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カテゴリ:ガーデニング・植物たちへ
あたしは『ラズベリー』。
太陽の光とお水があれば、何も怖い物は無いわ。 どんどん・どんどん根を伸ばし、あたしは増え続けるのよ。 あたしにチョッカイを出すものは、容赦しないわ。 この大小の棘で“チクリッ”とお見舞してあげるわ。 あたしがこの家に来たのは…3年程前だったかしら…? あの日の母さまの様子は今でも覚えている。 何度も何度もあたしを持ち上げては下ろし、籠に入れては出し…。 とうとう、しびれをきらしたあたしは、風の力を借りて、 軽~く母さまの手をひっかいてみたのよ。 「んー。これにしましょう!元気も良さそうだし」 母さまはあたしを籠に入れてくれたのよ。嬉しかったわ。 家に着いたあたしは『最年長』の隣に植えられ、水をたっぷり貰ったの。 暫くして、ちょっとすっぱいけれど、沢山の実を実らせたわ。 まだ若かったのね。その時はそれで満足していたのよ。 「これはまずいな」と感じたのは、場所を移動させられた時ね。 「実をつけるだけじゃダメだわ。甘くならないと…」反省したわよ。 その頃のあたしときたら、本当に元気がなくて、くねぇ~くねぇ~と 土の上に寝そべっていたわ。 寝ていると、勝手に根が出てきて、どんどん増えちゃうのよね。 みんなに踏み潰されたわ。 旦那さん・子供さん・回覧板のおやじさん・新聞集金おばちゃん…。 母さまはそんなあたしに『ラティス』と言うついたてを作り、 1本1本、棘のあるウデをくくり付けてくれたわ。 あたし、何度も刺してしまって…。 それでも母さま最期まで諦めず、キレイに留めてくれたのよ。 お陰であたしの体には、太陽の光も・大好きな水も、 たっぷりと受け入れることが出来るのよ。踏まれないしね。 そろそろあたしの季節がやって来るわ。 雨よ、じゃんじゃん降って頂戴な。 このあたしの為にね…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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