テーマ:囲碁全般(743)
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さて、昨日の宝酒造杯、とにかく疲れました。 今の私にとって、3段戦とは、どんなものなのか? コーラを持ち込んでの1局目、Amigo世代とおぼしき若者、ひょっすると、大学の囲碁部かもね。黒番が当たったので、決めていた通りに高中国流。右下の白を攻めて、「黒先白死」状態になった。ここで殺しても、他所に回られると形勢に自信が無く、右下を放置して、残る三隅を稼ぎ回り、「今なら右下を殺せば逃げ切れるな」と思った・・・ところが、改めて読んでみると、そこは先手セキにしかならないと気づいて愕然!45目の黒地は、ぬか喜びであったか(爆)。逃げ切りを目指して、不確定な場所を片っ端から決めてしまったことが裏目に出て、もはや、手の施しようがない局面になっていた(というか、私が勝手にそうしていた)。最後はコウに持ち込んだものの、時間切れ負け(涙)。局後、右下の死活について相手の方に話を向けると、「あっ、そこは黒先コウですね」 と教えてくれました。 「ぬか喜びの図」 「あれ、セキかよの図」 「なにー、コウかよの図」
やはり、いつまで経っても、私の課題は「基本死活」にあるようですね。情けないの一言です。こんな私が囲碁教室をやっていていいのかー! いや~、今回、初参加したわけですが、実は優勝を狙っていたわけで、開会式前に、舞台にある優勝カップを見に行っていたくらいなんです。参加費4800円も払って、1局目にして敗退は悔しい、しかもめちゃくちゃ疲れた。コーラは350mlでは足りなかったようだ・・・というか、やはり、私に3段戦は無理なのか(爆)・・・ ぼやきつつ、階下へ行き、ボケラーの所を回ってみると、私と同じく、「優勝をするために来た」GO!さんや、6段戦にクラスを上げてきたasutoronさん、そして、あっじょさんお三方そろって白星でなによりでした。GO!さんは真面目な顔して、何を言うかと思ったら、「整地が難しかった・・・生碁は10局しか打ってないし」などと、笑いを取る余裕も。でも、皆さん相当お疲れの様子。 2局目は白番、つまらない囲い合いの碁だったけど、大差がついていたので、「なにもしない芸」で、盤面20目勝ち。他のボケラーの面々も勝って何よりでした。 ここで、お弁当をいただき、詰碁4題に取り組んだ、というか、「見た」(微笑)。三択だったので、4題ともヨンでいない、というかですね、「(こういう場で出る懸賞問題は)、盲点を突く意外な答えが多いはず」というヨミで、飛び道具系の派手な筋はノータイムで排除、通称「ダマリの筋」(じっとツいでキキをなくす等)にヤマをはり、結果は「全問正解」だった。(ハイボール2缶ゲット!) これに多少気を良くしての3局目は珈琲持参での白番、無難すぎる地取り碁で、中盤からキカシまくり、15目勝ち。 4局目は、レモンスカッシュ(また炭酸かよ)を持ち込んでの白番、これまた稼ぎまくりながら、「やっぱり俺って、目の前の地が好き」という感じの碁、最後は中央の黒模様を破壊して、中押し勝ち。 この時点で3勝賞の金箔入り松竹梅を確保、私は焼酎を飲まないので、日本酒のほうがいいのよね。 5局目は、3勝1敗同士の対戦で、ざっくばらんに言えば、四合瓶(三勝賞)のままか、一升瓶(四勝賞)に格上げなるか、という戦いである。この大一番は、いい感じでお酒も入った人間たちが、さらに酒が欲しくて勝ちに行くという、宝酒造杯の最終局ならではの異様かつ妖しい雰囲気が立ちこめる中で打つのだ。すでに三敗して参加賞の焼酎「知心剣」を受け取って帰ってしまう人も多い中、なんとか一勝をあげたい4敗者や、土壇場で三勝賞が取れないものかと眼をギラギラさせた二勝二敗者など、軽いアルデヒド臭が漂っていて、私としては、「賭けというのは、そして勝負というのは、人をここまで燃え上がらせるものなのか」と、ちょっと引いていた。 さて、私の相手は、いかにもお酒が好きそうなおじいさんだった。10分前から、席に着いていて、早く打ちたそうな感じだったので、私は宮本武蔵の映画を思い出し、珈琲をカップにとって、少し離れて相手を観察しながらゆっくりと飲み、時間ぎりぎりに着席(これって、じらしたつもりか?)。おじいさんは屈託のない表情で、「わたしゃーね、試飲はセーブしたよ、勝ちたいからね」なんて、挑発してくるのね。私はニッコリして、「な~るほど、勝ちたいんですね~?(笑)」と返す。 握って私の黒番、高中国流対向い小目になった。白が右上の星に上辺からカカってきたので、猿十番碁で愛用している「ワリウチ」を上辺に投下。なんと白さんはいきなりこの黒石を取りに来たんだね。なんか、間髪入れずに、ケイマと一間トビで瞬く間に封鎖してきたのよ。白さんが、「よっしゃ!ほほー」と声を上げながら、あまりにも満足げな表情をしてるので、私は「あら~、封鎖されちゃったのね~」とボヤいてみせてあげた。そして死んだふりをして手を抜き、(ほんとは完全に封鎖されてないんだけど)他所を打っていくと、「お次は、こっちだよ~!」(最初の上辺の黒を取ったつもりになっている、そしてこのおじいさん、確実に酔っていた)と挑発しながら、また取りに来るのね。 この最終局、あちこちから、「そんなー、バナナ」、「アキ竹城、おっといけないアキ三角」、「参りヤンコフ」、「なにやっ天然パーマ~」・・・ボヤキともボケともつかないやりとりが聞こえてきて、笑っていいのか、いや、笑うしかないよね。 ここで、隣の席が騒がしくなりました。なにやら、「相手がいないのはおたく(運営係)のせいでしょう!」と絡んでいて、棋院の方とのやりとりが延々と続いている感じ。ちょっと、顔も赤くなっていて、おそらく、詰碁懸賞でもらったらしいハイボール2本飲んだような感じで、今思えば、最初からヤバい雰囲気の方でした。 一方、私の盤上も込み入ってきて、白の包囲網に不備もちらほら。デギリばかり打つ人だから、あちこちダメヅマリになっているのね。ここで、白さん、さらに強引に取りに来たので、技を返してやりました。ツケコシから、3段シボリ(グルグル回し)であっちもカケ眼、こっちもカケ眼状態とし、白石26個に眼がありません(私は大石が取れそうなとき、石を数える癖がある)。 ここで、隣の騒動がまた再燃してきたので、私「少しうるさいんですけど」(「ど」にアクセント)。それに驚いたのが、白のおじいさんで、私の「ど」が大きいわ、盤上は眼がないわで、眼が丸くなっていました。白氏「うーん、こんな石が(どんな石よ?)死んでいるのか?」それでも、必死で狭い隅に二眼作ろうと考えてるのね。私が三目中手にしたら、もう必死でその三目を取り上げるんですから参ります。もう完全に「どうしても一升瓶」モードのようです。私は回りの乱れた雰囲気に釣られて、万波山のマネで、「3秒で解ければ20級です」(似ているか微妙)といいつつ、真ん中にオキ。 ここで、隣のお客さんが完全にキレてしまいました。「どうしてくれるんだ、三勝賞が懸かってるんだよ、困るじゃないか」(「よ」と「か」にアクセント)。係「ですから、こちらでお相手をしますので・・・」、「そもそもだな、おたくが・・・」、とまあ、絡み攻めは盤上だけにして欲しいってものです。 私も疲れがピークに来ていて、嫌気がさしてきたのですが、ここは弱々しく出る作戦を採用しました。私「もぅ・・・、うるさいから石が死んじゃったじゃないですかぁ・・・(F.O.)」もう、完全にここは碁会所だと思っていたようです、私としたことが(苦笑)。 この一言に、隣のお客さんが黙って静かにコッチを見たときは、「ウケたか?」と思いました。気がつくと、反対側のお客さんも私の方を、いたわるようなまなざしで見つめてくれています。あまりのウケに、「いや、死んだのは相手の石なんですけど」とは、ついに言い出せませんでした。 しかし、やはり口は災いの元、失言というか、余計な一言だったようです。私の相手の白さんは、この一言で顔色が急に険しくなり、意地でも負けたくないって感じで、回りの黒石にやたらとアタリだの、キリだのをノータイムで打ち出して、攻め合いに持ち込もうとしてきたんです。延々30手くらい進んだでしょうか、結局回りの黒が全て生きてしまいました。その後、白さんの虎の子の地模様に進入、白地は15目、黒地は120目くらいできてしまいました。それでも、一升瓶をあきらめきれない白さんは、私が4線で囲った確定地に打ち込んできました。しかも単独で、2線にですよ。しょうがないなあ、と思いつつ、相手の手に3回くらいは付き合っていたのですが・・・ ここで不覚にも、ついに私もキレました(まだキレていなかったのかぁ?)。私がキレるとどうなるか、お教えしましょう。どうしたかというと、打つのをやめたんです。残り時間が20分くらいありましたが、10分くらい何もせずに、肩を揉んだり、背伸びをしたり、深い溜息をついたり、首をゆっくり回したりしてみました。そしてしばらくして、黒の手番のまま、白投了となりました。 相手は無言で石を片付け始めたのですが、徐々に照れが入った表情になり、蓋をするときに、苦笑していましたので、「お疲れ様でした」と声をかけると、「ありがとうございました」と言ってくれました。私も「ありがとうございました(「た」にアクセント)」と返しました。
結論としまして、この3段戦、私には荷が重すぎました。 重すぎた荷がこれ・・・ 我が家に一升瓶が来たのは、これがはじめてのことでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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