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テーマ:教育問題(327)
カテゴリ:教育について
《現在の教育の内容からすれば、小学校6年間で最低教育水準は、十分に確保できる》(加藤寛「教育荒廃の根源にあるもの」:世界を考える京都座会編『学校教育活性化のための7つの提言』(PHP研究所)、p. 54) そう考えるのなら、義務教育は小学校だけでよいということになる。勿論、最低水準をどう考えるのかという問題もあるが、仮に義務教育を小学校だけで終えることになれば、中学校以上の教育はもっと柔軟なものとなり得るということだ。 《さらにいえば、語学教育などはむしろ小学校から始めるべきで、これをいま中学校から始めていることが、かえって子供たちの意欲を殺(そ)いでしまっている》(同) 私は、この意見には反対である。少なくとも小学校は義務教育であり、日本人に必要な最低限の知徳体を身に付けることが最優先でなければならない。また、日本人に必要なのは、従来の日本式の英語教育であって、日本では使い様(よう)のない実践英語ではない。文法中心の日本式英語教育は、英語を学習する中で日本語を磨くものであり、この作業を欠けば、国語力の低下に繋がるに違いない。 今後、人口減少社会にあって、日本人に必要なのは高い国語力であって、日常的に英語を話すことのない日本社会において、英会話力を義務教育化することは要らぬお世話と言うべきだ。 《そういう意味で、中学校の義務教育制は廃止する方向へもっていくべきであろうが、しかしそれも一律に行う必要はない。ある学校は義務教育を5年で終り、あるいは6年で終り、あとは中学校へ行っても行かなくても自由であるとか、米国のように義務教育は2年間だけで、あとはほかの学校へ行って勉強するというような考え方もあり得る。むしろ自由に適性に応じた教育をすることが望ましい》(同、p. 55) 地域によっては、中学校や高校も義務化する自由があってもよいように思うが、全国的には、義務教育は小学校だけとすべきだろう。中学校を義務教育から外すことを危険視する人達もいるだろうが、今でも義務教育ではない高校へ97%超の生徒が進学しているのであるから、中学校を義務教育から外したからといって、中学へ進学しなくなるとは考えにくい。が、進学せず、家業を継ぐなどして就職したとしても、それはそれで問題はないだろう。実際、中学校で習うようなことを必要としない職業は少なくない。 《たとえばバイオリニストとして有名な辻久子さんなどは、小学校へはほとんど通わずに、英才教育を受け、世界的なバイオリニストになったことはよく知られているが、このような例は日木でもほかにたくさんある。つまり、このように能力を備えているものが、特殊な教育によってその才能を伸ばしていくことこそが、真の教育なのである》(同) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.25 20:00:12
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