カテゴリ:資産運用雑感
商法の新株予約券
平成13年の商法の改正(平成14年4月1日施行)で新株予約券と新株引受権が統一され新株予約券とされる、但し従来の新株引受権の部分の転換社債等は、【転換社債型新株予約権付社債】と呼ばれるようになる。俗に言うMSCB・CB・MSSOとか呼ばれるものですが、ここではCBの部分の転換社債型新株予約権付社債について記述する。 転換社債型新株予約権付社債の実務 1.転換価格の変更の場合 メリット 企業側は社債を債権者へ発行することにより、土地建物等の担保等提供せずに多額の資金を調達できる事が可能となる。債権者側は転換価格に株価が達すれば株式に転換でき資金の返済が容易にされる デメリット 企業側は償還期間までに資金を返済しなければならないが、株価が大幅に下落した場合債権者に借りた資金を返済しなければならない。債権者側は株価が大幅に下落した場合、転換が不可能になるため資金が回収できずに焦付きが発生する。 転換社債型新株予約権付社債の発行について 取締役会から株主総会への特別決議が必要である 但し新株予約券の募集について株主総会にて取締役会への委任決議が可能である。 特別決議(商法309条2項) 一般に重要な意思決定について用いられる加重された要件による決議である。 議決権を行使可能な株主の議決権の過半数を定足数とし、出席株主の議決権の3分の2以上により決議する。定款に別段の定めをすることで要件を変更することができるが、その場合でも、定足数は3分の1を下回る割合を設定することはできず、決議要件は3分の2以上の割合にのみ設定できる。 今渦中の自分が買い増していて、保有している【8925】はGS社(ゴールドマンサックス社・GSTKHD)に対して100億円の転換社債型新株予約権付社債を去年の8月に設定し、償還期限は今年の7月末までである。転換価格は33,600円であり、株式に転換した場合297,620株の新株が発生して100億円の償還が可能となる。 現状は株価は5,000円程度であり、転換価格までに株価が達していないため100億円の返済が焦付くのでは?と信用的な不安がささやき始めている。 商法の規定で冷静に考えた場合、転換社債型新株予約権付社債の転換価格の変更を債権者(GS社)と締結することは十分可能といえる。 おおむねそういう流れで可能でと思うが自信は有りませんけどね。 【8925】の主要株主は会長が50%近く保有し、第二株主にGSTKHD(GSのファンド会社)が20%近く保有している。そうすると株主総会の特別決議も可能であり定款で別段の定めを設定することも可能である。100億円の償還方法は転換価格を変更すれば可能であるが、問題は100億円の償還後の話である。転換価格を従来の33,600円から5,000円レベルで変えた場合、200万株以上の株式が市場に発生し株券が薄まる可能性もあり、被害を蒙るのは個人投資家である。 2.転換社債の償還期間の延長という方法 平成14年4月に改正された商法では転換社債は新株予約権付社債の一形態として定義された。新株予約権の行使期間は商法上では特に制限はない。つまり転換社債型新株予約権付社債というものである。 旧商法によるの転換社債の転換請求期間を延長するためには, 取締役会決議 (株主総会決議を要する場合あり), 社債権者集会の決議をそれぞれ経たうえで, 社債契約の当事者である社債権者と発行会社との間で, 転換請求期間の延長に関する新たな契約を締結することが必要である。 今回は平成14年4月1日以降の転換社債型新株予約権付社債なの結局こうなるのが一番良いかもね。 債権者のGS社とアルデプロ社が償還期限の延長契約を締結すれば一番簡単且つ一番良い方法ですね。上場会社なので株主総会で定款変更と償還期限の延長契約の事項は説明する可能性はありえます。償還期限の延長契約を締結すれば、個人投資家にとってリスクが一番低いと思います。但し先送りには変わり有りませんが、旧法では償還期間をあらかじめ設定し変更する場合は総会の議決が必要でしたからね。その点は簡易迅速に出来るように商法も改正したんですね。 ※株の面白さはこういうところかもしれません、もし士業の方々に間違っていれば指摘してもらうと凄く嬉しいかと思います。結局は株主とは企業のスポンサーという性格である以上勉強をしないといけないということですね、冷静なのが一番ですね♪今回は下落は続くと思いますが「地合い」によるものだということが良く理解できました。100億円の償還期限の信用不安は逆に機関投資家が煽っていて空売りを仕掛ける便方として利用している可能性が濃厚かもしれません。一喜一憂はしない事が重要ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.06.21 16:31:08
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