島根の敬老会で「手話通訳気が散る」と落語家さんが言ったそうですが。
主催者が最初に説明しなかったことによるトラブルですよね。
私も今から16.7年前に、福祉イベントで古典落語から地域福祉のヒントを得るというイベントの企画と舞台進行をしたことがあるのですが。その時は、落語を手話にするのは手話通訳者に負担が掛かるだろうということで、手話通訳者には訳さないようにお願いしておりました。
ライブは、場の雰囲気で、いろんな流れが変わるモノですが。手話通訳者がそのまま、落語のパートに入り込んで通訳してしまったんです。ところが、その通訳が見事なもので、その場の判断で照明さんに手話通訳者にもスポットを落とすよう指示をしたんです。
すると、落語と手話がうまく連動して、落語が2倍面白くなるという感じになったんですよね。
落語家さんも、当初の予定とは違って、手話が始まったことで困惑をしていたようですが、すぐに手話の見事さに触発されて熱が入っていました。
おかげで、主催者さんも観客も大ウケでした。ウケるから、さらに力が入るという感じでした。
表現の方法はいろいろあって、完璧に一つの世界を創り上げて、そこで表現する職人タイプと。場の力を利用してさらに盛り上げるタイプがいるわけですが。
島根のケースは職人さんタイプの方だったようですよね。
公共のイベントって、手話を入れることが普及しているので、台本をつくる時や、出演者の依頼に気を使うのですが。どういうタイプの芸人さんかは、会ったり、付き合いが長くないとわからないことがあります。
ブッキングは難しいです。
<落語家・夢之助さん>「手話通訳気が散る」島根の敬老会で |
(毎日新聞 - 10月31日 02:42) |
島根県安来市民会館で9月17日に開かれた市主催の敬老会で、独演会をしていた落語家の三笑亭夢之助さんが、舞台に立つ手話通訳者に「気が散る」などと退場を求める発言をしていたことが分かった。通訳は舞台の下で続けられたが、同県ろうあ連盟は「聞こえない人に対する侮辱」と夢之助さんや市に抗議。夢之助さんは謝罪し、市も当日来場していた聴覚障害者3人に直接謝罪した。
市によると、敬老会には今年70歳となるお年寄りや市民計247人が参加。大きな講演会では手話通訳者をつけているといい、この日も3人を配置していた。
ところが、市は夢之助さん側に通訳がつくことを説明しておらず、独演会開始後5分ほど過ぎたころ、夢之助さんが「落語は話し言葉でするもので、手話に変えられるものではない」と発言。更に「この会場は聞こえる方が大半ですよね。手話の方がおられると気が散りますし、皆さんも散りますよね」と話し、会場からは笑い声が聞こえたという。
その後も「どうにかなりませんかね」「皆さんが良いとおっしゃるなら構いませんが。どうなんでしょうね」などと退場を求める発言を続けた。通訳の女性は主催者側に促され、舞台の下に降りて手話を続けた。
聴覚障害者から知らされた県ろうあ連盟は夢之助さんや市、落語芸術協会に抗議文を送付。夢之助さん側は謝罪文で、発言の真意について「気も散漫になって話を間違えることでお客様に迷惑をかけてはいけないので、手話の方に、私の横でなく、後ろに立つか、座ってくれるのか......との思いで声をかけた」と説明したという。取材に対し夢之助さんのマネジャーは「本人は非常に反省している」と話した。
昨年の敬老会では漫才コンビ「宮川大助・花子」の花子さんが出演したが、手話通訳者は花子さんから「ありがとう」といわれたという。今回参加した聴覚障害者は「手話通訳がつくので夢之助さんの落語を楽しめると期待していたのに」と残念がっていたといい、市も不手際を認め広報11月号に謝罪文を掲載した。【御園生枝里】
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