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テーマ:新しい老人像(207)
カテゴリ:生き方
今97歳の女性 Jさんが入院している。転んで腰椎を圧迫骨折してそのためのリハビリのために入院してきたが、骨折で入院してくる高齢者の多くは骨折以外に元々の基礎疾患を持っていることが多い。
Jさんも心臓や腎臓が悪く、血中の酸素分圧が下がってしまうことが多く少量ながら酸素を吸入しているし、尿が自力で排泄できずに尿道にバルンカテーテルを挿入している。 しかし朝の回診時にはベッドに寝転びながら必ず本を読んでいる。難聴があるので肩を叩いて挨拶するとニコニコしながら「えー」とか「ありがとう」とか言ってくれる。小説類が多いが結構厚い本を読んでいる。私にはとてもそんな根気はないので、Jさんの読書量や根気に関心させられている。リハビリに行く途中車イスに乗せられているが、すれ違うと必ずニコニコして挨拶してくれる。心臓や腎臓が悪いので胸部レントゲンや血液検査の結果はかなり悪いが平気な顔をしてニコニコしている。 昨日看護師が「Jさんは3通も遺言状を書いていました」と驚いたように言っていた。入院する前に書いていたのか入院中に書いたのか確かめなかったがいずれにしてもいつ死んでもよいように手筈が整えられているのだと思う。だから検査結果が悪くて体調だって悪い時があるのだと思うがそれでもニコニコしているのかなと思った。人生の最終期に当たっていつもニコニコして暮らしている人は周囲をも明るくしてくれる。看護師たちは「Jさんには癒される。疲れが吹き飛んでしまう」と言っている。人生の最終レースにあたってこのように過ごせたら素晴らしいなあと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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