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2007.11.19
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カテゴリ:無力感

夜が明ける前の

4時半頃

可燃ごみを捨てに行く為

外に出た。

とても寒く、真っ暗な空に向かって

「はあっ」と息を吐いたら

真っ白だった。

そして何気なく空を見上げたら、

星が一面に広がっていた。

こんなにも、空には星があったのかと

吃驚するくらいに。

精神的に参っていると、

空に星がある、当たり前な事を

忘れてしまう。

綺麗に輝く星がいっぱいいっぱい

この地球から見えるなんて、

その美しさに感動の溜め息が出た。







お薬の服用が不規則に

なっている。

その所為なのか、顔だけが

浮腫んでいる。

顔はまん丸で腕は棒のようで

不恰好である。

多分、肝臓や腎臓に

負担が掛かっているのであろう。

最近は、強いお薬を

服用しているから

仕方のない事であるが。

大分落ち着いてきているので、

以前の処方に戻して頂く為、

今日、先生にお手紙をしたためる

つもりでいる。







朝の過食嘔吐を終えて、

眠剤を服用してからもまた、

強い葛藤があった。

“食べたい気持ち”“眠りたい気持ち”

が入り乱れ、

こころに混乱を引き起こした。

だが、葛藤している内に

眠気が凄く強くなっていって

いつの間にか私は眠っていた。

目覚ましのアラームがなるまで、

1度も目覚めなかった。

以前は断眠が当たり前だったので

このお薬の強さには

少し驚いてしまう。







目覚めて寒さを感じたので

エアコンを付け、

ホットミルクティーを作った。

本当はさっさとシャワーを

浴びねばならない時間だったけれど、

何だかせかせか動くのが

面倒臭いと感じていた。

ぼんやりした意識で

煙草に火をつけ、ゆっくり吸っては吐いた。

煙の行く末をただ、

目で追っていた。

ホットミルクティーの温かさに

癒された。







煙草について。

私が煙草を吸い始めたのは、

24歳を過ぎてからである。

それまで吸えなかったし、

吸おうとも想わなかった。

今では、大切な存在である。

何故かある日突然、

煙草を吸いたくなったのである。


病院の帰り、品揃えの多い街のタバコ屋で

初めて買ったのは、葉巻だった。

これなら、肺まで煙を

吸い込まなくて良い上に、

煙の香りを嗜めると想った。

それに、煙草と違い

放っておけば火が消えて、

また気が向いた時、

その続きを嗜める。

安い葉巻であったけれど、

大満足だった。







次に私が興味を持ったのは、

フレーバー煙草だった。

ネット等で色々調べて、

チョコレートやココナッツ、

バニラやイチゴ、レモン

メロンフレーバーがあると知った。

これらは、デパートで購入した。

バニラとチョコレートのフレーバーが

好きだった。

でも、飽きてしまった。

普通に煙草が吸えるようになり、

好きな煙草はマルボロと

ラッキーストライクになった。

他にも色々試している。

煙草の味を覚えた頃、

やがて心が荒む時期を迎えた。

その頃の私は、カルーアを

ロックで飲みながら、

只管強い煙草を吸っていた。

それで1度、物凄く気分が悪くなり

動けなくなった事がある。

結局、その様子を見た母が

主治医に相談して、

23歳の時入院した県病院に

連れて行かれる事になった。

胃の中はお酒だけで、

何も食べていなかったから

吐き気が物凄かった。

点滴処置を受けて、暫くしたら

漸く意識がはっきりしてきた。

内科の主治医には、

「お酒も煙草も程ほどに楽しまなきゃ

 つまらないよ。」


と諭された事を覚えている。

それ以降、お酒と煙草の無茶は

多分、していないと想う。

お薬を多く飲むODは

何度かやってしまったが。







いつものように、

母と色々話しながら

スーパーで買い物をしていた。

ちょっと疲れてきたら、

自販機でホットカフェオレを購入して

一緒に飲んだ。

今日大変だった仕事の話、

楽しかった話、

寒いけれど、ビールと発泡酒は

止められないねという話・・・。

いつものように、

こころが解れてきていた。

弟から電話が掛かってくるまでは。







弟が、財布を落としたのである。

しかも中には6万円という大金が

入っていたという。

どうしてそんな大金を

お財布の中に入れていたのか

私は聞いていない。

だがそんな大金が入ったお財布は

大切に扱うであろう。

バッグに入れるとか、

決して落とさないよう

ポケットに入れるとしても

チェーンをつけておくとか。

しかし弟は腰で穿いていた

ぶかぶかデニムのポケットに、

お財布を無造作に入れて

原付を運転している途中、

落としてしまったという。

これが初めての事なら、心配するけれど、

同じ事を4回繰り返している。

母も私も、怒るというよりも

呆れ、哀しかった。

6万なんて大金があれば、

健康な1人暮らしの人なら

節約して1ヶ月は

悠々と過ごせるであろう。

だが弟も、きっと労働の結晶である

お給料というお金を落として

がっくりしていると想う。

お金の管理に関しては、もっと厳しく

注意しなければと考えた。







弟の話の後、

母は明らかに怒っていて、

やるせなさを醸し出していた。

同時に、私は無力感を覚えた。

パステルカラー彩られた

雰囲気から、

一気に灰色の世界へ変わった。

母を助ける事もできない。

支える事もできない。

「なんて無力なんだ。」

と自分を責め苛んだ。

柔らかく色々と話しかけても、

言葉を返してくれない虚しさ。

独り芝居。

哀しかった。







家に帰り着いて暫く経つと、

溜飲が下がったようで

少しだけいつも通りの母に戻った。

それまで、実は生きた心地がしなかった。

自分の存在さえ消したかった。

私さえいなければ・・・と。

迷惑ばかり掛けている自分が

情けなくて赦せなくて、

家に帰るまでずっとずっと

「今日は自傷をしなければならない。」

という想いでこころの中は

占められていた。

母は哀しむかも知れないけれど、

私が生きている罪を贖う術は

“自分を傷つけること”以外考えられない。

簡単な事である。

血管を傷つければ後は勝手に

血が出るだけなのであるから。

母には黙っていれば良い。

主治医に相談すれば良い。

生きている罪は、生きている限り

贖う事が出来ない事も承知している。







険悪な空気を切り裂いたのは、

1杯のお味噌汁だった。


もずくを温めて、

それに即席のお味噌汁の素を入れて

ポットのお湯で溶く。

熱々のそれを母に手渡したら

それまでこわばっていた

母の表情がやっと緩んだ。

ホッとした。

私もやっと、笑えた。

でもまだ、無力感の最中にいる。

脱け出す為に足掻くのが

過食と嘔吐であり、自傷なのであろう。

行為自体は、決して良いものではないが、

生きる方向へ進む為

必死にもがいている姿でもある。







過食と嘔吐は、苦しい。

何故、こんな事を毎日何度も続けるのかと

不思議でならない。

【過食と嘔吐】

という行動は、物凄いパワーを

孕んでいるのである。

抑うつ状態で鬱々していても、

食べ始めたら我を忘れて

集中して食べる事だけを考えている。

自傷も似た部分があり、

自分を傷つける為や、痛みを覚悟する時に

血がたぎるようなパワーを要する。

“そうしなければ、無力感に飲み込まれる”

こういった恐怖は計り知れないからであろう。

怠い時は、煙草を吸う事さえ

面倒臭いと想うのに、一旦食べたいと

想ったら、その固執した観念を逃すのに

苦しむ事になる。

病気、病症。それらをきちんと

受け容れたいものである。

少し哀しい月曜日になったけれど、

明日、母はお休みなので

ゆっくり眠って心身を休めてもらえたらと

願ってやまない。





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Last updated  2007.11.19 22:19:03
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