(2043) 月の裏までパタパタ飛べる耳 「ライオン丸さんと、コンパスさんのこと… ほったらかしたままでしょ。モノリスったら」 私たち、こんなこと…してていいの? ちょっぴりドキドキしてしまう。 「ライオン丸も、コンパスも…」 モノリスは、冷たいんだか、優しいんだか。 「レッドと、ポスターカラーの匂いで トリップしたまま寝ちゃったし」 「ねぇ、本当にバンドやるの?」 私は、いつも2階の窓から モノリスのこと覗いてるだけ。 「うん、来月ね、オーディション受ける。 渋谷に出来た、え~っと、ライブハウスとかっていう ジャズ喫茶みたいなとこ」 さっき聞こえてたあんなヘンな音で? 私、ジュリーみたいな曲、歌ってほしい。 「ライブとかやったことあるんだ?」 「高校の文化祭で、フォーク。 今、気を失ってるコンパスなんかと。 PPMとか、ブラザーズ・フォーとか、若者達とかね」 「私、グループサウンズしか知らない」 「最後にアンコールやって、自主的にね。 コンパスが生ギターの裏をたたいた、太鼓みたいに。 応援だかブーイングだか分からなかったけど 音の壁がウズマキみたいで僕は目を回して。 そしたら、僕の、みんなの心臓の下あたりを ナニカがバタバタ通り抜けて 体育館の天井をグルグル飛び回っていた。 …こんなふうに」 モノリスはお酒を飲むと、 いつも羽が生えたみたいな言葉でしゃべる。 時々、火星人みたいにセクシーになる。 ねぇ、私たち、こんなことしてて…本当に構わないの? 月の裏側に潜り込むなんて。 真っ暗で溺れそうで、すごく怖い。 --------------------------- 第2章・1969 --------------------------- << 第2章の1つ前へ (2042)ダンゴムシの夜 *このページは第2章 (2043)月の裏までパタパタ飛べる耳 第2章の1つ次へ >> (2044)トリや、サカナや、西武線がガタゴト通り過ぎる踏切 << 第2章の始まりへ --------------------------- 第5章・2011 --------------------------- *この第2章とパラレルに第5章を連載中です。 << 第5章の1つ前へ (5069)ホワイト・バレンタイン 第5章の1つ次へ >>未・もうすぐ --------------------------- Information -------------------------- 連載・絵物語~改訂工事・進行中! ブログ内のあちこちに散らばった「絵本」を整理。 現在この楽天と併行してアメーバブログで順にまとめ直しています。 絵・写真・文、あと構成も大幅に変更して▼のNewヴァージョンで新連載! アメーバブログ~連載・絵本 ↓ツイッターも始めました そして NEW! twitpic.com というツイッターの画像添付サイトを利用して ネット絵本みたいなものが作れないか?と ツイッター絵本~1テラ1ナノ物語 も実験発射中! ----------------------------------- & ----------------------------------- 村上春樹~1Q84 BOOK3 公式サイトに 池田モノリスのイラスト2点掲載中 左 ≫新潮社公式サイト・1Q84~Qの世界-4月2日分「Q3」 右 ≫新潮社公式サイト・1Q84~Qの世界-6月11日分「迷Q」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年02月26日 17時59分16秒
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