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凍えたココロ

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2008.05.03
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カテゴリ:特別な日


゚☆,。・:*:・゚★゚☆スポットライトを浴びて、妹は母への手紙を読み始めた。゚☆,。・:*:・゚★゚☆



妹の、母との想い出。

手紙で読まれた話は、私にとっても

凄く印象的な出来事だった。

妹が、小学1~2年生の頃。

小さい頃から、妹は何故か嘘をつく事が多かった。

或る日、妹を特別可愛がっていた父にも

その嘘で怒りを買い、

「出て行け!」と怒鳴られたのである。

母は、妹が嘘をつく事にこころ悩ませていて

その日は何か思い立ったかのように

妹をおんぶして、一緒に外へ出て行った。

私と弟は、家に取り残された。

1人、いつまでも怒っている父と共に。

それが、怖かったので憶えている。

母と妹が出て行ってしまって、

その時は何処に行ったのかさえ分からなくて、

不安で堪らなかった。

母は、妹をおんぶして散歩をした。

「もう嘘はついたらいかんよ」

と諭し、ラーメンの屋台で2人、ラーメンを食べた。


これは大人になってから聞いた。

妹は、

「おんぶされた時のあの母の背中の温かさを

 今でも憶えています」


と涙声で言った。私は、その散歩道を知っているので

幼少の頃を想い出した。

哀しいのは、母と妹が居ない間、

父が私に八つ当たりしたり、怒鳴り散らしたりするので

こころの傷となって残ってしまったのである。

その光景が、披露宴という幸せな場所で

ぶわっと再現され始めて、私は涙が止まらなくなった。


でも、写真は撮らねばならないという想いで

自分を奮い立たせ、手紙の続きを聞いていた。

父と母が離婚して、妹は凄く寂しかった事。

寂しいから仕事に行かないでと言っても

母は仕事へ行ってしまった事。

父に会いたいと想っても、言えなかった事。

けれども母は、父の分まで私達兄弟を育てる為

一生懸命働いてくれたし、ご飯を作ってくれた事。


妹は、表には出さなかったけれど

本当に寂しい想いをしていたのだと改めて痛感した。

非行に走ってしまった・・・というよりも

走らざるを得なかった妹の苦しみが、伝わってきた。

妹と私、そして母とは沢山衝突したけれど、

今はこうして幸せな結婚生活を送っている。

それは、披露宴の様子を見ていて強く感じた。

涙もろい母は、手紙が読まれている間中ずっと泣いていた。

沢山の想いがよぎったのであろう。

そんな母に、もらい泣きした。

ただ、私のこころは安定を欠き、

現在と過去を行ったり来たりし始めて

立って写真を撮り続ける事はできなくなった。

席に着き、呆然と煙草を吸ってどうにか

落ち着こうとしていた。







新郎の手紙が読まれた後、会場は大きな拍手で包まれた。

何よりも、妹と出会えてこれ以上の幸せはないと

想ってくれていて、

妹の子どもが愛しくて堪らないと言ってくれた事が

私も嬉しかった。

今まで、男性には酷い目に遭わされてきた妹が、

やっと落ち着いて幸せになれるんだと

感じられた。

喧嘩したっていい。お互いを思い遣るこころさえ

忘れなければ、ずっと上手くやっていける筈だと。







和やかな雰囲気の中、新郎の父が挨拶の言葉を述べた。

それがまた、酔っているからなのか、

新郎のお母さんがその様子を見て笑っているのである。

だから、最後まで皆、笑みの絶えない

楽しい披露宴という印象が残ったと想う。

私も、苦しい時間はあったけれど、それは短いもので

最後には「出席できて本当に良かった」と想った。

あんなに幸せそうな妹の姿を見たのは

初めてかもしれないから。

祖父母が孫の結婚式・披露宴で祝えた事、

家族親族皆が揃った事が、何よりも嬉しかった。

疲れは感じたけれど、私も幸せだった。

余す所なく、写真も撮れた。

日常と掛け離れた1日だったが、

私は本当に良い時間を過ごせた。







゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚

所々、記憶が抜け落ちていて書き残したいと想った部分を

書けていない感じがする。

でも、時々ふと日常の中で想い出すので

その際、またこの日の事を少し綴れたらと想う。

例えば、祖父が妹のドレス姿を見て

いたく感動していた様子とか、

そんな祖父を見て、この場所に一緒にいられて良かったという

何ともいえない温かい気持ち、

姪っ子が可愛いドレスを着て、新郎側の親戚の

子ども達と会場中を走り回っている姿が

何とも子どもらしくて可愛らしかった事、

ケーキ入刀の際、妹と旦那さんの真ん中で

一生懸命ケーキにナイフを入れている表情が

凄くいとおしかった事など、

今想えばぽつりぽつりと浮かび出てくる映像もある。

この頃、疲れてしまっていて

何もかもどうでもいいというような

生きているのか何なのか分からない状態であるが、

この結婚式の日の事は、写真を見る度に

“幸せな事” “スペシャルな事”として想い出される。

二次会は、とあるBARで行なわれたそうで、

私は疲労がピークに達していて参加できなかったのが

本当に残念であった。

だけど、無理をして参加しても

余計心身にダメージを与え、

大変な事になっていただろうから母と2人、

家路に着いたのが賢い選択だったと感じる。

あれ以来、妹達や弟とは連絡を取っていない。

いつかまた、家族みんなが集まれる日を夢見ている。

゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚☆,。・:*:・゚★゚







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Last updated  2008.05.03 20:34:07
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