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今が生死

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2020.09.23
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カテゴリ:生き方
夏目漱石の小説「こころ」は著者自らが装丁した単行本だが、その見開きに3センチx4センチ位の四角の橙色の印鑑のようなものが押してあり文字はars longa vita brevis と書いてあった。調べてみたら古代ギリシャの医聖ヒポクラテスの言葉をラテン語に翻訳したもので、意味はarsは技術でlongaは長い、vitaは生命でbrevisは短いで「技術は長く生命は短い」のことで、「医療技術はどこまでいってもこれでよいというところはなく、ずっと勉強しなければならないが、人の命は短い」という意味ではないかと思う。しかし近年はarsを芸術と訳し、vita brevis を先に読んで「人生は短いが芸術は長し」の意味でつかわれることも多いとのことである。漱石はおそらく、「自分は後いくばくかで死んでしまうがこの小説はずっと長生きしてほしい」という気持ちで見開きにこの言葉をハンコのように印刷したのではないかと思う。
いずれにしても技術や芸術は一朝一夕で身につくものではない。その間に短くはかない命は尽きてしまう。どうしたらいいのであろうか?私にも努力してきた技術はあるが、命は短く後いくばくかで尽きてしまう。どんなに頑張っても生きている間に完成させることは出来ない。ならば生きている間に漱石のように心をこめた芸術作品をつくり本人は死んでも作品は後世に永遠に残るようにすることがars longa vita brevis ということかも知れない。人生は短く技術や芸術は長い。どんなに頑張ろうとしても人生は限られている。ars longa vita brevis を地で行くためには将来の事はともかく目の前の一日一日を充実させていくことが基本ではないかと思った。





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Last updated  2020.09.23 21:26:05
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