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2005.05.03
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あたしは『ラズベリー』。
 太陽の光とお水があれば、何も怖い物は無いわ。
 どんどん・どんどん根を伸ばし、あたしは増え続けるのよ。

 あたしにチョッカイを出すものは、容赦しないわ。
 この大小の棘で“チクリッ”とお見舞してあげるわ。            

 あたしがこの家に来たのは…3年程前だったかしら…?
 あの日の母さまの様子は今でも覚えている。

 何度も何度もあたしを持ち上げては下ろし、籠に入れては出し…。
 とうとう、しびれをきらしたあたしは、風の力を借りて、
 軽~く母さまの手をひっかいてみたのよ。

 「んー。これにしましょう!元気も良さそうだし」
 母さまはあたしを籠に入れてくれたのよ。嬉しかったわ。

 家に着いたあたしは『最年長』の隣に植えられ、水をたっぷり貰ったの。

 暫くして、ちょっとすっぱいけれど、沢山の実を実らせたわ。
 まだ若かったのね。その時はそれで満足していたのよ。

 「これはまずいな」と感じたのは、場所を移動させられた時ね。
 「実をつけるだけじゃダメだわ。甘くならないと…」反省したわよ。

 その頃のあたしときたら、本当に元気がなくて、くねぇ~くねぇ~と
 土の上に寝そべっていたわ。

 寝ていると、勝手に根が出てきて、どんどん増えちゃうのよね。
 みんなに踏み潰されたわ。
 旦那さん・子供さん・回覧板のおやじさん・新聞集金おばちゃん…。

 母さまはそんなあたしに『ラティス』と言うついたてを作り、
 1本1本、棘のあるウデをくくり付けてくれたわ。
 あたし、何度も刺してしまって…。
 それでも母さま最期まで諦めず、キレイに留めてくれたのよ。

 お陰であたしの体には、太陽の光も・大好きな水も、
 たっぷりと受け入れることが出来るのよ。踏まれないしね。

 そろそろあたしの季節がやって来るわ。
 雨よ、じゃんじゃん降って頂戴な。
 このあたしの為にね…。





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最終更新日  2005.05.03 17:23:00
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