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2006.11.17
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日毎に朝の訪れが遅くなる中、

私は只管この暗闇と対峙している。

暗闇は、孤独を呼び寄せる。

その孤独が寂しさを

増幅させているのであろう。







寒空の夜の下、スーパーへ向かう。

毎日同じ事の繰り返しであるが、

その日その日に因って空気の匂いは違うし、

肌寒さも違っている。

その様な小さな発見を感じつつ

歩いていくのは少し楽しい。

気分の良い時は歌も口ずさめる。

澄んだ夜空は星が散らばっていて、

月と共に私を見下ろしている。

そして私は安心するのである。







物心付いた時から、

誰かと“共に”何かをする

という事は殆ど無かった。

それは3世代続いているもので、

祖母は船乗りの祖父と半年に1回しか

会えなかったし、その中で子育てを

独りでしていた。

祖母は祖父が帰港した港に行っている間、

母は妹の面倒を見なければならない

“役割”があった。

そして年月が経ち、母は父と結婚したが、

そこでも孤独であった。

親戚中から苛虐に遭い、独りで子育てを

しなければならなかった。

父は働いてお金を稼ぐという“役割”だけを

こなし、子育てにはノータッチであった。

寧ろ父の方が子どものようであった。







こうして『共に何かをする』という

経験が無いまま、私は『姉と言う役割』に徹し

孤独は増していった。

そして紆余曲折を経て

摂食障害を患っていたのである。







私には、『食べる』と言う行為にも

過去に傷があった。

幼稚園の頃、お友達は給食やお弁当を食べ終わって

遊んでいる中、私は全部食べ切れなくて

ずっと教室の中から皆が遊ぶ所を見ていた。

給食も苦痛であったし、

中学生の時は不登校であった。

そして高校では真面目に勉強する女子は

私だけであったので、お弁当は独りで食べていた。

『共に食事を楽しむ』

と言う習慣は無かった。

家でも病気の為、兄弟と食事を共に出来なかったし、

妹は非行に走って家出をして、弟は勝手に食事をしていた。

そういう所から歪みが発生したのであろう。







摂食障害を患っている人の多くは、

きっと人と『共に食事をする事』

難しく感じたり苦手だと思う人が

多いと感じる。

私は共に食事をする苦痛さ

感じていて、その為に会食拒否をしていると

言っても過言では無いであろう。

しかしそんな中、火曜日に祖父母と母と共に

温かいお蕎麦を楽しみながら食べられたのは、

とても嬉しい“発見的体験”であった。

今まで、『自分の役割』だけに

徹していた。“役割”を貫徹する事は

孤独感を増すものなのである。

そして“共に”と言う感覚を

失わせてしまう。







また、以前妹達と同居していた時は、

家に居る人数は多かったけれども、

病気の私はどんどん孤立化していった。

過食嘔吐の一連の作業を

妹が毎晩呼び寄せた友達に見られ、

物凄く恥ずかしかったし、苦痛であった。

病気がある事で、多い人数の中に居たら

余計に孤独感は増していったのである。

今、母と2人暮らしになって、

環境はとても落ち着き、静かになった。

私は過食嘔吐をする為に

母と共に食事をする事は無くなったが、

孤立感・孤独感は和らいでいった。

だから2人暮らしでも

そんなに特別寂しいといった感情は

薄らいでいる。

これは、母と“共に”生きているからであろう。







“共に”苦しんだり悲しんだりする事は、

“愛”に繋がるのである。何事も1人では

ただただ空回りして虚しいだけであろう。

苦しみも、哀しみも、寂しさも、虚しさも

“共に”感じられたならば、孤独感は和らぐ。

そして温かい気持ちも生まれる。

しかし、今まで馴染みのなかった感覚である為、

とても難しく想えて来る事もある。

でも、やっと最近『私は独りではない』と言う事に

少しずつ気付き始めている。

この摂食障害と言う病気を患っている何百万人と言う人達と

“共に”苦しんでいるのであるから・・・。

私は同じ病気の人々が集まったミーティングや

何かの会に参加したことは無いが、

この世の中でこの病気そしてその為に併発したうつ病等に

苦しんでいる人は凄く沢山居る。

それを感じながら、「自分は独りじゃない」と言い聞かせ、

私の歩くペースで、ぼちぼちと軌道を踏み締めていきたいものである。





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Last updated  2006.11.17 20:47:40
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