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テーマ:ビートたけし(24)
カテゴリ:テレビ番組
今朝テレビで北野武のファミリーヒストリーを観た。たけし自身は自分の両親と兄弟のことくらいしか知らなくてその先の事、祖父母とかその先の先祖などについては全く知らないと言っていたがNHKが詳しく調べてくれて特に母さきが娘時代奉公先でトイレ掃除をさせられていた下りを見せられ涙ぐんでいた。母さきは息子の武に自分は師範学校を出たと言っていたが全く違っていたので驚いていた。しかしトイレ掃除しながら先輩に自分の分のお饅頭を渡して裁縫を教えてもらい、読み書きもひそかに勉強して子供に教えられる力を持っていたので師範学校だか女学校を卒業したということは疑わなったとのことである。母親の口癖は「お金はどんなに貯めても誰かに盗られてしまえば一文無しの貧乏だが、教育はだれも奪い取ることが出来ない。だから本当の財産は学問だ。勉強しなさい、勉強しなさい」だったとのことである。子供は5人兄弟で姉は女学校に行かせ、兄2人と末っ子の武全て大学まで行かせた猛烈な教育ママだった。(もう一人の兄については注力散漫でしっかり記憶していなくて済みません)大学は工学部機械科が良いとのことで兄たちは全員工学部で武も明治大学工学部に合格して3年生まで在学した。母親が工学部機械科に拘ったのは我が家はペンキ屋で景気の波に左右されたり仕事があったりなかったりで収入は定まらないが、機械科なら船舶でも会社でも工場でも必ずどこかで雇ってもらえる。食いっぱぐれがないというのがその理由であった。農家の小作人の娘として生まれたさきは負けじ魂で5人の子供を立派に育て高等教育を授けた。たけしはその母の子供でよかったと心から尊敬し、感謝していた。しかしその母を途中で裏切ることになる。たけしは工学部3年生になった時工学部は自分に向いていない、だからといって何をやりたい訳ではなかったが大学を退学する決意をする。母親は烈火のごとく怒った。せっかく念願の工学部に入れたのにそれを止めてしまうとは到底許せなかった。もう家には絶対帰ってくるなと勘当を言い渡した。一文無しになったたけしは浅草のストリップ劇場のエレベーター係としてその日の生計を立てていた。そしてしばらくしてツービートという正統派漫才を結成したが全然注目されずその日の食べ物にも困るような生活をしていた。しかしそのなけなしのお金で古本を買って本は一杯読んでいたとのことである。やがて「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の不真面目漫才が大うけして信じられないような売れっ子になり今では押しも押されぬ大タレントになり、機械技師になって貰う給料の何十倍もの収入を得るまでになったが母親はふざけた漫談で金儲けする息子を最後まで許していなかったようである。それでもタケチャンマン人形や好きなタレント1位の新聞記事の切り抜きを大事に取っていたのをみると自分の期待に反した息子だがその息子の場違いの成功を心の底では認めていたのではなかろうか。
この母ありてこの子ありで母親の存在感は大きかったが父親の影は薄い。浄瑠璃の師匠うしと武の母さきはさきの奉公先のお嬢さんが浄瑠璃を習うことになり、さきの奉公先でお嬢さんの先生であるうしとさきは出会うことになった。うしは自分と愛人との間の子供をさきに紹介して結婚させるが間もなくその夫が死んでしまい未亡人になってしまったさきにうしは今度はうしの弟の子供を紹介して再婚させる。それがたけしのお父さんである。漆職人だったが後にペンキ屋になり生計を立てていたがお人好しで酒を飲んだら性格が変わり子供たちにはあまりよい父親ではなかったようだ。飲んだくれの父親をみてたけしの兄は母親さきに「なんであんな父親と結婚したのか」と聞いている(銀河テレビ たけし君ハーイより)。 でもそんな父親でも夏休みの間にたけしの学校の教室の壁をきれいにペンキ塗りしてくれたこともあり、それなりに父親としての自覚もあったのではないかと思われる。 冗談や馬鹿なことばかり言っているたけしだがその生い立ちや大学3年時の退学決意、勘当されて一文無しで苦労していた時代を知り親しみが増した。母親の力は偉大なことを改めて思い知り、誰にも人知れぬ歴史があるものなのだなと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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