凍えたココロ

久し振りに昼過ぎから外出した。

何か予定があると、過食衝動にも惑わされないし、

気分転換になると言うメリットがある。

しかし今回の外出は『酷く疲弊する』という

デメリットの方が大きかった。







友達が街の本屋へ行くというので、一緒に連れて行って

頂いたのである。私も丁度、欲しい本とＤＶＤがあったので

昼中の街を歩いた。まだ世間は夏休みである。

なのでとても人が多く、途中で人に酔い、休みたかったのでカフェで

休憩した。そしてじっくりと色々な古本屋を探し、ゆっくり歩いた。







私は、『本』が大好きである。

まだ妹が生まれる前、母がよく絵本を読み聞かせして

くれた事に由来しているのではないかと感じる。

妹が生まれてからはいつも苛々していて、何か粗相を

してしまうと、直ぐ打ったり蹴ったりして来た母の姿を

想起する事が多い。それを自分で慰める為に、

いつも母が読んでくれた絵本や本を読み、

温かい気持ちを取り戻したものである。







今日購入したのは、

古本屋で、

小池真理子の『蠍のいる森』

Ｓ．キングの『ミザリー』

ハインリッヒ・ハイネの『ハイネ詩集』(井上正蔵訳)

小倉豊文の『広島原爆の手記』。

そして種類豊富な本屋で、

中原中也の『中原中也詩集』

大好きな三谷幸喜脚本の映画『笑の大学』ＤＶＤ

以上である。古本屋では物凄く安く本を手に入れる事が

出来たので、とても嬉しかった。

そしてお盆に祖母の家へ行った時、少々お小遣いを

貰ったので、消耗品で無く残る物を購入しようと思っていた。

なのでＤＶＤと、ずっとずっと欲しいと思っていた

『中原中也詩集』を購入できて

とても幸せな気持ちになった。







どうしても、『虚無』を見つめていたり、

自分の病に対して様々な考えを思い巡らせたりすると、

途方も無く精神的疲労が積み重なってくる。

特に昨日、主治医から聞いた言葉で考えさせられるものが

あったからかも知れない。

それは、



あなたの場合摂食障害は、発病するまで

“大人にとって都合の良い子でなければならない”という

洗脳状態だったんだよ。そして発病してその“良い子”

である状態を吐き出しているんだと思う。

しかし、それで何も食べられなくなるのは皮肉な事だ。



と言うものであった。







今まで、“大人にとって都合の良い子”と

なっている事により、子どもなりに生きる術を見出していた。

そしてある程度の年齢になり、“良い子”を

脱ぎ捨てる時がきた。その反抗が私の場合、

『摂食障害』だったのである。







だから、“良い子という言いなりの自分”を

止めても、そこに在ったのは『虚無』であった。

『毒を以って毒を制する』に似たようなもので、

言いなりを止める為に痩せた身体を

持ち込んだ。しかし、『大人の都合の良い子』の方が

生きていくのにはきつい事であろう。







こんな事ばかり考えていては煮詰まってしまい、

にっちもさっちも行かない。

なので凝り固まった頭を解す為、好きな読書を

嗜むのである。







特に詩集は良い。

私は、

「兎に角前向きに生きていこう」

と言うような明るい詩は苦手である。

恋に苦しみ、愛は何かと模索して、生きる事に疑問を感じ

生と死の狭間で苦しむ中で、飽くまでも美しい自然を

突きつけられる･･･そんな人間臭いものが

大好きなのである。その方が、自分に合っていると言うか、

正に“生きる苦しみ”を詩に認めている作品に、

共感を覚えるのである。







だが、今日は本当に疲れてしまった。

何も食べる気になれないのに、



「過食嘔吐せねばならない」



と言った強迫観念が付き纏う。







頭の中を煮詰めて見詰めた後は、

今日購入した詩集を読んだり、ＤＶＤを観たりして

冷却し、落ち着いて過ごしたい。そして大好きな香りの

お香を焚いて、リラックスする時間を作るように

したいものである。