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カテゴリ:診察・カウンセリング
日毎に夜を迎える時間が
遅くなり、今日外に出ると 西の空がまだ薄いオレンジ色を していた。 久し振りに見たその空の色は 美しかった。 今朝見た桃の花は、 昨日あんなに風雨が吹き荒れたのに まだしっかりとその存在を 知らしめていた。 雨雫が朝の太陽に反射して キラキラ輝き、 それに見惚れつつ 私は手を合わせて祈りを捧げた。 金曜日、電話診察がある為に 大幅に就寝薬を減らして眠ろうと 無茶な事をしたら、 矢張り寝付けず、苛々してきて また食べ始めてしまった。 立て続けに過食と嘔吐をすると身体中が痛くなる。 その痛みに苦しみながら、 何度も寝返りを打って 断眠の嵐の中、3時間程度は眠れた。 目覚めた後、ミルクティーを飲んで 糖分を補給し、頭が働く状態にした。 そして病院へ電話をかけて 自分が想っている事を主治医にぶつけた。 最近、いつも眠る時間が遅くなり、 目覚めるのが23時や24時になって 『罪悪感』を覚えていた。 しかしそれを言うと、主治医は 「ちょっとまって。眠る事は良い事なんだからどうして 罪悪感なんか覚えるの?」 と仰った。 私は、母が一緒に買い物に行く為に 仕事で疲れた身体で私が起きるのを 待っていてくれる事が申し訳ないと 感じていたのである。 でも主治医はその奥にある感情を見抜いた。 「眠る事が病気を治すのに大切な事だけど、そう感じるのは ポジティヴな変化に対する恐怖感があるからだよ。」 と仰っていた。 そして、お薬を服用しないと眠れないのは 仕方が無いけれど、睡眠は病症ではなく、 自然なものなのである。 あるがままに眠れたらそれで良いという事であった。 今は生活リズムは狂っていて、無理にリズムを 作ろうとしているが、身体は覚えているのであるから 自然なリズムに戻ってくるから大丈夫だと 安心出来る言葉を頂いた。 リズムが一定でなくても、起床したのが 何日の何時か分からなくても、自然なんだから それで良いと大らかな考え方に導かれた。 ただ、摂食障害を患っていると 余裕が無いのでどうしても 『パターンを崩す』という事が 大きな恐怖だと感じてしまう。 だれしも、生活のリズムやパターンが 崩れる事は好まない。そして病気を患っていると、 それに恐さも感じてしまうのである。 生活のパターンが崩れるのは恐怖であるが、 崩れない方が虚無感を喚起させる。 だから自然に任せるべきなのである。 下手に意志の力を発揮させようとすると、 病症が強固なものになっていく。 だから恐怖感や不安感を包括して 焦らずやっていく事が大切なのである。 閑話休題。 私は先日、哀しくなって声をあげて 大泣きをした。 その事について、主治医と共に強い信念を 抱く結果が生まれた。 人間以外の動物は、涙を流して泣かない。 人間の近くにいる犬でさえ、哀しい表情はするけれど 涙を流す事はない。 人間に唯一許された大きな事は、 『涙を流して泣ける事』ではないであろうか。 そして、涙を流す事は哀しいけれど、 虚しいものではない・・・と言う結果である。 この哀しみに対して涙を流し泣けるという行為は 人間のみに許された行為なのである。 そして涙は清浄してこころに溜まったものを 昇華させてくれる。 これはとても尊いものであると感じる。 子どもの頃、母からの叱責や打擲の苦しみや痛みで 涙を流す事はあった。 しかしそこに漂っていたのは 『虚無感』だけであった。 それはまともな事ではなかった。 でも、その時に私のこころは死んでいた訳でなく、 こうして病気を発症した事で 自然なこころが蘇ったのである。 それは内側に潜んでいた大きな力が 働いたからであろう。 病気を患っている人や、働いていない人に対して、 社会の常識などと言う陳腐なもので 圧力をかけてはいけないと感じた。 私は、知らず知らずの内に 健康なのに働かない弟や、弱っている妹に 接触しようとして、無言の圧力をかけてしまっていると 痛感した。 PTSDを患って辛い想いをしている人に 色々と働きかけようとする事は、 早く処理しようとしている感じが否めない。 本来ならば、沢山、沢山泣く時間を与えるべきである。 こうしてまともだと想えるような 『お姉ちゃん』になろうとする事が間違いだと気付いた。 私の病気も、自然に任せる事が大事である。 病症は、どんなに努力したって頑張ったって それを食い止める事など困難なのであるから・・・。 桜並木の花々がやっと咲き始めた。 東京では満開だとニュースで報じられていたが、 こちらはまだ満開にはなっていない。 けれども、この暖かさで少しずつ花が開いている。 今年は、美しい桜の姿を見られるであろうか。 何だか、桃の花が満開に咲いているだけで 私のこころは満たされている。 これからは、哀しくなったら涙を流して 泣くという事を大切にして、 あるがまま、自然に歩んでいきたいものである。 そして主治医が仰ったように、 たっぷりと眠って心身の疲れを取りたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.30 21:06:41
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