凍えたココロ

まだ夜も明けきらぬ空を見ながら、

ゴミ置き場へ向かう。

ゴミを捨てた後、空を仰いで

その清々しい空気を胸いっぱいに

吸い込む。少し冷たい朝の空気が

身体中に染み渡る。

寝室の窓を開けて、爽やかな外気を

深呼吸しながら、眠りに就く。

こうして私の１日が終わった。







１５時過ぎに一旦目覚めたが、

身体の怠さに耐え切れず

また枕に顔を埋める。

そんな怠惰な生活に嫌悪感を覚えるが、

眠っている時だけが何も考えなくて

済むので、眠気の催すままに

睡眠を貪る。

今日の日中は然して過食衝動もなく、

只管身体が怠く感じられた。

思い切って起き上がった時刻は

１７時半を過ぎた頃であった。







朝、あんなに心地良く眠りに就いたのに、

目覚めたら、鬱々としてしまう。

夜になれば『過食嘔吐をせねばならない』という

観念が振り解けないからであろう。

正直な所、



「過食嘔吐なんてしたくない！」



と強く想っている。しかし、



『過食嘔吐をやらねばならない』



と言った訳の分からぬ強迫観念に因って

毎晩その行為に至るのである。

そしてその後は腑抜けた自分が残される。

煩悶と抑うつ状態に陥る。







そうして気が抜けているからか、

昨日の夜、部屋に入る時に転んでしまった。

しかも運が悪い事に、躓いたその先には

木製の棚が置いてあり、

顎と鎖骨を強かに打ちつけてしまった。

その瞬間、目の前が真っ暗になり、

暫し動けなかった。

その時は鎖骨と顎に少々の痛みを感じるだけで

あったが、今日シャワーを浴びている時に

顎や鎖骨に触れると、鈍い痛みが走った。

打ち身になってしまったのであろう。

体力が衰えてしまった感じがして、

幾許かの寂寥感を覚える。







１９時頃、弟が家にやってきた。

晩御飯を食べる為である。

最近は酢豚がお気に入りのようで、

家に来る時はいつも母に

「酢豚が食べたい」

と頼んでいる。

そしてお祭りのときは赤く染めていた髪が、

金髪の坊主頭になっていた。

働いているし、行動力のある弟が

羨ましく思える。私は伸びてきた前髪を切る

気力さえなくなってしまっているから･･･。

でも弟は飽く迄も優しく接してくれるので、

心が温まる。







嗚呼、今日もこれから「過食が始まり嘔吐する」と

想うと、物凄く気が塞ぐ。

しかし、これは病症であると自分に言い聞かせる。

この病症がある事で、幾許かの心の安定が

もたらされているのであろうと感じる。

そして、過食嘔吐をしている時間は、

“顔なし”が暴れていて、“ハク”がそれを

排除しようとしているのである。

そこに必要なのは“千尋”の存在である。

“千尋”が“顔なし”に与えた『苦団子』が

無ければ、暴れ回るこの症状を止められない。

不思議に心が落ち着いている時は、

食べようとも想わないし、吐く為に食べたいとも

感じない。

しかし、夜になると無条件に



『食べて食べて吐かなければ』



と言う状態に陥っているのである。

そしてそうする事で、自分を諌める事ができるのである。

これは心を蔑ろにしているという事であろう。







昨今の調子の悪さは、怠惰な生活に由来しているのであろう。

しかし、体調の悪さも関係している。

どんどん自分を苦しめているような境地に至る。

今は、『どうして夜の過食嘔吐は避けられないのか』

と言う事が目下の問題なのである。

けれども、この行為に走っている時は、

無我夢中であり、何も考えなくて済む上に、

心の中のぽっかり空いた穴を仮埋めしている気分になる。

嘔吐してしまったら、また心の穴がまざまざと

浮かび上がるのであるが･･･。

少しゆっくりと過ごしてこころと身体を休ませて、

余裕を持って行動する事が目標である。