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碁法の谷の庵にて

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2018年10月02日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
特に家族関係とか,悪徳業者を相手にする事件の話題では割と聞く話です。



 弁護士が依頼者の話を受け,代理人につきます。
 弁護士が代理人についた場合,連絡先の分かる相手方にはしっかり

「私が弁護士代理人になりました。これ以降の交渉窓口は私がやりますので本人への直接連絡は止めるように。」


と,書面を使って連絡(受任通知)を入れます。
 全うな相手方であれば,これが届いて以降の交渉は弁護士に対してやってくるようになります。



 ところが,世の中には困った相手方もいます。
 弁護士の通知に対して,こんなことを考え始めるのです。

「自分たちは100%正当だし、依頼者と自分は仲が良かったはずで,依頼者がこんなことを言いだすはずがない!!
そうか,金とか名声目当ての弁護士が依頼者を騙しているんだ!!
そんな弁護士をすっとばして自分が直接説得しよう!!」


 そして,その独自の判断を根拠に弁護士を無視して本人に直接交渉を始めてしまうのです。
 本人の居場所がバレてしまっている場合,依頼者としてはまさか引っ越す訳にも行かず相手方からの交渉圧力にさらされることになります。


 相手方の推測通り,弁護士が結果的に焚きつけてしまうと言うケースがありえないとは言えません。
 弁護士と依頼者の力関係の差は歴然としていますから,弁護士側が不相当な勧誘をしてしまい,依頼者に損をさせてしまう弁護士もいないとは言えません。
 少年事件の付添人の援助制度など,費用負担の可能性が僅かでもあることを伝えると少年が弁護士への依頼を躊躇って付添を受けなくなるリスクがあるし,まずかからないのだから、費用に関しては「かからない」と言え!!という弁護士もいます。(そういう弁護士は,それなら弁護士はタダ働きするか回収リスクを飲めと言う発想なのでしょうが)
 元々「絶対」がない世界とは言え、正直に「絶対勝てるとは言えない」というような言い方をした結果,不必要に依頼者の方が萎縮し,法的救済を躊躇った挙句,「自信なさげな弁護士」より「自信満々に回収を豪語する事件屋」を頼れると信じてしまい結果として追加で金銭を失ってしまうというケースすらあります。
 どのくらい強く勧めるかは非常に悩ましい問題で,そこに弁護士の勇み足が生じる可能性もある。
 一般論として,それは事実でしょう。
 私も,訴訟をやっていて,相手方の主張を見て「これ絶対本人の言い分じゃなくて担当代理人の独自思考だよな…」と思うこともしばしばです。



 しかしながら。
 だからといって,現に受任している弁護士に対し,「この弁護士は依頼者を騙しているに違いない。」と決めつけ,それを前提に活動することが許されるようになっては,弁護士が代理人としてつく意味を奪い,ひいては相手方の弁護士依頼権を侵害し,弁護士の職務を妨害することになってしまいます。
 依頼者からは法的な知識に基づく交渉の権利を奪うばかりか、場合によっては恐怖心さえ与えることになります。
 法的な救済を恐怖心や迷いなどから思いとどまらせてしまうケースもあるでしょう。
 そういった件に困っている人は意外と見かけています。
 だから私も,「本人の言い分というより担当代理人の独自思考なんじゃないか」と思うことはしょっちゅうであれど,だからと言って代理人をすっ飛ばして本人相手に「あなたの本心を教えてください!!」なんてことはやりませんし,代理権が存在しないなんて争い方をしたりもやりません。
 私のそんな推測は所詮は抽象的な疑いに過ぎないからです。


 相手方である以上相手方が有利に主張・行動していくことは,当然に予定されていることですし,弁護士代理人がついていても同様です。
 しかしながら,仮に当該代理人が依頼者の真意を反映していないとしても,それは当該依頼者と代理人弁護士との間で解決されるべき問題であり,相手方(&その代理人弁護士)や第三者が殊更口を出すべきではない事柄です。
 前記した弁護士を依頼する権利の保障という見地も踏まえて,少なくとも,相手方が代理人弁護士に代理権を与えたことが真実であると確認できた時点で,「相手方の当該紛争における代理人は本人の現在の意向を反映していない」という主張やそれに伴う行動に関しては,内在的制約が存すると解釈されるべきです。
 少なくとも抽象的な経験に基づいて,「こういう人たちってだいたいこういう考え方してることが多い」程度では,検討の俎上に載せる価値すらないと評価しなければならないと考えます。
 私に思いついた合理的な根拠に基づいた強固な疑いの例としては,「あの人はずーっと植物状態で、弁護士に意思表示など出来る訳がないのだが…」と言った所でしょうか。
 本人が目の前で私に言っていた!!もダメです。相手への恐怖心や気の迷いなどで言っている可能性がありますからね。(代理人を無視しての本人交渉で迷いを生じさせて請求を飲み込ませるのは悪徳業者の常套手口でもあります)
 また,仮にそこまでの疑いが生じていたにしても,そこに乗じて相手方に不利益を与える可能性のある交渉行為や証拠録取,代理人の悪口を吹き込むなどの行為は問題外です。



 具体的な根拠も,仮定法も場合分けもないまま、「あの弁護士,依頼者の利益反映してないよ」などと発言することは,当該弁護士に限らず,その弁護士の依頼者に対しても失礼極まりなく,時にはその業務を妨害する結果すらもたらしかねないことです。
 「本当に利益を反映しているのかな?」と思うことそれ自体は自由でしょうが,単なる抽象的な経験論でそれを口にすることの重みは、一般の皆様にもご理解して頂きたい所です。




















 え,弁護士にもそういう人がいる?





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最終更新日  2018年10月02日 17時49分31秒
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