凍えたココロ

蒸し暑い夕方。昨日とは打って変わって、

涼風の吹かない夕べである。

空を仰ぐ余裕も無く、私は足早にスーパーへ向かった。







この頃、お薬が効きすぎているようである。

特に眠剤に関しては、朝方服用すると起床しても

ずっと怠さが続く。今日はその怠さに負けて

１８時まで昏々と眠り続けていた。

そしてシャワーを浴びる暇も無く、コロンを付けて

過食食材を買いに行った。しかしいつも購入している

お惣菜は殆ど売り切れていて、とことん付いてない日だと

感じた。







空腹を感じたので、スーパーで購入した

インスタントの、なめこのお味噌汁を少しずつ口に含んだ。

固形物にはまだ抵抗があって消化しようと思えないが、

この塩分が何だか身体に染み渡っていった。

そして漸くシャワーを浴びる。

温度設定を高くして、熱いシャワーを･･･。

私はシャワーを浴びる事が大好きなので、

凄くリラックスした。身体を隅々まで洗っている間は

『虚無』について等考えなくて済むのである。







疲れてしまうので、湯船には入らない。

火照った身体を沈めてくれるのは、冷えた発泡酒である。

身体中がさっぱりして、ごくごくと飲む発泡酒は、

また一味旨く感じる。







閑話休題。

よく主治医に諭されるのは、



「光があれば当然日陰もあるんだよ」



と言う事である。病を患って外の世界に出て行けない私は、

日陰の人間である。勿論光に焦がれている時もある。

けれども、日陰には涼しくて一休みできる良さがある。

謂わば、



日向で無理して働き回り、動き回り、燃料を切らした人が

お休みする所･･･それが“日陰”なのであろう。



猛暑の中、営業で動き回り働き続けた人が、

ふと涼しいカフェなどに入ったら心の緊張が解ける･･･。

そんな感じではなかろうか。







しかし、私の様な日陰の人間にとっては、辛くなる時がある。

何時までも何時までも、大樹に縛り付けられて日陰で過ごさねば

ならない事。でも、無理矢理縛り付けられた縄を引き千切って

陽のあたる場所に出てしまったら、疲労困憊してしまうであろう。

だから、この木陰でゆっくりと日向へ出る準備をする事が

必要であると感じる。







しかし、光が強ければ強い程、影も濃くなる。

闇が濃くなる。だから余り光に恋焦がれないように

気を付けねばならない。







光のあたる場所が、全て良いものとは限らない。

その為には、木陰にいる間にあらゆるものを分別する

知識や見る目も養わねばならないであろう。

世の中には、良い人も居るが、悪い人もごまんといる。



人の事を貶めて楽しむ人。

聞こえよがしに悪口を言ったり厭味を言う人。

集団になって１人の人物を攻撃する人etc...



挙げればキリがない。でも、

優しく温かい人もいる

という事を忘れてはならないであろう。皆が皆、悪い人ではない。







唯、私は悪い人と言うか厭味な人、悪口を平気で叩く人達の

中に放り込まれた事がある。その時の傷口は深くて、

未だに日向に出る勇気が出ないのである。

このように弱い部分は、補強せねばならない所である。







光と影。勿論光に恋焦がれる事もある。しかしやはり

メリットだけではなくデメリットも多い。

様々な事を、こうして影にいる間に噛み締めて深く考慮し、

けれども頭でっかちになって、恐怖だけを募らす事の無いよう

気を付けねばならない。

光の当たる場所に疲れたら、木陰で少し一休み出来る様な

そんな余裕を持った日々を送りたいと感じる。