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テーマ:幻覚と幻聴(10)
カテゴリ:健康
私の身内で75歳女性、パーキンソン病でレビー小体認知症が合併した方がいる。立って歩くことが出来ず背を丸めて坐っているだけ。「玄関に誰かいる」「あそこに大きな蜘蛛がいる」「身内の誰々が死にかけている」「身内の男達が悪いことをしていて警察に追われている」など幻覚や幻想で家族を悩ませている。「そんなことはない。誰々に電話したが元気で死にかけていない。病気のせいでそう思うだけだよ」と説得してもあくまで自分の思い込みを信じて言い張る。
時々ご主人が抱えて我が家に遊びに来る。食事も満足に食べられれず歩くことは勿論体の移動もままならず楽しいことはないだろうなと思っていた。そこで夏休みで来甲した工学部デザイン科1年の女子学生と一緒になった。彼女は工学部で看護学を学んだ訳ではないが、「色々おかしなことを言ってもその人の中では真実だと思っているので間違っている、狂っていると決めつけてはいけないと思います。その人の中に入って話をしてやることが大切だと思います」と言う考えをもっていたのでその患者さんと打ち解けて話をしていた。家族が悪者で警察に追われているという思い込みも「テレビで相棒などをみてテレビと現実の区別がつかなくなっているみたいです」と解説してくれた。 薬のせいで幻視、幻覚などが起こることもあり医師は病気そのものからくる幻覚と病気本来の幻覚を勘案しながら調剤し、家族には「間違ったことを言っても最初からしかりつけるようなことをしない方がよい」と指導しているが、実際は中々難しく、本人も家族もつらい日々を送っていることが多い。所がこの女子学生は自然に患者さんの中に入っていき友達になれた。天性のものかも知れないが心の中に本当の優しさがあるからだろうなと思った。その患者さんは翌日もその女子学生に会いたくてご主人に抱えらえて我が家を訪問して色々話をした。本当に楽しくて生きがいを感じたのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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