凍えたココロ

いつからか雨は降り始め

止まない。

その冷たい雨は、身体もこころも

冷やしていく。

温かい蒲団が愛しくて

私は１０時間も眠っていた。

お薬は削っていたので

ちょっと調子がおかしい。







疲れが長引いているのであろうか。

眠っても眠っても、まだ眠い。

頭の中にもやがかかっているように、

ずっとぼんやりとしている。

辛うじて、やらねばならない事を

何とかこなしているだけである。

でも、カレンダーを見て思い当たる事があった。

「そろそろＰＭＳの症状が出る時期だ」

だから、過眠気味であるし、

すぐうつ状態に陥る。

これから１週間は、多分鬱々とした言葉が

頭の中をぐるぐると廻って、

此処にも暗鬱とした文章を

綴ってしまうかも知れない。

そんな自分は厭なので、無理をし過ぎないで

少しは【うつ】に翻弄されないよう

努力はしたいものである。







“ゆるりゆるり”といきたいが、それがまた難しい。

焦ってはいけない、自分を責めてはいけないと

分かっていても、想えば想うほど

その状態になっていくものなのである。

精神が逼迫してきて、緊張を伴う。

そして、徹底的に自分を責め抜く。

【自分を責めるという事】

これもまた、小さい頃からの癖である。

「お母さんがこんなにぶったり蹴ったりするのは、

　私がいけない事をしたからだ。

　私が駄目だからだ。

　鈍臭いって良く言われるけれど、

　その通りだからなんだ。」

そうやって、母が打擲する理由を自分なりに

解釈して、泣きながらも耐えていた。

それが、３歳から１４歳くらいまで

続いたのだから、

容易に自分の考えを変えるのは

難しい事であろうと考える。

主治医は、無理をして前向きになる事はないと

仰っていて、その言葉には様々な意味が

含まれていると想う。

「常に前向きで楽しく過ごさねばならない」

という想いは、それこそ不自然であり、

無理をしている事になる。

自ずとリラックスしていられる時間が増え、

【今、楽な気持ちで過ごせているなあ】

という感覚でいられる事こそ、

大切なのかも知れない。

そこから、“ゆるりゆるり”とした感覚が

ふんわりと浮かんでくるのだと想う。







眠りから醒めたのは、スーパー閉店時間の２０時だった。

ＰＭＳの症状が始まっている事と、

雨が降って低気圧だという事が

絡まり合ってこんなにも眠り続けたのかも

知れないと考えている。

でもこの所為で母に迷惑を掛けてしまった。

まだ、本調子ではないのに

近所のスーパーは閉店してしまった為、

遠くのジャスコまで

行かねばならなかったからである。

ジャスコは、店舗自体が大きい分、寒い。

そして、母とすぐにはぐれてしまう。

私は、人の多さに半ば解離していた。

冷凍食品も、いつもなら原産国を

きちんと調べるのに、何もしないで

カゴに入れた。

後で母の話を聞いたら、

「私、冷凍食品のお好み焼き買おうと想ったんやけど、

　原産国が○○やったから、やめたんよ。」

という事だった。私はその商品を買っていた。

私はてっきり、お店側は

問題の国が原産国となっている商品を、

全て撤去していると

思い込んでいたのである。

身体もふわふわしているし、

自分が何者かさえも分からなくなり

ぼんやりとしながら買い物を済ませた。

母はしきりに寒がっていた。駐車場から

お店に入るまで母も私も雨に打たれたし、

その上店内も寒かった。

風邪が完璧に治っている訳ではない母。

たとえ母にも買うものがあったとしても、

巻き込んでしまって、自責の念に駆られた。

迷惑を掛けまいとすればするほど、裏目に出て

結局、迷惑を掛けて負担になっている。

謝ったけれど、やはり自分は駄目な人間だと

感じた。







楽しみにしていた映画も、途中から観る事になった。

『星になった少年』である。

２０分ほど遅れて観始めたが、

あらすじは知っていたのでストーリーに取り込まれた。

随所で涙が溢れ、流れた。

それまで、精神が鈍麻した状態になっていても

映画の世界に入り込むと

【こころで感じる感覚】が鋭くなり

凄く感動した。

ハッピーエンディングとは言えないけれど、

胸がじんわりと温かくなった。

まだ、私のこころに何かを感じ取り

感動して涙を流せる感覚が残っている事に

安堵の念を覚えた･･･という言い方こそ

論理的なのであろう。

素直に言えば、私は涙を流しながら

映画を観られた事が嬉しかった。

そう、素直に言えるようになりたい。







こころの中で、赤信号が点滅している。

【これ以上無理はするな】と。

しかし、無理をしているから

生きていられるという事は否めない。

精神的に、どんなに苦しくても辛くても、

無理矢理自分が定めた“やらねばならない事”を

こなしているから、どうにか生きている。

毎晩、発泡酒や日本酒を飲んでいるが、

日によって美味しい時と全く味気ない時がある。

ＰＭＳの症状が出始めたら、毎日飲んでいるからと

時間潰しの為にお酒を飲んでいる状態になっている。

そういう時は、全然酔えないし、

頭が冴えてしまうような感覚に陥る。

ひとつだけ、嬉しいのは食欲がなくなる事位である。

只管、発泡酒を飲んでは、ぼんやりとＴＶを観ながら

煙草を吸う。漫然とした時間が、流れる。

しかし、こころの何処かでは焦りが生じている。

「何故酔えないのか」「どうして落ち着かないのか」

そんな些細な事でも、自分を責め苛む切っ掛けとなる。

ＰＭＳの期間は１週間強である。

これから抑うつ感が酷くなっていくのは

目に見えて分かっているので、

処方されているお薬は全てきちんと服用して

眠り過ぎても良いように対策を考え

こころの安寧を保ちたいものである。







土曜の朝は、ＴＶでアニメが放送されている。

５時からは『ＯＮＥ　ＰＩＥＣＥ』

５時３０分からは『ＢＬＥＡＣＨ』である。

お蒲団の中で横たわって、楽しみながら観ている。

少年漫画は、結構面白い。

小学生低学年の頃読んでいたのも

少年漫画だった。高学年になると、『リボン』等の

少女マンガも読んでいた時期があったけれど、

もどかしさがむず痒かった。

勿論、面白いから欠かさず読んでいたのであるが、

弟が少年漫画を読み始めた事から

私は少女漫画を読まなくなって、弟の漫画を読んでいた。

今、ＴＶで観ている『ＢＬＥＡＣＨ』は少々複雑だが、

かなり魅力的なアニメである。

余裕があった頃は、『ＨＵＮＴＥＲ×ＨＵＮＴＥＲ』が好きで

コミックを集めていたが、そのうち何故か

興が冷めてしまった。

こころのゆとりが無くなってきたのであろう。

ただ、アニメはほんわかできるものもある。

例えば、『あたしんち』は、主題歌を

小泉今日子さんが歌っている事もあり、

放送されていたら何だか観てしまう。

アニメを観る時は、映画やドラマを観る時よりも

リラックスしている。多分、何も考えないで

済むからであろう。

話はがらりと変わるが、

【私は１人でない】という事を、今日強く感じた。

それが、とても嬉しかった。

苦しく辛い中でも、温かい言葉を頂いたり、

励まし合えたりする事は本当に素晴らしいと想った。

人との関係には、“論理”など不必要である。

その温かさを大切にして過ごしたい。