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碁盤を囲んで

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June 4, 2012
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テーマ:囲碁全般(745)
カテゴリ:囲碁大会
鳩サブレをもぐもぐしながら、敗局を思い出す。
じっくりと息の長い碁にしていた。
弱石はひとつだけで、ひっそりの生きも見えており、
生きる前にシメツケとしてキカシを打った・・・アタリ。

そこで、相手は、私の捨て石を取り上げた。
だが、その捨て石は、まだシメツケ仕事の途上でダメが空いている。
抜き跡に欠陥のある、不思議な形が盤上に残っていた。
数年前、棋士の手合いで、取り上げ忘れすら反則、と明文化された程だから、
取れない石を取り上げた、となれば反則である。

困惑しつつ、3秒ほど相手を観察していたが、
動きがないので、私は次の手を打った。
無論、相手が取れない石を取り上げた瞬間に、反則は成立しているが、
事態が先へと推移したことで、碁会所の風景としてありがちな、
いわゆる、なあなあで後戻りすることの、ハ-ドルが上がっている。
相手は依然として気づかず、さらにその次の手を打った。
それを見て、もはや、相手は言い逃れ不能の状況となった、と確信した。

そのとき、隣の観戦者が、
「いまのところ、アタリじゃなかったんだから、まだ取れないよね。」
 (碁会所かよ!)
相手は、「あっ、すいません」、と謝りながら、アゲハマを元の位置に戻した。
 (やはり碁会所であったか)
あれ、伊角くんのような大人の対応じゃないの? 
ご丁寧に、そのあと幾度と無く、「すいません」を繰り返していた。
自分の心を鎮めるためなのか、
周囲の空気を刺激しないように祈りながらなのか。 
「すいません」を繰り返すたびに、自らの誤りを認めているわけだが。

観戦者の助言によって、自らの反則行為に気づき、
それを謝りながら、何事もなかったように、盤面を手直しした、
というだけのことである。

ここで、開会式の時、運営者によって告げられた、ご丁寧な注意どおりに、
私が時計を止めて審判を呼べば、相手の反則負けになっただろう。

ただ、なにかしら、ためらいがあった。
法律より空気が優先されるこの国のありように、
軽い失望を覚えるようなものか(苦笑)。
私にとって、その地は完全アウエーであり、
相手も、助言者を含めた観戦者も親しげで、仲間のようである。
ここで県外からやってきた私が反則を主張したらどうなるか。

審判長の九段の棋士を呼んでもらうことも、浮かんでいたが、
運営スタッフ全員が、私と顔見知りであり、
私が、年に数回は囲碁大会の運営をしていることも、よく知っている、
という事情が、私を妙に厄介な気分にさせていた。
反則がらみのトラブルは、対局者や関係者だけでなく、
運営スタッフにも、極めて不愉快な苦味を残す。

優勝を争っているト-ナメントだから、
決勝戦も一回戦も重みに違いはない。
大会の種類やレベルによっても重みは違わないだろう。

数年前、世界アマ日本代表決定戦の3回戦で、
元院生の選手が、ハガシをやり、
自分に向かって、「何をやっているんだ」などと、いいながら、
ア-モンド・チョコを食らってふかしこいている様子を
目の当たりにして、私は唖然とした。
それを見ていた元アマ本アマ名優勝者が、顔をしかめていたものの、
椅子にあぐらをかいて打っていた相手が、大目に見ていたことに、
「これが、日本の碁なのね」と苦笑するしかなかった。
正確に言うと、「ひとりの元院生A組の対局態度」である。
 
「反則を主張してまで勝ちにいくのは、卑しい人」ということは、
勝負の世界では、問題外だが、
本人が、「卑しい人だ」と思う限り、
それは「卑しい」行為なのである。
反則をされた側の選手にとって、
卑しい行為の対極にあるふるまいとは何か?
「盤上の技芸を高めて、勝つだけだ」と、淡々と語るのであろう。
事実、反則を許したこの相手は、
世界アマの日本代表になっているから、
さらに男前なのだが。 
 
さて、私が審判を呼ばなかったことを後悔しているかといえば、
あれで良かった、と思っている。
その思いに、棋力は関係ないのである。
ザル碁であっても、卑しくはなりたくないのである。
 
ところで、若者の「ら抜き」表現が拡散している。
「食べられる」を、「食べれる」といってしまうわけだ。
 
要するに、私が言いたいのは、
私が、「ら付け」表現を好むという点である。
 
私が、「いやしい人」ではない、ということを宣言したがるくらい、
私は、「いやらしい人」なのだ、ということだ。 

さきほどより、一升瓶から注いだ 『白壁蔵』を飲みながら、
これを書いているが、別に酔っ払ってはいない。
 
相変わらず、「凄い」レベルの大会だ。
 





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Last updated  July 27, 2012 11:20:11 PM
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