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碁法の谷の庵にて

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2018年05月21日
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カテゴリ:その他雑考
職場や家庭などで,ハラスメントはしばしば起こります。
人は,何故セクハラ,パワハラと言ったハラスメントをしてしまうのでしょうか。

本腰を入れて加害行為をして,標的を追い出していじめてやれ,とかオレの性欲のためなら異性なんか(放送禁止用語)…というような加害者が救いようのないクズであるというパターンもあります。
または,今思えばハラスメントになるだろうと簡単に分かるのだが,流れの中でつい口を滑らせハラスメントになってしまった,今思えばなんてことをしてしまったんだろう…なんてこともあります。


しかし,個人的な感覚としては,ハラスメントと言われて「え,これハラスメントなの?」という方は少なくありません。
ハラスメントをしたと訴えられ,依頼した弁護士に事情を聴かれて,否認をするでもなく「何故これがハラスメントなのか」といってくる人たち。
弁護士目線からすればどう見てもこれハラスメントだろ,事実なら責任ありだよ?となるような件なのに,「これがハラスメントだとは思わない」と言ってしまう人,結構多いと思います。
証拠の具合にもよりますが,単純に責任逃れのために言うならハラスメントの基礎となった事実自体を否定する方が100倍勝機がありますから,「これがハラスメントだとは思わなかった」という彼らの言い分は本気でしょう。
家庭内でのハラスメント(DVやモラハラなど)の場合,「話せばわかることなのに,弁護士を頼んで訴えてくるなんて,さては弁護士が金目当てで焚きつけたな!!」なんて理不尽な怒りをぶちまけられた弁護士も結構多いと思います。



そして,そういう言い分を主張する彼らには,自分が被害経験者である人も少なくありません。
自分もこれくらいされたことがあるが,何とも思わなかった。だから相手も平気だと思った。
あの程度の叱責は当然だ,むしろそれのおかげでオレは成長できた。だからお前もそんくらい我慢しろ
なまじ自分が被害(?)経験者である分,自分の「大丈夫」という感覚に過剰な自信を持ち,正当化してしまい,自分でも平気でそれを行ってしまう
けれども,本人は自分が加害をしたことにすら気が付かず,弁護士や裁判所から「これだめだよ」と言われて愕然とする。
酷くなるとだめだよと言われてすら弁護士や裁判所は世間知らずだと言って罵る…というパターンもあります。


とっさに何がハラスメントで何が正当か。完全な答えはなかなか出ません。弁護士が24時間365日横にぴったりくっついたって無理です。
俺はこんくらいやられても平気だった。
というような考え方も,それ自体が悪い,とは思いません。

各人に個人的な感覚がいろいろある。
これ自体は避けようのないことであり,大丈夫か大丈夫でないかは,誰もがまず自分の感覚に相談せざるをえないためです。
そして,法制度の感覚と違う感覚を持つこと自体は悪ではないので,そういう感覚の下でハラスメントをやってしまった方は,よほど極端なケースでなければ「人間のクズである」とは思いません。


ただ,加害者が人間のクズではないとしても,被害者の方に償わなくていいことにはなりません。程度や類型によっては刑事責任にまで話がいくことも動かせません。
ハラスメントをしないように努めるべきことは言うまでもないことです。


そこで自らを律し,自身も被害者も守るために大事になるのが知識です。

何故企業などがハラスメント防止研修をするのか。
最初から加害意思バリバリという方々には研修など全く意味がないことは目に見えていますし,「言われればまずいと気づいたがそのときはついうっかり」の類は研修でもなかなか止められません。
しかし,「まさかこれがハラスメントだったなんて!!」というタイプは止められます。
人の感覚を完全に統一することは不可能であり,個人の感覚任せではどうしてもハラスメントを抑えられないからです。
そこで知識を得てもらい,個々人の感覚の相違を裁判やトラブルの実例に伴う知識で補い,「これは危ない」という感覚を持ってもらう。ハラスメント防止研修はそこに有効性があります。



もちろん,ハラスメント対策ばかり勉強している訳にも行きません。
知識はいくら仕入れたって完全に足りることはないので,個人の感覚で補わざるを得ない部分は多かれ少なかれ出てしまいます。
結果として知識を得ていたにもかかわらず踏み外してしまいハラスメントをしてしまう人もいるでしょう。

そして,こういった知識に対して批判や反論をお持ちになることは結構なことだと思います。
ただし,こういった知識に対して謙虚になれず,「判例?んなもん関係ないし学ぶ気もねえ,とにかく俺の感覚が絶対なんだ!!」という方は,いつか大きなツケを払わされることになるでしょう。





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最終更新日  2018年05月21日 21時03分33秒
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