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カテゴリ:想い
思う存分眠り
微睡みの中から 覚醒するのが 快く感じられた。 10時頃 目覚めたのであるが、 母は部屋で眠っていた。 朝のお仕事が キャンセルになったのかなと 想っていた。 私がネットをしている時 母が私の部屋に入った。 「ポ○リとかのスポーツドリンク、ある?」 と訊ねてきたので 私はいつも飲んでいる ダ○ラを渡した。 どうしたのか訊いてみると、 朝の4時位から気分が悪くて 何度も吐き、酷い下痢を しているという事であった。 その為、今日は お仕事をお休みしたと言う。 想い起こせば、 母は昨日の夕飯に 半額になった お刺身と、エビの塩茹でを 食べていた。 その上、ビールもかなり飲んでいたので 脱水症状に拍車が かかってしまったのであろう。 手足が痺れるとも言っていた。 多分、食中りだろうと 感じた。 凄く心配なので、 「病院、行ったほうが良いよ。」 と提言すると、 「うん・・・でも14時からだから まだ行けないんよね・・・。 それに、運転する気力がない。」 と言っていた。 この時、自分が運転免許を 持っていない事が悔やまれた。 でも、弟は今日仕事が無いと言う事で 弟に連れて行ってもらうことにした。 母はその間も 部屋とトイレを行ったり来たり していて辛そうであった。 何も出来ない自分が 酷くもどかしく、哀しかった。 14時を過ぎても、 弟は来なかった。 どうしたのだろうと 携帯に電話をしたら、 「事故に遭った。」 というので驚いた。 弟は原付で交通規則の通り 普通に走っていたのに、 並んで走っていた乗用車が 突然弟の方に曲がってきたらしい。 弟は転んだが、足首を擦り剥いた だけで済んだ。 母の事があったので、 その場で示談という事になった。 私は留守番をしていた。 母の掛かりつけ病院へ行ったら、 “嘔吐下痢症” という診断が下された。 原因はお刺身かも知れない。 夏場に生ものを食すのは もうやめておこうと 2人で話した。 病気を前にすると、 人間とは如何に無力か という事を思い知らされる。 母の事が心配でならないのに 私は決まった時間になると 過食と嘔吐をした。 こんな時にまで 自分は何をやっているんだと 激しく責めたが、 病症はどんな状況下にあっても 現れる。 そしてまた、 私は固形物を食すと 必ずお腹が下る。 もう1年近く お薬の副作用以外では 普通のお通じであった事がない。 私が、今日もまた 同じ事を繰り返し 自業自得で苦しんでいても、 母も辛いのに心配してくれる。 その上、 「本当は○○ちゃんが、 私に甘えんといかんのに ごめんね。」 と謝るのである。 胸がきつく締め付けられた。 だから私は、 「母さん、母さんがしんどい時まで 私のこと気にしないで良いんよ。 ゆっくり休んでね。」 と返事をした。 お互いが弱っていると、 瞬く間に地面が揺らいで 不安定になる。 私自身、弱っている母に 心配を掛けたくないから 少し無理をする。 でも、それこそ 臨機応変というものかも 知れない。 また母が元気になったら、 辛い時に抱き締めてもらおうと 想える。 甘えてばかりではいけないが、 病と生きる中で スパイスのように 母と私の間にある 信頼関係や温かい雰囲気を 感じ取るのも大切であろうと 考える。 話は戻って、 私はてっきり 母は点滴をしてもらったと 想っていた。 私が何年か前、 冬場に何度も発熱して 嘔吐と下痢が止まらなかった時、 近所の内科で いつも点滴をしてもらって いたからである。 それは電解質とビタミンなど 脱水症状防止の水分補給を する為であった。 でも母は注射だけだったという。 そして吐き気止めと 下痢止めのお薬をもらってきた。 悪いものを全部排出する為に 下痢止めは使わない方が良いと 聞いた事があったので 不安であったが、 医師の処置なのできっと 正しいのであろう。 さっき、母の部屋に行ってみたら コンロの火にかけるだけで 作れる鍋焼きうどんを 食していた。 「大丈夫?」 と訊くと、 「うん。何とか食べられたよ。 でも、暑い。」 と言っていた。 確かに夏場に熱いうどんは きついものがあるかも知れないが、 おうどんは消化に良いから 栄養を補給できたようで安心した。 大事を取って、 母は明日もお仕事を 休む事にした。 私としては安心である。 治りかけの身体で ハードな体力仕事をしたら それこそ倒れてしまうであろう。 母は一生懸命生きている。 そして私という病気を患った 人間を養う為、必死に働いている。 私はなんて親不孝なんだろう。 確かに外出さえ儘ならないほど 病状は悪化の一途を辿っている。 しかし、だからと言って いつまでもこの状態ではいけない。 けれども、頑張ろうとすればするほど それは空回りする。 何とか母の力になりたい。 それを切実に願っている。 買い物は、久し振りに 1人だったので 緊張してお腹が痛くなった。 母の為にスポーツドリンクを 購入して、 後はいつもの商品を カゴに入れていった。 帰りは流石に 荷物が重くて 指が千切れそうになった。 けれどもそんな事は 母が休んでくれているんだから そんなに気にならないし 辛いものでもなかった。 母のために何か購入できて 手渡せたのが嬉しかった。 明日には、母の体調が 良くなっているよう 星に願おう。 夕方、スーパーへの道々。 植え込みに群生している ペパーミントの葉を1枚取って その香りを楽しみながら歩いた。 清々しい気持ちで空を見上げると 薄いブルーと橙色が グラデーションになっていた。 この時間帯の空の色は 本当に美しいと想う。 母は滅多に風邪も引かないほど 元気であったのに、 毎日の仕事のストレスから 少し心身が弱っていたのかも知れない。 それに気付けなかった事が悔しい。 母には明日も ゆったりと過ごして欲しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.18 21:36:59
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