、あなたは財務アドバイザーの保田君に相談します。＝＝＝＝＝＝＝「あ、もしもし、保田さんですか？」あなたはことの成り行きを保田君に説明しました。そして聞きます。「確か前に株式の51％を保有することがメリットがあるといいましたよね？それで私は土壇場になって300円の予定の出資金を301万円にしたのですが、もし6人に出資してもらうと私の持分は51％より低くなりますよね。このデメリットってなんですか？」「会社の経営も多数決で決まる時があるんです。」保田君は説明を始めました。会社の重要な決定事項は株主の多数決によってGoかNo Goを決められることがある。多数決は過半数でいい場合と3分の2の投票を必要とする場合の2パターンあるが、51％を持っていると、過半数の得票でいい議案に関してはあなたが決定権を持つことができる、と説明されました。つまり、「過半数を持っていること＝会社を所有していることに近い」ということです。「なるほど、なるほど。そりゃメリットが大きいなあ。僕が愛情を込めてこの2ヶ月間作り上げてきたカフェだもんなあ。愛着がありすぎて、いまや本当に全部を自分で所有している気分だしなあ」あなたはやはり51％を所有し続けたい、と思いました。では、6人からの出資は断るべきなのか。いや、でも6人はカフェが開業した後の大きなサポーターになってくれる人たちです。できれば快く出資を受け入れておきたいです。「どうしましょう？」あなたは相談します。その結果、当初99万7,000円を出資してくれた3人の出資額を33万円に減らして、9人全員が33万円を出資する形はどうか、ということになりました。あなたは当初出資してくれた3人に話をしました。するとみんな快諾してくれて33万円に減額しました。実はみんな結構無理をして100万円を出してくれていたので、この話は渡りに船でした。これで「空のカフェ」の会社の初期資金構成が決まりました。あなた　301万円友達　299万円　（9人で33万円ずつ出資）国民金融公庫　400万円「ふー」あなたは大きく息をつきます。さあ、あとは開業するだけです！！

Sep 24, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略７

前号までのあらすじあなたはカフェ開業資金1,000万円の調達に奔走しました。自分の貯金101万円、両親から個人的に借りたお金200万円の合計301万円を自分の出資金とし、友人3名から299万円を出資してもらい、600万円の自己資本の都合がつきました。あとは国民金融公庫からの融資400万円が下りればすべて解決です。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ある日、ポストに国民金融公庫から封筒が届きました。分厚さは普通。外見だけでは融資が降りるのかどうか、わかりません。ドキドキしながら中身を空けます。「国民金融公庫にゃんにゃん支店は、400万円を融資することを決定いたしました。」うおー！！やったー！400万円の融資が下りたぞ！夢のようです、これで1,000万円が集まりました。実はあなたは国民金融公庫には600万円の融資をお願いしてありました。それもまた財務アドバイザーのアドバイスに従ったのですが、融資を受けられるとしても減額される可能性が高いので、少し多めに申請するように、と言われていたのです。いやー、しかし、とうとう集まりました。あとは開業目指して一直線です。■2ヵ月後。。。カフェ開業まであと2週間にせまりました。カフェの名前は「空のカフェ」です。空を飛ぶような居心地のいい空間にしたい、という思いでこの名前にしました。実はこの2ヶ月の間は非常に忙しい日々でした。カフェのメニュー決定、内装工事、テーブルや食器などの購入。ホントに大忙しです。徹夜の日も何日かありました。カフェ準備も大変でしたが、財務面でもまた一仕事ありました。当初カフェ開業の説明会に参加してくれた人は9人いました。結局そのうち3人が99万7,000円ずつ出資してくれたのですが、残り6人もカフェ開業が現実のものになるにつれ、「やっぱり私たちも出資したい」と言い出しました。「おおー、それはありがたい話だよー」あなたは手放しで喜びます。みんなにいくらずつぐらい出してもらおうかな、なんて考えていましたが、当初会社を設立したときに財務アドバイザーの保田君がこのように言っていたことを思い出しました。「理由はまた後日詳しく説明しますが、株主資本のうち51％を自分で持つことはメリットがあるので、300万円ではなく、301万円をあなたの出資金にしましょう」このアドバイスを受けて、あなたは1万円増額して301万円分の株式を持っています。600万円の株主資本のうち301万円ですので、正確には51％ではなく50.2％です。でも「50％を少しでも上回っていればいい」と保田君が言っていたのでそうしたのでした。「今、またこの6人に出資してもらうと51％の持分が低下するのは間違いないな。そのメリットとデメリットを一度保田君に聞いてみよう」あなたは保田君に電話をかけました。＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝キーワード株主の出資金によるお金の部分を「株主資本」、または「自己資本」といいます。会社が利益を出し、その利益が社内に蓄積されていくとこの株主資本、または、自己資本はその分増加していきますが、設立当初は株主の出資金額がそのまま株主資本、自己資本の金額となります。このカフェのケースでは1,000万円のうちの600万円を株主資本、自己資本と呼びます。

Sep 23, 2004

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CFOとは？

大きく勘違いをしている人が多いので、ひとつ。財務と経理は完全に異なる二つです。いわゆるCFOとは財務戦略を担当する人間であり、経理だけしか分からない場合はCFOは務まりません。CFOになるための資格や、育成講座などが世の中にあるようですが、それらの資格や講座の提供側、そして受講側の両方に結構間違った概念を持っている人が多いです。本当に自分に必要な資格か、その資格をもって何ができるのか、きちんと考えた上で資格取得のための費用を使って欲しいと思います。まだまだ財務に対するきちんとした理解が日本では少ないので、徐々に正確な理解がされるようになればいいな、と思います。ただ、やはり大学で財務を学ぶ機会が日本では少ないですね。

Sep 22, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略６

あなたは以下のような資金調達計画を立てました。自分のお金：100万円友達からの出資：500万円両親からの借入：100万円金融機関からの借入：300万円合計：1,000万円次は友達それぞれからいくらを出資してもらうかを決める必要があります。以上前号でのあらすじ。まずあなたは両親に話をします。実はあなたは両親にカフェを始めることを話していません。絶対に反対されると思っていたので黙っていました。でも、どうやらとうとう話をしないことには先に進めません。「100万円貸してくれないかな？」あなたは両親を前にして話をはじめます。あなたの予想に反して両親は詳細を聞かずにお金を貸してくれることになりました。しかも200万円に増額です。そして彼らは言いました。「これは捨て金や。お前のええように使え。戻ってくるとはおもっとらん。でも、もしお前のやろうと思っていることがうまくいった場合は親孝行せい」あなたは涙します。これこそ親です。翌日あなたの口座に200万円が振り込まれていました。あなたはこれを借入金にしようと思いましたが、保田君からアドバイスを受けました。「ご両親はもう帰ってこなくてもいいお金と思っているんでしょ？そうなら、あなたが個人的に両親から借りたお金ということにして、あなたがカフェの会社に対して出資していることにすれば？」つまりあなたの所持金100万円と両親から借りた200万円、合計300万円をあなたの出資金とします。おおー！！これで1000万円のうち300万円が集まりました。しかもこの300万円は出資金、つまり自己資金です。あなたは考えます。1000万円のうち、300万円は自己資金です。こういう資金調達にするとあなたは50％の利益を享受することが出来るようになるのです。自己資金　300万円友達出資　300万円銀行借入　400万円おおー！！なんと、自己資金のうち50％をあなたが持つプランが感性です。さあ、友達と話しましょう。以前、説明会に来てくれた友達9人にまた話をします。前回の友達の反応から結構楽に同意してもらえると思っていましたが、時間が空いたため、反応は悪く、あまり感触が良くありません。結局9人中3人が100万円ずつ出資してくれることになりました。さあ、次は国民金融公庫です。あなたは事業計画書、出資金600万円が入金された口座残高表を携えて担当の人に話をしました。熱弁をふるいました、30分。あとは、結果待ちです。でも反応は良かったです。あなたは有頂天です。あなたは早速保田君に報告です。「1000万円のうち、300万円は自己資金、残り300万円には友達の出資、そして残り400万円を国民金融公庫借入にしようとしています。おそらく国民金融公庫借入からは融資出そうですよ。」保田君はアドバイスをくれます。「400万円の借入金を受けることができれば、株主資本は600万円になります。そのうち300万円をあなたが出資します。つまり50％の持分となります。であれば、いっそのこと持分を51％にしておいたほうがいいですよ。」何のことか分かりませんが、保田君の言うことを聞くことにしました。友達に言いました。「100万円でなくて、99万7,000円でお願いします。」みんな快諾です。よく理由は分かっていませんが、快諾です。最終的にはこうなりました。友達3人　299万円あなた　301万円国民金融公庫　400万円さあ、あとは国民金融公庫の結果待ちです。

Sep 19, 2004

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シティバンクに対する金融庁の対応

厳しいな～、というのが最初の印象。アメリカに対していつもびくびくしている官の対応とは思えない、そう思ったのでした。と同時に、アメリカ政府からの今後の圧力などは大丈夫かな、と心配になりましたが、新聞など読んでいると事前にきちんとアメリカ政府側にも説明をして納得してもらってから今回の行動に踏み切ったようですね。ので、シティ側も素直に謝罪文を出している模様。今までの同様のケースでは謝罪などせずに自国政府に「日本はけしからんので、一発ガツンとお見舞いしてくれ」と当事者企業が官に働きかけるのが通常だったので。で、今回の内容ですが、銀行業に規定される業務以外を行ったことが一番の問題のようです。マネーロンダリング（資金洗浄）に加担する可能性のある口座開設が一番の理由だと思いますが、こちらは必ずしもマネーロンダリングに加担した、とは立脚できてない模様。ので、まずは銀行業に規定されない業務をしてことで罰則ですね。具体的には生命保険の販売、絵画買い付けの斡旋などがあったようですが、プライベートバンキングという業務は日本では非常に難しく、うまくいっているところはほとんどないです。実際、プライベートバンキング、とは名前はかっこいいですが、日本での実情は「お金持ちの何でも御用聞き」であることが多いです。今回もその御用を聞きすぎての結果でしょう。お金持ちの人たちは従来は税理士に、税金のことのみならず、資金運用、自分の会社のこと、果ては子育てまで、なんでも相談していました。そこにプライベートバンキングというよく存在の知られていない人たちが登場し、「あなたの資産をお預かりします」となったわけです。金持ちサイドは「お、税理士さんと同じようなもんだな」ということで、プライベートバンキングの人間とお付き合い開始。で、最後は御用聞きに仕立て上げてしまう、と、まあ、こんな流れだったのだと想像します。顧客満足も法律内で。今回の事件の教訓です。

Sep 18, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略５

前号のあらすじ（あなたはカフェ開業資金をワンワン銀行から借りようとして威勢良く電話をしました）「あ、特にアポをとっていただく必要はありません。資料などは常に窓口に用意しておりますので、いつでもご都合のよろしいときにご来店ください。」ワンワン銀行の方は電話越しに言いました。「わかりました。ありがとうございます。では近々来店させていただきます」「では、よろしくお願いします。失礼します」「失礼します」あなたは先方が電話を切るのを待っています。ビジネスマナー101の本に書いてありました。「電話は必ず先方が切るまでこちらは切らないこと」って。あなたはこのマナーをきちんと守っていたのでした。「ガチャ」という音が聞こえたのでこちらも電話を切ろうとしたときでした。「いやー、もうたまんないよー。勘弁してよねー、こういう電話。自己資金100万しかないド素人がカフェの開業資金を貸せだってさ。身の程知らずもほどほどにして欲しいよね。全くワンワン銀行様をどこの誰だと思っているんだよー！！」それは受話器越しに聞こえた先ほどのワンワン銀行の担当者でした。彼は電話を切ったつもりで大声で隣の人に話しかけている様子。でも受話器を置き間違えたのか電話は切れていませんでした。「はー、まあ、いいや。おい、メシでも行こうぜ」受話器からまだ会話が聞こえてきます。あなたは半ば呆然として受話器を置きます。そして担当者の受話器越しの会話が頭の中で繰り返し響きます。「身の程知らずもほどほどにして欲しいよね」ぼくって身の程知らず？カフェ開業の夢を抱いてお金を借りたいと思うことは悪いこと？ワンワン銀行のさわやかなテレビCMと今の担当者の対応の悪さのギャップはいったい何なんだ？あなたは困り果てます。国民何とかに相談に行く気力もなくなりました。そこで、あなたは普段から仲良くしている保田君に相談することにしました。「やー、久しぶり！元気してた？」保田君はいつも元気です。あなたは切り出します。「いや、カフェを開こうと思っていてね。で、資金調達をどうしていいか悩んでいるんだ・・・」あなたは今までのいきさつをかいつまんで話しました。保田君は答えました。「銀行でお金を借りようとするアプローチは間違っていないよ。特に開業時は国民金融公庫はいいと思うよ。ただし、自己資金と借入金の比率をもう少しバランス取らないとね。」その後の詳細な説明であなたは以下のことを学びました。－最初は借入金は自己資金の範囲内ぐらいしか借りられないこと－つまり1,000万円の開業資金が必要なら、最低でも500万円は自己資金にする必要があることなるほど。ちょっとまた光が見えてきました。この前カフェの説明会に来てくれた人に足らない900万円全額を出してもらうのではなく、500万円程度出してもらえばいいわけです。これならカフェの利益の2割程度はあなたのものになります。「うん、それだ」あなたは以下のような資金調達計画を立てました。自分のお金：100万円友達からの出資：500万円両親からの借入：100万円金融機関からの借入：300万円合計：1,000万円次は友達それぞれからいくらを出資してもらうかを決める必要があります。

Sep 13, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略４

前号までのあらすじ（カフェ開業を目指すあなたは開業資金1,000万円の調達を目指しています。あなたが持っているのは100万円。残り900万円を一度は友達9人から100万円ずつ集めようとしましたが、それだと自分の利益の取り分が10分の1になることに気づき、9人からの出資ではなく、借入金を考え始めました。）Vol.4「ワンワン銀行ですか？カフェの開業資金をお借りしたいのですが。僕の作ろうと思っているカフェはですね～」あなたは威勢良く切り出そうとしましたが、やや冷たい声が電話口で返ってきます。「当行のご利用は初めてですか？今は何店舗お持ちなんですか？」「ワンワンさんは初めてです。店舗はまだ1店舗も持っていません。今回が初めてなのです」「なるほど。では会社もまだ設立されていないわけですか？それだと創業支援融資になりますね。一度ご来店いただければ簡単な説明と資料などをお渡しいたしますが・・・」まだ何か言い足りないようです。が、あなたは言います。「ハイ！！いつでもお伺いいたします。必要資金は900万円なんです！」先方が続けます。「開業資金は合計でおいくらになりますか？」あなたは答えます。「1,000万円です」やや沈黙の後、先方が言います。「うーん、そうですか。なるほど…　とにかくご来店いただければ資料などはお渡しいたしますが…　うーん。でもなあ…」「でもなんですか？」「あ、いや。えー、国民金融公庫ってご存知ですか？国の機関なのですが、あなたのように開業資金をお求めの場合は最初は当行のような銀行をご利用になるよりも、もしかすると国民金融公庫のほうがご融資を受けやすい可能性があります。もちろん当行としても新たなお客様は喜ばしいところですので、一度簡単なご説明と資料はお渡ししたいと思いますが」国民なんとか、というのは初めて聞きました。でももっと融資が受けやすいならそっちのほうがいいかも、と思います。しかも今電話で話しているワンワン銀行の人はなんだか冷たい感じがします。早く電話を切りたがっているような。「あ、すいません。国民なんとかって、もう一度名前を教えてもらえませんか？」「国民金融公庫ですよ。インターネットとかで調べればすぐにサイトも見つかるでしょう」あなたはメモしました。「わかりました。ありがとうございます。いづれにせよワンワンさまにも一度お伺いして資料を頂きに行こうと思います。いつお伺いすればいいでしょうか？」

Sep 12, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略３

（前号までのあらすじ：夢のカフェを開業することにしたあなた。でも、開業資金が足りません。友達からの「少しならお金出すから」という言葉に元気づけられ、他の友達にもお金を出してもらうようにお願いするために、カフェの開業計画を友達9人を集めて説明しました）みんな1人100万円を出すことを決めたようです。それぞれ帰りじたくをしています。「夢のカフェ開店に向けてがんばってね～」、「今日はありがとう、楽しかったわ」。みんな楽しそうに帰って行きました。あなたはまだ考えています。「どうして店の利益がみんなのものになるんだろう？自分が一生懸命働いて店が流行って、店が儲かる。その利益は店のもの、つまり僕のものでしょ？」。何度考えてもあなたは自分の考えが正しいと思います。まだすっきりしないあなたは翌日友達に電話をしました。一番最初に「少しならお金出すよ」と言ってくれた友達です。ひとしきり昨日のお礼を言ったあなたは切り出しました。「ねえ、どうして自分の店が稼いだ利益が、僕と昨日の9人の10人のものになるのか、まだよく分かっていないんだけど教えてくれない？」。友達はいいます。「だって、そのお店は誰のお金で作るの？」。あなたは答えます。「10人のお金だよ」。友達はいいます。「でしょ？じゃあ、その一人一人がお店の10分の１を持つことになるよね？」何を言っているのか分かりません。お店はケーキじゃないのです。ケーキなら10等分できるけどお店はひとつだし、コンクリートで作るから超硬いし10等分できません。しかも、確かに開業資金は僕も含めてみんな100万円ずつだから10分の１ずつだけど、店のコンセプトとかは全部僕が出すわけだし、開業した後の経営も僕がするわけでしょ。汗水たらす僕の分け前が他の9人と一緒というのも納得いきません。あなたはいいます。「ねー、ケーキじゃないし10等分できないよ」。友達は続けます。「でしょ～？お店はナイフでは切れないし、ずっとあとあと残るものでしょ。だからみんなで分けることのできる利益を10等分してみんなでわけわけするんじゃないー」。あなたは思います。「昨日の参加者は本気で僕のお店の利益をぶん取ろうとしているらしい。なんとかしなきゃ」。あなたは続けます。「え～と、利益を分ける必要あるのかなあ？このカフェができるとみんな自分たちがくつろげる場所ができるんだよ。で、カフェが流行るとなんだかうれしくなるでしょ？それだけじゃあ、だめなの？」友達は言います。「それだけじゃあ、誰もお金出してくれないんじゃない？みんな自分の大切なお金を出すわけだからある程度のリターンって求めるでしょ？そりゃもちろんあなたの作るカフェは多分とっても素敵でそれだけで私たちは幸せになるんだろうけど、正直なところあなたのカフェにお金を出すのってすごいリスクが高いでしょ？だってまだ自分で実際にカフェを開業した経験があるわけでもないし。だからもし店が成功したらそのリスクをとってくれたみんなに何らかの形で報いるものでしょ？」確かにその通り。。でもなんで利益を10等分なんだろう？あなたは聞きました。「うん、確かにそうかもね。でもさ、元々は僕のアイデアでしょ？僕が一生懸命働いて初めて利益が出るでしょ？その僕の取り分もみんなと同じってのはちょっと不公平な感じがするんだけど…」。電話口の向こうでため息が聞こえてきました。「元々はあなたのアイデアかもしれないけど、お金がないと開業できないでしょ？開業できないとアイデアはあなたの頭の中でずっと住み続けるだけで、そのままあなたと一緒にお墓に眠るだけでしょ？お金を出すというのはそれぐらいすごいことなのよ。だからそのアイデアから出た利益はみんなでわけわけする、ごく普通のことじゃない？」友達は続けます。「しかもあなたが働く分に対しては給料が出るわけだからさ。給料もらうんだから不公平とかはないんじゃない？」。確かにそうでした。僕の給料は月20万円と計画書に書きました。それをもとに月々の利益も計算しました。友達はさらに続けます。「まあ、どうしても10分の1がいやで全部自分のものにしたければお金を借りることになるのかな。なんだかちょっと納得していないようだけど、私今から外出するのでまた何かあったら連絡してね」。電話を切ったあなたは最後に友達が言った一言が気になりました。「お金を借りる…」。お金を借りると利益は全部自分のもの。それはいいなあ。うん、そうだ、なぜそれに気がつかなかったのだろう。昨日の友達9人には悪いけどやっぱりお金を借りてやろうかな。だって、店は絶対利益が出るし、月々の利息も払えるし、借入金の返済も大丈夫。あ、な～んだ、なぜ最初からそうしなかったのだろう。あなたはさっそく電話しました。「あ、ワンワン銀行ですか？」(Vol. 4へ続く）キーワード：－　カフェの10分の1を持つということをカフェの10分の1を「所有する」または「所有権を持つ」と言います。

Sep 11, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略２

1週間後、友達9人を家に招いて説明資料を友達に説明することにしました。狭い家です。部屋の中は10人の熱気でむんむんしています。あなたは始めます。「カフェを開業したいんだ」。説明は無事終わりました。途中携帯電話も鳴らさず一生懸命話を聞いてくれた友達みんなが言いました。「このカフェは絶対成功するよ」、「絶対儲かるよ」、「喜んでお金を出すよ」。ああ～、本当になんてあなたは友達に恵まれたのでしょう。必要な開業資金は1,000万円です。あなたは100万円を出す予定です。必要なのはあと900万円です。それを聞いた友達が言いました。「いまここに9人いるから1人100万円ずつ出すと合計でちょうど1,000万円だね」。シ～ン。部屋が静まり返りました。みんな顔を見合わせます。どの顔も「100万もの大金を出すのか…」、「今まで一生懸命貯めたんだよなあ…」、「自分の全財産だ、どうしよう…」という顔をしています。「あ～、やっぱりもっともっと自分でお金を貯めておくんだったよな～」とあなたは思います。でもあなたは一生懸命がんばりました。過去5年間欲しい車も買わずに一生懸命お金を貯めました。できることはやったのです。そんな沈黙の中をひとりの友達が言いました。「100万円は大金だけど、お前が成功すれば利益がたくさん出るんだろ？そしたら俺たちも儲かるもんね？」みんなの顔がパッと明るくなります。みんなの顔に書いてあります。「おお～、僕たちも儲かるのか～。ならいい話かもしれないぞ」。一方であなたの顔は曇ります。「ん？どうして店が儲かって、この友達9人も儲かるのだ？僕が経営する店なんだから儲けは全部店のもの、つまり僕のものでしょ？ん？」。一方でみんなは「一体いくら儲かるんだろ～、楽しみ！」、「理想のカフェができて、しかも儲かるなんて素敵～」と口々に言っています。あなたはまだ混乱しています。。あなたは恐る恐る友達に聞きます。「えっと～、店が儲かって、みんなも儲かるってのはどういうことかなあ…？店が流行って僕もみんなもハッピーになるのは間違いないと思うんだけどさ」。友達が答えます。「ん？だって店が流行ると利益が出るでしょ？その利益って誰のものかというと～」、あなたが「僕のもの！」と言おうとしたよりも0.1秒早く友達が「ここにいるみんなのものでしょ？」と続けました。周りの友達みんな「うんうん」とうなずいています。みんなの顔には「儲かったお金で何をしよう～？」という夢、希望がありありと表れています。あなただけが納得いっていません。「どうして利益がみんなのものになってしまうんだ？経営するのは僕でしょ？カフェのメニュー考えるのも、集客するのも、キッチンとりまとめるのも、従業員をまとめるのもぜ～んぶ、僕がするでしょ？その僕の働きにより店は流行って利益が出るでしょ？じゃ、利益は店のもの、つまり僕のものでしょ？！ん？ん？ん？」(Vol.3へ続く）キーワード：－　あなたは友達9人を集めてカフェの説明をしましたが、これを事業説明会と言います

Sep 10, 2004

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カフェで学ぶ企業経営、財務戦略１

たまにはこのサイトを訪れてくださる皆様に恩返しをしたいな、と思っていたのですが、自分ができることは今までの仕事なりで培った知識なりの共有かなと思うので、こんなシリーズ始めてみます。カフェで企業経営学んでみましょうか？財務戦略面中心ですが。 ==============================自分でカフェを経営したいとずっと思っていたあなた。あなたの頭の中には世の中のどんなカフェよりもオシャレで人々に喜ばれるカフェの構想が5年も前からずっとあります。この5年間は自分でお店を持つためにいろんな飲食店で修行をし、お金をためてきました。この5年間であなたが一生懸命貯めたお金は100万円です。あなたはカフェ開業には1,000万円必要だと思っています。カフェを開業する資金は全然貯まっていませんが、今が自分でカフェを出すベストなタイミングだとあなたは確信しています。「カフェ出したいんだけど、お金が全然足らなくてー」と話すあなたに友達が言いました。「あなたが出すカフェならきっと流行るし、儲かるわよ。開業資金が足らないなら少しだけどお金出すよ」。ああー、なんていい友達をあなたは持ったのでしょう。さらに友達は続けます。「あ、そうだ他のみんなにも聞いてみようよ。きっとあなたのカフェにだったらお金出してくれるわよ」。「そうかなあ。。うーん、どうかなあ～」と自信のないあなた。でも自分の作りたいカフェが日本一のカフェになることだけは自信があります。「ねえ、一度さ、どんなカフェを作ろうとしていて、どれくらい儲かるのかを簡単に説明できる資料とか作ってみなよ。それをみんなに説明してお金出してもらおうよ。だってきっと儲かるんでしょ？」と友達は続けました。「よーし、じゃあ、説明する資料作ってみようかな」、とやる気になったあなた。「じゃあ、説明資料作ってみるのでできたらまた連絡するね」。と友達に言います。「うん、楽しみにしているね。がんばってね。何かあればいつでも相談に乗るから」と本当にいい友達です。さて、あなたは1ヶ月かかって説明資料を作り上げました。店のコンセプト、立地、ターゲット客層、一人当たりの予想売上高、1日あたりの予想来店数、そして月ごとの売上げ、利益予想。もう説明資料はあなたの構想と分析でいっぱいです。「よーし、これならみんなお金出してくれるだろう」。あなたは満足顔です。(Vol. 2へ続く）キーワード：－　あなたを専門用語では「経営者」と言います－　あなたが作った説明資料を「事業計画書」と言います

Sep 9, 2004

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DCFで企業価値を算出するとは？

よく聞くDCF(Discounted Cash Flow）による企業価値算出とは実際はどうすることなのでしょうか。PERによる株式価値の算出は以前に説明しましたが、これとの兼ね合いはどうなっているのでしょうか。PERは基本的には純利益を元に株式価値を算出しようというものです。DCFは毎年企業が稼ぐキャッシュフローを元に企業価値を算出しようというものです。キャッシュフローとは毎年稼ぐ純現金流入とお考えいただいていいです。簡単には毎年の営業利益に減価償却費を足したものです。減価償却費が分からない場合は今日のところは無視してください。企業価値とは前にやりましたが、企業価値＝株式価値＋純負債です。毎年企業が稼ぐキャッシュフローを現在価値に引き戻して合計したものです。理論的には1年後、2年後、3年後・・・そして100年後、1000年後のキャッシュフローを予測して現在価値にして合計します。ただ、予測できるキャッシュフローはせいぜい向こう5年から10年です。したがってそれ以降のキャッシュフローは「10年後以降は毎年○％で成長していく」というような予想を立てて、それらを現在価値にして合計します。企業が永久に存続し、毎年一定のキャッシュフローを生み出すという前提での価値算定なので、どうしても若干企業価値が高めに出がちです。

Sep 8, 2004

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テレビ局の時価総額

株式投資をする際、テレビ局の株への投資は比較的分かりやすい。テレビ局の収益源は基本的にはCMです。CMを一本あたりいかに高く売れるかが企業収益を決定付けます。つまり、視聴率が高いほどいいわけです。ここ数年の構図としては視聴率は以下の順番になっています。１、日テレ２、フジ３、TBS４、テレ朝５、テレビ東京この流れでいくと日テレの時価総額が一番高いのかな、と思いますが､実は今はフジが一番高いのです。フジと日テレが時価総額で均衡するときはたまにありますが､基本的にはフジの方が高いことが多いです。原因はと言うと…　あまり良く分かっていません。フジテレビがドラマ王国だったときのプレミアムがそのまま残っているのか。あるいはフジは5局の中では最もCM以外の収益源割合が高い（ポニーキャニオンなど）のでそれが原因かな？とも思うものの、それらの事業の収益性はCMからの収益性に比べると断然低いのです。一方､日テレは巨人戦のイメージが強いので､今は巨人戦の視聴率が低下しているので､株価低迷も仕方ない感じがあります。ただ、テレビ業界はパイが限られている（テレビ放送は24時間、365日、在京キー局5局の争い）ので、相対的にいい業績の企業の株価は上がるし､そうでない企業の株価は下がります。で、基本的には日テレとフジの争いなので､どちらかが勝つと、どちらかが負けます。そんな構図なので､初級株式投資にはいい業界ではないかと思います。

Sep 7, 2004

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セシール社員の4割が早期退職

今日のニュースでしたが、セシールが早期退職者募集をかけたところ4割の社員が応募したらしく、全員が退職するとのこと。募集枠の1．5倍で、あまりに応募人数が多かったので､募集期間を2日に短縮したらしい。で、今日の株価は17％上昇。もともと企業規模に比べて社員が多かったそうだが､それにしても4割も辞めてその後普通の会社が回っていると考えるのは非常に苦しい。にもかかわらず株価は17％上昇。どうなっているのやら。。

Sep 6, 2004

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再生ファンド

今朝の日経新聞1面に再生ファンドの記事がありました。今までの投資額が1兆円を超えたこと、今後の投資額も増えそうなことが書いてあります。日経新聞では週末にあまり書くことがないときは、こうやって再生ファンドの記事を1面に持ってくることがたまにあります。ただ今回は各社にアンケート調査をした結果の記事なので、それなりに確度が高いようです。再生ファンドが買収した企業の再売却先は71％が事業会社らしく、これはいい結果が出ているのではないかな、と個人的には思います。再生ファンドは再生のプロであって、経営のプロではないので、再生できた後は経営のプロである事業会社に任せましょう、という流れ。この流れがきちんとできれば、今後ますます再生ファンドの活動の幅も広がるでしょうし、市民権も得ていくと思います。産業再生機構は5年間限定のものですが、5年後以降はどうなるのかな、と思っていましたが、ちょうど5年後あたりには再生ビジネスが地についてきて、官の関与が低くなるべき、という読みが事前からあったのでしょうかね？いづれにせよ、いい流れだと思います。

Sep 5, 2004

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財務戦略コンサルティング

最近財務戦略コンサルティングをお願いされることが増えてきました。IC（インディペンデント・コントラクター）という形で、一定期間クライアント企業の内部の社員として働くという形式で財務戦略を請け負うスタイルも、生業のひとつにしたらそのような依頼が増えてきました。あまり多くを請け負うと他の仕事ができなくなるので、いくつか選別して請け負わさせていただくことにしていますが。やはり企業の経営者、特にベンチャー企業の場合などは売り上げを伸ばすこと、コストを削減すること、オペレーションを効率化することに自分の頭、資源を注力してきていたはずであり、いざ財務戦略、M&A、資金調達、という話になると、「どうしよう？」ということになります。しかも、そのような財務戦略ニーズ、M&Aのニーズは突然やってきますし、比較的短期間で結論を出して行動に移さないといけません。で、そんな時にいろんな証券会社、金融機関、ベンチャーキャピタルの意見を聞くのですが、みんなバラバラのことを言います。そしてますます経営陣は混乱、ということになります。そんな状況に対してサービスを提供できる仕組みを整えようと最近活動しています。つまり、IC的働き方をする財務戦略コンサルティングを行える人材を束ねて、ひとつのコンソーシアムにし、社長や経営陣の財務戦略、M&A戦略のブレーンとして働く、ということをしようとしています。通常のコンサルタントと異なるのは一定期間その会社の社員となること、です。上記コンセプトへの賛同者、参加ご希望の方、ご連絡くださいね。

Sep 1, 2004

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ノン・リコース・ローン

ノン・リコースという言葉をたまに新聞などで見かけると思います。簡単な概念ですが､知らないとあまり聞かない言葉だし分からないと思いますので、簡単に解説を。たとえばある会社がビルを建設するプロジェクトを進めています。このビルの建設資金を金融機関から調達しました。調達するに当たっては、ビルの建設だけを目的としたローンを調達するとします。つまり、この資金はそれ以外の目的では使用されず､また、この資金の返済もビルのテナント料だけから返済するとします。「この資金の返済もビルのテナント料だけから返済するとします」という最後のくだり、これがノン・リコースという概念です。つまり、普通に企業が借入金をした場合には、たとえはビルのテナント料が予想を下回って借入金を返済するに十分でない事態が発生すると、その企業は他の事業から発生するキャッシュフローを元にこのローンを返済します。一方､上記例のようにビルのプロジェクトを目的としてローンを調達し､その返済はビルのテナント料だけでまかなう､もしもビルのテナント料が予想を下回って借入金の返済に不十分な場合も、そのビルプロジェクトを進める企業本体にはその借入金の返済義務がない､この場合がノン・リコース・ローンとなります。また、このようにビルのプロジェクトだけに対して資金調達をすることをプロジェクト・ファイナンスと言います。

Aug 31, 2004

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資本政策

借入金のお話と、株式による資金調達のお話をしましたが、流れとしては「では、企業にとってどの割合の借入金を持ち、どの割合で株式による資金調達をすべきか」についてお話をしないといけません。これが企業の資本政策、ということになります。証券会社が企業に対してアドバイスをする時に最も難しい、一方でやりがいのあるのは資本政策です。証券会社の中でもきちんと資本政策を企業に対してアドバイスできる人は実は多くないです。どこの証券会社も最終的に自社が得意とする資金調達手法に結び付けて資本政策を提案しがち、または、資本政策とかは全く無視して資金調達手段を提案するので気をつけないといけないです。どんな資金調達手段でも、資金調達をする前と後では必ず資本構成（借入金と自己資本の割合）が変わります。それによって、資本コストも変わりますし、自己資本比率、ROEなども変わります。支払い金利が変わることもありますし、配当負担も変わってきます。それらすべての変動項目を総合的に加味して、「うん、よし、やっぱりこの資金調達手段ですよ」と提案するのが本来の姿です。実際の例があれば非常に分かりやすいのですが、ちょうどいいのがないのが残念です。もし資本政策で困ったときはご相談ください。

Aug 27, 2004

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Web開発プログラマー募集

金融ブログから離れて今日は求人募集です。===================================================連絡先：mail@life-on.net私が代表を務める会社にて運営しておりますソーシャル・ネットワーキングサイト「トモモト」の開発を担当するプログラマーを募集いたします。基本的には社員の募集ですが、外部での請け負いでもかまいません。ご検討いただく時間が無駄になっても申し訳ないので、正直に当社の状況をお伝えします。売り上げはゼロです。資本金は半分以上使い果たし、残っているのは数百万です。社員として働いていただく場合、月給手取り20万円程度、最大でも月給額面で30万円しかお支払いできません。でも将来の夢の共有、そして、将来成功した時点での利益の共有をすることで、一緒に成功への道を歩んでいただける方を募集しています。当社は向こう1～2ヶ月以内には事業形態の変更、拡大、他社との連携などを具現化し、トモモトは将来的には大きなムーブメントを起こす会社の一部となる予定です。そのあたりの全体像をお話して、夢とロマンを共有してもらえれば最高です。でも見えるのです、目の前にある真っ白い成功の道が。その道を一緒に見ていただいて、歩いていただける人、そんな人を探しています。開発は当初から外注しておりましたが、コストが高くつくこと、追加で開発に充てられる資金はあまりないこと、を理由として経営理念に共感いただける人、ほぼ善意ベースで開発を担当してもらえる人を社内に抱えたいと思います。他の人が書いたプログラムを解読していじる、改善するという作業になりますので、あまり魅力的ではないかもしれませんが、もしご興味あればぜひ一度メールをください。なお、プログラムは以下の仕様です。Perl、PostgreSQL、Linux

Aug 26, 2004

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ほぼ失敗しない株式投資

最近株式投資の話が増えていますが。。。先日ソニー株を3,600円で少し買いました。ソニー株が3,600円というのや歴史的に非常に安いです。少し前にソニーパニックがあって、その時は2000円台になって、あの時は喉から手が出るほど株を買いたかったのですが、当時はまだ証券会社にいて買えませんでした。どの銘柄にも適正価格というのが存在します。それは理論上の株価であったり「○○銘柄であれば通常は○○円から○○円のレンジに株価があるべし」といったようなものまで。ソニーに関しては3,600円というのは、私の考えでは「ソニー銘柄であれば通常は○○円から○○円のレンジに株価があるべし」という枠から外れていました。ソニー株の適正株価は4,500円程度だと考えています。理由は、なんとなく。3,600円は年初来最安値レンジであり、ソニーほどの企業であれば株価が盛り返してくるのは間違いないので、4,500円ぐらいになると一度売って利益確定をしようと思っています。まあ、投資額が大したことないので利益は大したことないですが、損をしない投資という意味では意味があるかな、と。

Aug 25, 2004

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またダイエー株

基本的にはこのようにいつ産業再生機構に持ち込まれても、民事再生法を適用してもおかしくない状態の会社の株式はハイリスク、ハイリターンなので、よほどのリスクテイカーでない限り大金をつぎ込まないように注意しないといけません。たとえば、今日のダイエー株。273円から207円に24％の下落しました。おそらくしばらくは200円を下回る展開かと思われます。そもそも先週の木曜日、金曜日でストップ高で273円まで上昇したことが異常でした。どうしてかというと先週木曜日、金曜日のダイエー株式の値上がりの理由はウォルマート、イトーヨーカ堂、イオンがダイエーのスポンサー企業になることに興味を示しているから、という報道がきっかけでした。ただし、重要なのはすべての企業は「産業再生機構の活用を前提として」ということでした。産業再生機構の活用を前提として、ということはどういうことかというと銀行団は貸付金がカットされる可能性があります。一方、この場合、株主責任も取りましょう、ということで減資されることもあります。この減資リスクを嫌がって今日の株価が急落した、と報道でありましたが、これらの動きと株価の動きでの危ないのは次の2点です。１、先週の木曜日、金曜日のストップ高の時点からすでにスポンサーは再生機構の活用を前提としていたわけなので、減資の可能性はその時点から織り込んでおくべきだった２、減資をしても株式価値は変わらないので、株価に対する理論的影響は不変であることつまり、今日になって株主責任リスクで狼狽売りをするのは間違っているのと、株主責任リスク、つまり減資は株価に対しては中立インパクトなので本来は株価下落要因ではないこと、この2点を正しく理解していない人がこのような危ない株式投資に多く群がっています。それがゆえに株価は乱降下します。リスクの高い株式への投資をするときは、大金をつぎ込まないように注意してください。

Aug 23, 2004

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ダイエー株

ウォルマートが支援かも、という報道が流れて、ダイエー株式が昨日はストップ高、今日もストップ高。実は200円で2,000株、40万円分を買っていて、いつ売ろうかな～、なんて考えていて昨日の前場で売ってしまっていました。220円ぐらいだったので、儲けはほとんどありませんが、今の株価は285円。あー、もう少し持っておくんだったなあ…でも株は損をしないのが第一なのでよしとしましょう。たまにはこういう類のお話もいいかな、と思って書きました。ちなみに株式投資はほとんどしません。

Aug 20, 2004

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株式による調達資金の使い道

マンションで有名なレオパレスが借入金返済のために株式を発行し、資金調達をする、というニュースが月曜日にありました。その日から株価は急落。落ちた後にまた反発しましたが、株価が落ちた原因は、株式による調達資金を借入金の返済に充てることがタブーだからです。株式で資金調達をする場合は基本的に成長投資に充てることが定石です。借入金返済のために株式による資金調達が許されるのは以下の2つのケースのみと考えていいと思います。１、経営難の場合２、支払い金利の負担が経営を圧迫している場合レオパレスの場合、借入金が比較的多く、今後金利上昇が予想されるので、先に借り入れ金額を減らしておいて、将来の金利負担を減らしたいということでした。ので、ある程度の理解は得られるものの、本業は好調なので、本当に借入金返済のために株式による資金調達が必要であったか、若干の疑問が残ります。

Aug 19, 2004

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損金参入可能であることのメリット

chieさんからいただいたコメントを少し発展させようと思います。損金参入可能であることのメリットは「税金が減る」、「手元キャッシュをセーブできる」ことにあります。以前ご説明した損益計算書を思い出すと営業利益から純利益までを簡単に示すと以下のようになっています。＋営業利益－営業外収益（支払利息を含む）＝経常利益－税金＝純利益－支払い配当＝翌期への繰越利益話を単純化すると税金は経常利益を基準に決まります。経常利益の42％が支払い税金であるとすることが多いです。従って経常利益額が低ければ支払い税金額も低くなります。同じ100という金額を借入金で調達した場合と株式で調達した場合の比較をしてみましょう。借入金で100を調達した場合、利息が年率3％だとすると支払利息は3です。一方、100を株式で調達した場合は借入金が存在しないので支払利息はゼロです。営業利益が20で、営業外収益が支払利息以外存在しないと仮定すると、経常利益額は以下のようになります。借入金で100を調達した場合は17（20－3）株式で100を調達した場合は20（20－0）税率が40％とすると支払い税金額はそれぞれ借入金で100を調達した場合は6.8(17x40%)株式で100を調達した場合は8(20x40%)支払う税金が少ない分、借入金で調達した時のほうがキャッシュの流出を防ぐことができるのです。これが損金参入のメリットです。デメリットとしては、支払い利息が発生する分、借入金で調達の場合は純利益が減る、ということですが、純利益はあくまで損益計算書でのお話であり、キャッシュフロー的にはメリットが大きく、損金参入であるかないかは、企業の財務戦略上非常に大きい問題です。

Aug 18, 2004

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借入金について

日本では昔から「無借金経営」がよし、とされてきました。が、コーポレート・ファイナンス理論的にはこれは間違っています。どうしてかと言うと、理論的には借入金のコストは株式資本のコストよりも安いからです。どういうことかと言うと。。みなさんは株式投資をする時、どれくらいのリターンを求めますか？10％？50％？通常、最低10％以上のリターンを求める人が多いのではないでしょうか？一口に10％と言っても1年後に10％なのか、3年後に10％なのかは大きく異なりますが、感覚的には1年後には最低10％以上のリターンが欲しいと思っている人が多いのではないでしょうか？一方、誰かにお金を貸すときに1年間で10％の利息を要求するのは安いでしょうか、高いでしょうか？多くの人が「高いなあ」と感じると思います。で、実際には5％とか3％とかで貸すのではないでしょうか。もちろん、どれくらいの可能性で帰してくれそうかによって比率は変わってきますが。つまり、株式投資をする時は、誰かにお金を貸すときよりも高いリターンを期待することが多いのです。これはお金を調達する側から見た場合は、株式による資金調達のほうが、借入金による資金調達よりも高いことを意味します。株式による資金調達の際のコストをCost of Equity、借入金による資金調達の際のコストをCost of Debtと呼びます。そして会社全体の資金調達コストをCost of Capitalと呼びます。現在の日本ではCost of Equityは大体年率5％～7％、Cost of Debtは通常は10年国債の利回り、ここ数年は1％～2％といった感じです。従って、冒頭の話に戻ると、借入金は低コストの資金調達手段なので、ある程度借入金を持つことは会社の資金調達コストを下げる効果があるので有効です。

Aug 17, 2004

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営業利益の重要さ

株価、または時価総額には純利益が大きく影響すると言うことを以前話しました。今回は純利益以外に重要なもうひとつの指標として営業利益の重要さを書きます。純利益が株主にいくら還元できるかを表すものであれば、営業利益は企業として稼ぐチカラはいくらか、を表すものだと言えると思います。損益計算書で営業利益から純利益に至るまでには以下の過程がありました。＋営業利益－営業外損益（支払い金利を含む）＝経常利益－特別損益＝純利益これを見ていただければ分かりますが、借入金の多い企業、つまり支払い金利の多い企業の純利益はその分減ります。企業の資本構成が借入金中心か、株主資本中心かによって純利益は大きく影響を受けてしまいます。資本戦略は企業によって異なりますので、借入金の額の大きさにとらわれない利益額を見るには営業利益を見る必要があります。よって、企業の稼ぐ力を見ようとする場合は営業利益に注目する必要があります。株価評価の時にもこの営業利益はよく使われます。どのように使われるかは向こう数日でまた書きます。

Aug 13, 2004

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完結？　UFJ－東京三菱

東京高裁の判決でUFJの言い分が認められて、東京地裁の判決がくつがえされました。これによって、UFJは法律違反でもなんでもなく東京三菱との経営統合に邁進できる、ということに形上はなりました。が、今回の判決はちょっと疑問ありです。UFJの言い分が認められて、住友信託に独占交渉権が存在しない理由として「両者の仲が悪くなったから」というのが判決理由です。これでは、そもそも独占交渉権、というものそのものの存在価値が非常に薄くなります。いくら書面で独占交渉権を確約していたとしても、仲が悪くなればそれはなかったことにしましょう～、というなんともかる～い乗りになってしまいます。今回特に注目すべきは株主に対する対応です。現状はまだまだ株主不在の交渉です。UFJの株主にとってはなにがベストか、本来はこの観点からUFJ経営陣はものごとを判断しないといけません。また、東京三菱、三井住友ももっとUFJ株主に訴求する必要があります。その意味ではUFJへの提案内容を公開した三井住友はまだ一歩先を行っていますが、内容がよくないです。何がよくないかと言いますと「統合比率は株価をベースに」となっています。実質はUFJ側は買収されるわけです。買収される場合は株価に買収プレミアムを乗せた株価で売却するのが通常です。東京三菱も三井住友も経営統合というあいまいな言葉を用いることにより、買収プレミアムを乗せずに現在の株価でUFJを買収しようとしています。都合のいいお話です。UFJの株主の観点からは2社の提案を競わせて、とにかく買収価格を引き上げてもらわないと困るわけです。今回のUFJ－東京三菱の件、もしこのまましゃんしゃんと両行による経営統合が実現した場合、しかも買収プレミアムなしで、実現した場合、日本の株式市場、資本市場はまた一歩後退したと判断せざるを得ません。その意味では三井住友の次の一手が重要になってきます。UFJ株主への訴求という意味で買収価格引き上げ、を行わないといけませんが、まだまだその余地はあると思われます。

Aug 12, 2004

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時価総額とは？

時価総額とは「株価ｘ発行済み株式数」で計算されます。例えばダイエーの今日の株価は184円、発行済み株式数は449,918,009株です。従って、時価総額はこの2つを掛けて827億円。以前、PERのお話をしましたが、その算出方法はPER＝株価÷1株あたり純利益でした。この右側にそれぞれ発行済み株式数を掛けるとこうなります。PER＝「株価ｘ発行済み株式数」÷「1株当たり純利益ｘ発行済み株式数」株価ｘ発行済株式数は「時価総額」です。一方、1株あたり純利益ｘ発行済み株式数は「純利益」です。従って、PER＝時価総額÷純利益時価総額＝純利益ｘPERとも表すこともできます。上場していない会社がもしも上場した場合、時価総額がどれくらいになるかな～、ということを推測する場合はその企業の純利益が分かっていればあとは業界平均のPERをかければ、なんとなくそれらしい想定時価総額を算出することができます。

Aug 11, 2004

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サムライ債？？

今日の日経新聞朝刊で「中国政府がサムライ債の発行を取りやめ」という記事がありました。サムライ債ってなんだ？まず、「債」の方の説明から始めましょう。これは債券を中国政府が発行して資金調達をすることを意味します。債券にはクーポンがついていて、例えば毎年5％のクーポン（利率）がついてきます。つまり投資家が100万円分の債券を購入すると毎年5万円の利子がもらえるわけです。通常中国政府は自国通貨、つまり人民元にて資金調達をしていると思います。それは政府が調達したお金の使い道が主に中国国内向けであると想像されますので、調達資金と使い道の通貨が同じほうが便利だし、為替リスクが伴わないからです。政府が公務員に給料を払う、建設業者に報酬を払うなどは自国通貨で行いますものね。ただ、時には海外への支払いも発生しますし、調達通貨が自国通貨だけだと通貨の偏りが発生し、それはそれでまた為替リスクを背負っていることにもなります。よって、たまには外国通貨での資金調達も行います。で、今回は日本円での資金調達を行おうかと検討していたわけです。つまり、外国企業、または政府が日本円の債券を発行して資金調達をする場合、その発行される債券は「サムライ債」と呼ばれます。日本企業、または政府が日本円の債券を発行をする場合は別に普通なので、サムライ債ではありません。これがアメリカのドルの債券を発行した場合は何と呼ばれるかというと「ヤンキー債」です。分かりやすい呼称ということで日本＝サムライ米国＝ヤンキーなのですね。おもしろいですね。以前は日本企業も活発にヤンキー債を発行しましたが、ここ10年弱は日本の低金利環境を反映し、あまりヤンキー債は発行されていません。一方、日本の低金利環境の恩恵を受けようということで、海外企業のサムライ債発行高は比較的高くなっていました。ユーロ通貨で発行する場合は「ユーロ債」。ま、普通ですね。

Aug 10, 2004

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空売りって何だ？

今日は予告どおり、空売りについてです。株式売買のセオリーは「安い時に買って、高い時に売る」です。このセオリーは常に変わりません。が、順番が逆でもいいのです。つまり、通常は「最初に安い時に買って、値上がりした時に売る」ですよね。でも、「先に高い価格で売っておいて、後で安く買う」ことでも株式売買で儲けることが可能です。これが空売りです。「先に高い価格で売るって言っても、売る株を持っていなければ売れないじゃん」ってことになりますよね？そんな時のために株を「貸してくれる」人たちがいます。つまり、株を借りてそれをあたかも自分のものであるかのように売る。そして、株価が下がって安くなった時にまた株を購入し、株を貸してくれた人に返す。こういう行為が空売りです。なぜ空売りと呼ばれるかと言うと「実際には自分のものではないものを売るから」です。具体的にはどういう局面が考えられるか。ある会社が経営不安に陥り、株価の今後の下落が予想されるとします。現在の株価が300円だとし、あなたはこの会社の株式を持っていないのですが、株を1万株借りてきてバンバン300円で空売りします。で、手元には300万円の売却代金が入ってきます。1週間後、株価はまんまと100円に下落しました。あなたは株価が底を打ったと思い、また1万株を購入します。購入にあたり、100万円を支払いました。で、購入した1万株を1週間前に株を貸してくれた人にお返しします。これでキレイさっぱり。あなたの手元には売却代金300万円と購入資金100万円の差額の200万円が「利益」として残りました。株を借りるに当たっては手数料がかかりますので、実際の利益は200万円以下になりますが、それでも十分な利益です。空売りでの儲ける仕組みは簡単に言うとこんな感じです。経営不振企業の株価が加速度的に下がっていくのはこういう空売りを仕掛けられる結果、売り圧力が高くなり、どんどん株価が下がっていくからです。

Aug 9, 2004

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独占禁止法

略して独禁法と言われることもありますが、M&Aの世界ではよく出てきます。市場を数社で独占してしまうようなM&Aは価格競争力がなくなり、消費者にとって妥当な価格での販売がされない可能性があるので、M&Aの結果市場で競争する企業が少なくなったり、M&Aをする会社があまりに大きな市場シェアを占めるような場合に、そのM&Aを禁止できる法律です。ただ、明確に何パーセントの市場シェアで独禁法に引っかかります、というような指標は存在しないため、最終的に独禁法に引っかかるかどうかはやってみないとわかりません。たとえば全日空と日本航空が合併することはおそらく許可されないでしょうね。この合併が実現すると飛行機のチケットの価格が高止まりする可能性があるので。同様にキリンビールとアサヒビールの合併なども許可されないでしょう。おもしろかったのは、ライオンがタンポン事業をユニチャームに譲渡したとき。日本のタンポン市場は実質ユニチャームとライオンしかプレーヤーがいませんでした。ので、ライオンがタンポン事業をユニチャームに譲渡すると、日本のタンポン市場はユニチャームの独占市場となるので、この譲渡は独禁法上許されないかな、と思っていましたが、結果は許可されました。からくりは以下の通りでした。ユニチャームは元々タンポン市場で９０％以上のシェアを持っており、ライオンの事業を譲渡されることによりほぼ１００％のシェアを持つので、確かにタンポン市場は独占できることとなります。しかし、独禁法当局はタンポン市場での独占は問題視しませんでした。どうしてか。当局はタンポンを女性用生理用品の一部ととらえ、今回の事業譲渡前と後での女性用生理用品市場でのシェアの変化を見ることにより、独禁法違反かどうかを判断しました。タンポンでは１００％のシェアを持つユニチャームですが、生理用ナプキンでは家庭用品の大様、花王が大きなシェアを持っています。ので、タンポンとナプキンを加えた女性用生理用品、という市場においてのシェアではユニチャームは半分も持っていません。今回のタンポン事業の譲渡後も元々タンポンの市場規模がナプキンの市場規模に比べて小さいこともあり、女性用生理用品市場でのシェアという意味では大きな変動はありませんでした。よって、当局はこの事業譲渡を許可しました。おもしろいですね。

Aug 6, 2004

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株価評価方法について（１）－PER

昨日のブログで書きましたが、純利益は株主のものです。1000の純利益が出ていて、発行済み株式数が100株なら、1株あたり10の純利益を得る権利があります。例えば、A社、B社ともに、1株あたり純利益が10円だとします。でもA社の株価は100円、B社は200円だとした場合、一見するとA社株式のほうがお買い得に見えます。そう簡単にいかないのが株式です。もし翌年の1株当たり純利益に関して、A社が引き続き10円、B社が20円になったらどうでしょう？必ずしもA社株式のほうがお買い得にはなりません。B社が1株当たり純利益を10円から20円に増やすには単純に純利益を倍増する必要があります。売上が倍増する、またはコスト削減などにより収益力が上がるなどの方策がありますが、成長性、収益性の高い企業は利益の増加が予想されます。従ってその分、株価は高い評価がつくことになります。今の例は金融っぽい用語ではPERと呼びます。PERの算出方法は株価÷１株あたり純利益です。一株当たり純利益とは純利益÷株数です。このPERの値が高い株式ほど市場からの評価が高い、または、投資家に人気のある株式ということになります。例えばダイエーの１株当たり利益は23.3円です。一方で今日の株価は219円。この場合のPERは？約9.4倍ですね。一方イトーヨーカ堂の１株当たり利益は128.25円で、今日の株価は4,070円。PERは31.4倍です。市場では明らかにヨーカ堂の方が成長性、収益性があると評価し、高いPERで株価を評価しています。つまり、ダイエーの純利益の増加はあまり望めないが、ヨーカ堂の純利益の増加は期待しても良い、簡単に言うとそんな感じです。世界的に平均するとPERは15倍～25倍程度です。日本も含めて。成長性の低い業界、例えば鉄鋼業とか、はPERが低く、成長性の高い業界、例えばテクノロジー業界、インターネット業界、などはPERが高い傾向にあります。PER、覚えておいてください。最初はすんなり頭に入ってきませんが、そのうち分かるようになります。昨日のブログで損益計算書について触れました。損益計算書の構造が分かると株価評価方法についての話がしやすくなります。代表的な評価方法にPERと言うものがあります。株価収益倍率とか株価純利益倍率とかいい、英語のPrice Earning Ratioの略でPERといいます。まあ、正確な名称はともかくPERだけは覚えておいてください。

Aug 5, 2004

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GMO、利益の1/3を株主に還元

今日の日経新聞夕刊に載っていました。良く見るこの類の話ですが、一度どういうことを意味しているのか整理しましょう。整理するには損益計算書を理解する必要があります。まず、損益計算書を頭に入れましょう。＋売上－売上原価（販売したものの原材料費です）＝売上総利益（粗利、アラリと読む、と呼ばれることもあります）－営業費用（事業運営に必要な人件費、オフィス費、一般管理費など）＝営業利益－営業外損益（不動産収入などの本業以外の収入や、支払金利）＝経常利益（銀行、証券会社の人は、ケイツネ、と呼んだりします）－特別損益（今期限りの損益、例えば不動産売却益、株式売却損など）＝税前利益－税金＝純利益（当期利益とも言います）GMOのケースでは最後の純利益の1/3を株主に還元すると言っています。どういうことか、それは損益計算書の延長で行くとこうなります。＝純利益－配当（これで株主に利益を還元します）＝内部留保GMOのケースでは配当が1/3ですから、2/3は内部留保となります。内部留保とは文字通り、会社にキープしておくお金です。金融理論的には「純利益は全部株主」のものです。よって100％株主に配当として支払ってもいいのですが、内部留保として会社の残しておいて、会社の更なる成長にそのお金を使うことにより、翌年に更に利益を稼げるならば、内部留保にしておいたほうが株主にとってもメリットが大きいです。ので、内部留保にする、ということが行われます。逆に言うと、内部留保しても更なる成長にお金を使えない企業の場合は100％配当すべきなのです。まず覚えておいていていただきたいのは、純利益は「全て」株主のものです。よって、これを配当と内部留保にどの割合で配分するかに関しては、株主総会で決定されます。正確には会社の取締役会が「この配分でいかがでしょう」と株主総会で株主に提案します。株主が多数決により、賛成した場合に始めてその配分でOK、ということになります。ただ、今までの日本企業で配当割合に関する議案が否決された例は見たことがありませんが…アメリカでは、マイクロソフトが今までは配当をすることに非常に消極的でした。それは彼らが成長企業であり、内部留保が多ければ多いほど翌年の利益が上がり、その結果株価が上がる。株主には株価上昇で報いる、それが彼らの戦略でした。それが最近になり成長力が劣ってきたので、内部留保ではなく配当をするように方向転換してきています。日本ではあまり注目されていなかった配当割合ですが、最近では株価にも大きな影響を与え始めました。また機会があれば配当と株価の関係についても書きたいです。

Aug 4, 2004

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ヘッジファンドについて

企業のIR担当（投資家対応をする人たち）に方がよく言うのは「ヘッジファンドとは会いたくありません」という台詞です。これは「ヘッジファンドは悪」という先入観と「ヘッジファンドが買う株式はボロ株ばかりのはずであり、当社株式はボロ株ではありません」という思いの二つが現れています。前職のUBSでもそうでしたが、私は企業のIR担当の方にはヘッジファンドの人と会うことを薦めます。どうしてか。それは「彼らは世界一頭のいい集団であり、彼らから勉強することは山ほどあるから」です。昨日書いた一般の機関投資家と異なり、ヘッジファンドは絶対的リターンを目標として投資を行います。つまり、ある銘柄に投資をして、何パーセントリターンをあげたかのみが彼らの成功指標であり、日経平均に対して勝ったかどうかという相対的なものではありません。つまりヘッジファンドのほうがハイリスク、ハイリターン追求型となりますが、ハイリターンを追い求めるためには相当投資銘柄の企業に関して、またその業界に関して勉強する必要があります。ので、彼らが持っている知識はハンパないです。もともとヘッジファンドに勤務する人たちはウォール街でもめっちゃ優秀な一握りの人たちであり、頭はずば抜けていいです。そういう彼らが真剣に企業研究などをしているわけで、企業側からしてみると彼らの意見の中には相当参考になることが多いのです。にもかかわらず、どうしてヘッジファンドが嫌われるのか。それはいわゆる「空売り」のイメージが大きいからだと思われます。空売りとは何か、についてはまた明日書きます。

Aug 3, 2004

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機関投資家の株式投資の方法

機関投資家、例えば生命保険会社の資金運用担当や投資顧問会社の投資担当者、がどのように株式投資を行っているかと言うと「相対的に勝つ」ことを目的に株式投資をしています。何に対して相対的に勝つかと言うといわゆる日経平均（日経225)に対してです。たとえば日経平均が過去1年間で5％上昇した場合、機関投資家は投資リターンとして5％以上の値上がりを達成していれば「勝ち」になります。一方、自分の投資対象が1年間で4％の値下がり（損）をしたとしても、同期間の日経平均の値下がりがもっと大きい場合、例えば日経平均が5％ダウンした場合、この場合も機関投資家は「勝つ」ことになります。日経平均とは、東証に上場している企業のうち225企業の株価の合計が日々上がっているか、下がっているかを示す指標であり、いわゆる日本の大企業に満遍なく投資した場合にどうなるか、を表す指標です。ので、日経平均に勝つとは、225企業にまんべんなく投資するのではなく、投資家の知恵、知識、情報を駆使して「敢えて」自分の投資に偏りを持たせて勝負することを意味します。例えば電機業界が今は上がる時だ、と読んで電機業界に投資する額をちょっと厚めにするなど。ただ、「敢えて」偏りを持たせると言っても、基本はまんべんなく投資するスタイルです。なぜかと言うとそれが一番リスクが低いからです。彼らは日経平均と勝負しているわけであり、完全に日経平均と同じ比重で投資をしていると「引き分ける」ことができます。つまり、偏りが少なければ少ないほど、大きく勝てないけど、大きく負けることもないのです。これに対して絶対的な勝ちが求められるのはヘッジファンドです。これについてはまた明日書きます。

Aug 2, 2004

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IPOディスカウント

今年はIPO（新規公開）銘柄の初値が公募価格を上回るケースが多くなっています。例えば2200円の公募価格で公開した会社の株価の初値が3,000円になるケースなど。公募価格というのは最初に主幹事証券会社と公開会社で決める「適正と思われる株価」です。一方、初値というのは最初についた価格です。分かりやすく例えるとオークションの形式が当てはまります。つまり。。。あなたはある商品をオークションに出します。「だいたい1,000円ぐらいの価値だろう」というところで値付けをしました。ところが、ふたを開けてみると大人気商品に。見る見るうちに価格は上昇し3,000円で落札されました。この1,000円を公募価格、3,000円を初値と考えていただければ分かりやすいかと思います。通常、公募価格は若干低めに設定されます。この「若干低めに設定する」価格のことを「IPOディスカウント」と呼びます。IPOディスカウントとは何か。会社が株式公開をする前は、会社の財務内容、経営内容は公開されていないことが多いです。社内の決算報告体制が不備なことも多々あります。公開に当たっては社内体制を整えて、外部に出しても恥ずかしくない財務情報、経営内容を公開することとなります。そしてやっと株式公開をして、「公開組」の仲間入りをすることになります。つまり、株式公開する企業は「公開組」の社交場に新たに加えてもらうことになります。いわば、新参者です。この新参者に関する情報が欠けていること、そして、この新参者はまだ「市場」という荒波にもまれてないので、公開時の株価は若干ディスカウントされるべきだ、という理論です。通常は20％～30％程度のディスカウントが適用されます。つまり、各種バリュエーション手法による適切株価が1,000円だとすると公募価格は700円～800円にすることが多いです。理論的には上記がIPOディスカウントと呼ばれますが、一方では主幹事証券会社側の「都合」も大きく影響します。どういうことかと言うと、主幹事証券会社にとっては株式公開後に株価が下がるのは一般に「失敗」と見られます。彼らにとっては失敗は許されません。従って、公開時の株価は若干低めに抑えて、その後徐々に株価が上がっていくのが最も「成功」形となります。また、証券会社の収入には売買手数料というものがあります。これは投資家が株式を買った際、そして売った際に入ってくる手数料です。株式公開時に投資家が株式を購入すると手数料が入って来ますが、売ってもらわないと次の手数料が入ってきません。売ってもらえる状況というのは？　それは株価が上がっている状態です。その意味でも公開価格は若干ディスカウントしておく必要があるのです。このディスカウント割合は20％であるべき、とか、30％であるべき、など、業界で決まっているわけではありません。よって、証券会社によってまちまちな意見を持っていますが、概念的には上記の概念でほぼ共通（表も裏も含めて）と思っていただいて問題ないです。

Aug 1, 2004

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三井住友が「ちょっと待った！」コール

UFJと東京三菱の経営統合に三井住友が参入。UFJというキレイな女性をめぐって、東京三菱君と三井住友君が奪い合うという構図です。軍配はどちらに上がるか。これは結構単純な話で「高い買収額を提示したほうの勝ち」となる可能性が高いです。UFJの経営陣はどちらを選択するかの決定指標として常に意識しないといけないのは「UFJ株主にとって最もいいのはどの選択肢か」ということです。つい、「UFJの社員にとっていいほう」とか「UFJの現経営陣の処遇のいいほう」を選択するのだろうと考えがちですが、基本的には企業の経営陣は自社の株主にとって最も利益の高い戦略を取ることが指名なのです。で、取締役会はその経営陣の戦略が株主にとって有益かどうかをモニターする機関です。今回の三井住友の統合申し入れは、とりあえず「受け付けない」とUFJから言われたようですが、本来の経営陣の「やらないといけないこと」からは今回の行動は間違っています。経営陣の責任において、今回のように二つの申し入れがあった場合はUFJの株主にとってどちらの案が良いかを吟味する責任がUFJの経営陣にあります。しかひ、今回の場合は吟味する前に三井住友を門前払いしているようなので、東京三菱との統合がUFJ株主にとって三井住友との統合よりもベターであるという理由が明らかでない場合、現UFJ経営陣はその経営責任を全うしていることになりません。これを経営陣のFiduciary dutyと言います。新聞報道などを見ていてもこの点をきちんと把握している記者は少ないようですが、いづれにせよ最終的には買収価格を高く提示したほうが勝ち、ということになると思います。

Jul 31, 2004

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レインズによるam/pmの買収

少し前に「牛角」を展開するレインズインターナショナルがam/pmを買収するという記事がありました。どうやって展開していくのか、非常に興味深いところです。コンビニの価値は基本的には1店舗あたり平均売上高によって大きく決まります。確かセブンイレブンで1店舗あたりの平均日商が60万～70万円、ローソンが50万円とかだったと思います。で、am/pmクラスになると30万円強だったように記憶しています。つまり同じ店舗でもセブンの看板を掲げる場合とam/pmの看板を掲げる場合で、売上高がほぼ倍近く異なるわけです。運営コストと出店コストが同じ場合は明らかにセブンのほうが価値が高くなります。am/pmの戦略は他のコンビニが出店コストが高くて尻込みするような超都心を中心にしています。例えば私が勤務していた大手町ファーストスクエアにも出店していましたが、他のコンビニはなかなか大手町という街は出店コストが高すぎて出店していませんでした（最近は出店されていますが）。出店コストは高い、一方で店舗あたりの売上高は低い、となればam/pmの価値は大手コンビニ比べて低くならざるを得ません。レインズが買収した後は、彼らはam/pmの価値を高める、または、am/pmを買収したことにより彼らの本業にシナジーが発生するようにしないといけないのですが、今回の発表内容だけでは具体的にどのような成長シナリオを描いているかまだ見えません。今後の展開に期待！

Jul 30, 2004

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三菱信託とUFJ信託で裁判？

簡単に言うと、UFJ信託銀行は住友信託銀行と経営統合をするという婚約をしていたにもかかわらず、直前になってマリッジブルーに陥り、何を思ったか婚約を破棄し、東京三菱との結婚を決めたのでした。婚約を破棄された住友信託くんはカンカンに怒り心頭。一方的な婚約破棄は認められない、と裁判を起こしました。なんのことかと言うと…28日の朝刊に出ていましたが、東京地裁はUFJに三菱東京との信託部門の統合に関して交渉中止を命じる決定をしたそうです。一体どういうことか。それは「法的拘束力を持つ契約書」、英語ではLegally bindingな契約書にUFJがサインしていたことに起因します。UFJは信託部門を住友信託銀行に売却することで、すでに法的拘束力を持つ契約書にサインをしていたわけで、土壇場でそれをキャンセルして今回の東京三菱との統合に動いたわけです。法的拘束力とは何か、と言うとその契約をキャンセルした場合に訴えることができるということです。M&Aを進めるに際しては、一般的に3つの契約書にサインしていきます。法的拘束力のない確認書(LOI)、法的拘束力のある覚書(MOU)、そして最終契約書(Definitive Agreement)。今回は二つ目までサインしてしまっていました。婚約破棄は通常お金で片付いてしまいます。今回の件もおそらく同様だと思いますが、日本のM&A業界においては婚約破棄された側が訴えるというのは今まであまりなかったことなので、今回のケース、興味深いです。しかも短期間で司法が訴訟を認めたケースとして今後の参考にされるのではないでしょうか。

Jul 29, 2004

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近鉄をMBO？

M&A、財務戦略上覚えておいていただきたいのはMBO（マネジメント・バイアウト）というコンセプトです。ここ数年で徐々に普通になりつつあるM&A、財務戦略形態です。どういうことかと言うと、その名の通り、現経営陣が自分の会社を買い取る、という形態です。「ん？現経営陣はわざわざ自分の会社を買い取らなくとも、もともと自分たちの会社でしょ？」と思う方も多いと思いますが、会社は経営陣者もではなく、基本的には株主のものなのです。このあたりに関してはまた明日のブログで説明します。で、最近にぎわっている近鉄、オリックスの合併問題。ライブドアが近鉄を買収するなどと報道されていますが、私個人的には近鉄の選手が近鉄を買収するというスキームが最もいいのではないかと思っています。どういうことかというと。。。近鉄球団の価格が例えば30億円だとします。つまり、30億円出せば近鉄が買えるということです。ので、ライブドアが近鉄を買収する際には30億円の現金が必要となります。この30億円を近鉄の選手全員で調達し、球団の所有権を選手が持つ、これがいわゆるMBOです。つまり。近鉄の選手が80人だとします。各人が平均1,000万円ずつ出し合えば、8億円の資金が調達できます。30億円までにはあと22億円必要です。この22億円を銀行借入でまかないます。で、合計30億円で球団を買収します。この場合、球団は選手80人のものとなります。球団が稼いだ利益は80人の選手のもの。自分の球団が強くなると、球団の収益も向上する。そうすると株主である各選手への利益配分も大きくなる。これがMBOの基本的概念のひとつです。もちろん利益を80人の出資者（選手）に還元する前に22億円の借入金に対する金利支払い、元本返済が優先されますが、それでも選手は自分の球団を強くしたいという思いが強くなるので、シナジー効果は高いと想定されます。MBOの簡単な概念ですが、ご理解いただけたでしょうか。

Jul 28, 2004

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「つんく」は最高の経営者

企業経営、M&A、財務戦略などの、いわゆる投資銀行業務について話す時、私はいつも「モーニング娘。」を例にとって話します。モーニング娘。は最高の教科書なのです。モームスはデビュー以来様々な変遷を経てきましたが、最近は中澤、ゴマキ、保田圭のソロデビューなどがあり、これは企業経営に例えるならば一事業部の分社化＆IPOにあたり、価値の最大化が図られています。おそらく中澤、ゴマキ、保田圭が抜けた前後でのモームスの価値は大きくは変わっておらず、一方でこの3人がソロで稼ぐ価値をプラスすることにより、全体的な価値は増大していると思われます。特に中澤のケースでは、他メンバーとの年齢差があり、30歳も目前に迫ってきたので、モームス全体からした場合は若干コアではなくなってきていました。これをソロデビュー、しかも演歌路線という新しい境地を開拓させることで価値をつけました。これは企業経営上、非常に参考になることで、ある企業にとってはコア事業でない場合も外部に出すことにより、その価値が最大化されることを示しています。以前もモームスはプッチモニ、黄色4号、赤色7号など様々な形でメンバーの多面的活用を行い、これは企業戦略に例えるなら商品の販路を多様化していることに似ています。「つんく」が「モームスという企業」の所有権100％を持っていると仮定した場合は、彼はその価値の最大化という観点から最高の企業経営を行っていることになります。モームスはテレビ東京の番組からスタート。メンバーを番組を通じて募集し、最初はたしか5人ぐらいで結成されました。つまり立ち上げのコストは低く抑えています。で、人気が上がってくると同時にメンバー数を増やし、最終的にこのメンバーの多面的活用、及びIPOにより、グループ全体としての価値を最大化を行うという、なんともすばらしい経営モデルです。

Jul 27, 2004

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合併の形態について

そもそも合併ってどういう状態を合併と言うのか。簡単なようで実は結構誤解している人も多いので、企業同士がくっつく時の形態について簡単に整理【合併】これは2社が完全に1社に統合されるもの。銀行同士の合併では三井住友銀行がこれに当てはまる。事務上の手続きではどちらかがどちらかに吸収され、吸収されたほうの会社は消滅するもの。株主は、住友銀行の株主、三井銀行の株主は、共に三井住友銀行の株主になるので、株券は両方の株主共に変わる【経営統合】これが実態が良く見えない形態。よくあるのは持ち株会社を新たに設立し、その下に2社がぶら下がるというもの。銀行では東京三菱がこの形態に当てはまる。東京三菱の場合は「三菱東京ファイナンシャルグループ（MTFG）」という持ち株会社を新規で設立し、その下に東京三菱銀行と三菱信託銀行が以前からの形でそのままぶら下がっている。東京三菱の株主、三菱信託の株主は、新たに設立された東京三菱ファイナンシャルグループという会社の株式を受け取ることとなる。

Jul 26, 2004

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続・合併比率

株価比較以外に用いられるの合併比率の計算手法の一つが、合併企業同士の将来の収益性、成長性比較です。良く聞きなれた言葉ではDCFや、将来キャッシュフローの現在価値、などと言われています。【合併企業同士の将来の収益性、成長性比較】DCF、または将来キャッシュフローの現在価値ってなんだろう、ということですが、簡単に言うとその企業が将来にわたって生み出すキャッシュフローの現在価値です。って説明になっていないですね。まず、キャッシュフローとは？キャッシュフローというのは現金の出入りです。例えば100円を金利1％の預金にした場合、毎年1円ずつ金利が入ってきます。この1円がキャッシュフローです。利益とどう違うのか、ということですが、利益は支払利息の額、税金の額などに左右されます。例えば森永製菓は日本企業なので基本的には日本に税金を納めますので、日本の税率が適用されます。これが、森永製菓が例えばアメリカの企業だった場合はアメリカ政府に税金を納めますので、アメリカの税率が適用されます。同じひとつの企業でも国籍により支払う税金が変わってきます。そういう影響を排除して、純粋にその企業が稼ぐキャッシュはいくらか、その概念がキャッシュフローです。現在価値とは？先ほどの100円の預金を例に取ると、100円を金利1％の預金にしておくと、1年後には101円になります。つまり、1年後の101円は現在価値では100円ということになります。これが現在価値の概念。つまり、今の100円は将来の100円より価値が高いという発想です。企業が今後生み出すキャッシュフローを計算し、それを現在価値にすることにより、企業価値を算出します。その価値の比較により合併比率を算出するということをよくやります。

Jul 24, 2004

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合併比率

昨日の日記では合併比率が1対1は、理論的には通常ありえない、と書きましたが、では実際に合併比率がどうやって決められるかと言うと以下の感じとなります。－合併企業同士の株価比較（上場企業の場合）－合併企業同士の将来の収益性、成長性比較－合併企業同士が属する業界の他の企業の株価水準－合併企業同士が属する業界の過去の案件比較【合併企業同士の株価比較】これは最も分かりやすく、最も簡単。でも最も交渉が難しい。例えば東京三菱、UFJの件だと、今日現在の両行の株価はそれぞれ1,050,000円(東京三菱)、446,000円(UFJ)。今日の株価をベースにすると東京三菱の株式1株に対してのUFJ株式1株の価値は0.42となります。つまりこれだけで判断すると合併比率は1対0.42ということになります。つまりUFJの株式を1株持っている人は東京三菱の株を0.42株もらえる。株価は世の中の公開情報すべてを織り込んでおり、今後企業が生み出す収益力、成長性を全て加味しているというのが株式理論です。ので、本来的にはこの1対0.42という合併比率で決着、ということになるのですが、そうは行かないので合併比率の算出、決定には時間がかかるのです。どういうことかと言うと、株式理論的には確かに今の株価は全ての情報を織り込んで反映している「はず」なのですが、実際には反映していないことも多い、という意見が出てくるわけです。これは確かにその通りで、株価は今の企業の状況を全て反映しきれていない場合もあるし、もしかすると風説の流布などに左右されているかもしれません。ということで、株価比較をする場合も1日だけの株価で判断するのではなく、過去3ヶ月～1年程度の株価推移を見て検討することが多いのです。例えば東京三菱とUFJの過去3ヶ月間の株価推移を見てみると、東京三菱が安定している一方、UFJの株価が下がってきていることが分かります。http://quote.yahoo.co.jp/q?d=c&c=8307&k=c3&t=3m&s=8306.t&l=on&a=&p=&z=m&q=lUFJは金融庁とのやり取りがメディアなどで報道されるたびに株価が下がってきたわけであり、その報道が正しいかどうかは分かりません。ただ、それらを「材料」として株価が下がってきたわけで、UFJ側としてはその「材料」がない状況での株価比較が本来のあるべき姿だ、と主張するだろうと思われます。

Jul 23, 2004

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東京三菱銀行とUFJの経営統合

今回の統合に関しては統合のスキームと株式交換比率が焦点になると思われる。まず統合比率だが、2000年に4大銀行に集約された時にも起こった問題だが統合比率の決定が最もてこずるだろう。みずほのケースでは、第一勧銀、富士、日本興業銀行の3銀行の統合比率は1対1対1であった。これははっきり言ってありえない統合比率であった。1対1対1は何を意味するかと言うと、第一勧銀の1株と富士の1株と日本興業銀行の1株が全く同じ価値を持つということ。これは例えば3銀行の株価が全部100円だったとした場合は成り立つ理論。ただ、当時の3つの銀行の株価は異なっていたし、収益力も異なっていた。ので、3つの銀行の株式価値が全く同じというのはどういう理論をもってしても非常に難しい。ただ、2000年以前の日本ではこのような「1対1」の合併は非常に多かった。「対等」、「メンツ」を重んじる日本独特の慣行であったが、どちらかの企業の株主は本来的な価値を損していることになる。つまり、簡単に言うと、株価200円の企業Aと株価150円の企業Bが合併する。その際にA、Bの株主はそれぞれの1株に対して、合併後の株式1株をもらうことになる。つまり、企業Aの株主は200円の価値の株式を放棄する代わりに合併後の企業の株式を1株取得する。同様に企業Bの株主は150円の価値の株式を放棄する代わりに合併後の企業の株式を1株取得する。この場合、明らかに企業Aの株主が損をしていることになる。2000年以降は日本の金融市場も発達し、1対1の統合比率と言うのは少なくなった。双方の株主にとって最も納得のいく統合比率を算出するようになっている。今回の三菱とUFJの統合比率は非常に興味深い。

Jul 21, 2004

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ちょーちょーちょーいいM&A、金融・財務相談所

カフェで学ぶ企業経営、財務戦略１１

有効な敵対的買収防衛策はありません！

株式による資金調達について

カフェで学ぶ企業経営、財務戦略１０

カフェで学ぶ企業経営、財務戦略９

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CFOとは？

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シティバンクに対する金融庁の対応

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DCFで企業価値を算出するとは？

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セシール社員の4割が早期退職

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株価評価方法について（１）－PER

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三井住友が「ちょっと待った！」コール

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東京三菱銀行とUFJの経営統合

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