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碁法の谷の庵にて

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2019年04月03日
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カテゴリ:その他雑考
性犯罪の無罪判決が相次いだことに関連する諸論点などを巡り,twitter上で弁護士同士のドンパチが始まっています。
 弁護士の端くれとして,個人的には性犯罪の否認事件における無罪判決や事実認定の在り方,関係者の運動論の在り方などについては,いろいろと思うこともあります。
 私個人の意見内容としてはtwitter上での弁護士(たぶん)多数派の意見に比較的近いのではないでしょうか。
 



 しかし,今日の主題はそこではなく,このドンパチを見て改めて思ったtwitter上の弁護士の意見表明についての感想です。
 
 twitter上での弁護士のドンパチを見ると真面目に議論している,個人的に論旨に賛成できないにしても表明そのものは真摯な先生方も多くいます。
 しかし、茶化しのように見えてしまったり、論旨はともかく表現方法に問題がありすぎやしないかと感じたり、本当にこれ調べて言ってる・リツイートしてるのかな?と感じられるものも増えてしまっております。
 もちろん、書いていないだけで裏側で調べて言ってる、事案をヒントに書いたが一般論と断った上で書いているという事も当然ありますが、無邪気にリツイートしたりすれば無責任ではすみません。

 以前の記事でちらっと書きましたが,4年ほど前に私がtwitterをやめた理由の一つは,実はこれなのです。
 「法クラ」(法学クラスタ)と呼ばれる弁護士twitterで,特定意見を支持・批判する流れが沸き起こる。この流れの内容そのものは,私には共感できるものの方が多いです。
 しかし,その際に,笑い者にするかのような流れまでも同時に起きてしまったり、本当に調査して言ってるのかな?と疑問が湧くものが大量にツイート&リツイートされる。
 私個人としては内容的にはむしろ賛成のことが多く、肯定的に見ていたのですが,反面,なまじ賛成な分強固な自制心を持たずに乗ってしまうととんでもない筆の滑りをしかねないというのが不安になってきたのです。


 ちょうど,立憲民主党の公認を得て選挙への出馬を表明した落合洋司氏(弁護士・元検察官)が,特定国家に対しての侮辱的な投稿を発掘されて炎上,公認取消と言う事態になっています。
 特定国家の外交などの在り方についての批判は言論の自由であると思いますし、落合氏の言動はヘイトスピーチ対策法上の「ヘイトスピーチ」の定義に当てはまるかは疑問なしとはしません。
 しかし,同法のヘイトスピーチに当たらなかったところで、特定国家への批判に際して侮辱的な言葉を用いること自体が政治家の言動として不適切な行為であることには異論がありません。対象となっている国がどこであれ,です。
 落合氏は立憲民主党の候補者として売り出していたので今は立憲民主党が主に問題になっています。しかし,弁護士としても本来失言であり,弁護士への信頼をも失わせるものと思います。
 


 前記した法クラの批判の流れに乗った結果,今回の落合氏に近い失言を,いつか自分自身もやらかすのではないか,他の弁護士はしっかり調査して裏付けの下に言っているのに,自分は調査もせず、流れに乗っただけでとんでもないことを言ってしまうのではないかと言う点については,私は自分の節操の固さをあまり信用できません。
 私はtwitterをやっていた間,twitterで舌禍したとして炎上したことはありませんが,一度呟いた後に「これ大丈夫なんだろうか…」と思って一旦呟いたことを消したことは何度かあります。
 つまり,自分もtwitterに関して,せめて自分の持てる能力を全て使って注意できていないのです。


 私は、この文章で私以外の個々の法クラの先生方を批判するつもりはありません。
 当然先生方も千差万別ですし,踏み込みすぎてない?と感じる発言であっても調査・熟考の上で責任をもって発言しているのだと,弁護士としての信義と名誉を尊重する立場から信用させていただきます(弁護士職務基本規程70条参照)。
 間違った・誤解を与える主張や意見に批判が集まることは業界の自浄を示す意味でも効果があるものなので、積極的な意見表明そのものを非難するつもりは全くないのです。

 しかし,自分以外の弁護士を相手にするときは「信義と名誉を尊重」できても,当の自分自身を「信義と名誉を尊重」で押し通す訳には行きません。
 他の弁護士はきちんと自制してるのであっても、そんな自制心に自信がなくなってきた私は、やらかす前にtwitterから距離を置きました。
 ブログであれば,14年ほどやってきましたし、そこそこ長文かつ法クラと距離があるのでクーリングオフの時間くらいはあり,「他の先生方が調査の末に書いていることを調査もしていない私がただ乗りし,勢い余って書きすぎる」と言う事態はある程度避けられます。実際,「これは書きすぎかな?」と頭を冷やしたり、別途調査を重ねた経験も何度かあります。



 多くの先生方には私のような懸念は無用のものだと思いますが、もしそういった「つい書きすぎた」経験をお持ちの先生方がおりましたら,本当にただ単に「気を付ける」だけでいいのか,一度熟考してみてほしいと思います。





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最終更新日  2019年04月03日 18時42分35秒
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