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カテゴリ:健康
藤城清治(99歳)の影絵:月の砂漠
8/8に4階病棟の廊下に一輪の朝顔が咲いたので、それを写真に撮ってブログに載せたが、その後次々に咲くものと思っていたら、以来一つも咲かないのであの花だけかもしれない。自宅の庭の朝顔は次から次に咲いているのに病院の廊下という特殊環境では花を咲かせるのは難しいのかなと思っている。 病院にはいろいろな患者さんが入院している。58歳の男性が屋根作業中屋根が抜けて12メートル下のコンクリートに転落した。左側の肋骨のほとんど全て折れて何本か肺に突き刺さり血気胸の状態になっており、左の骨盤骨折、左の脾臓挫滅、胸椎や腰椎は圧迫骨折の状態で救急病院にドクターヘリで搬送された。その病院で手術などの適切な処置を受けて、ほとんど後遺症を残さない状態で、リハビリ目的で当院に転院してきた人がいた。その方が今では自分で歩行もできるしトイレなどの日常生活もできる状態にまで改善して、本日退院していった。 ある88歳の女性は脳梗塞で右の手足が動かないのでリハビリ目的で8月上旬に入院してきた。リハビリによって動かなかった手足が少しづつ動くようになる場合もあるが、多くはマヒのない方の手足でマヒ肢をカバーしたり装具をつけて歩く訓練をしたりするが、それは結構つらい訓練である。その方にはそのつらい訓練以上にもっと、もっとつらいことがあった。それは不眠である。当院に移ってくる前の病院で眠剤が処方されていたがそれが効かないのである。 眠れないことほどつらいことはない。羊を数えていれば眠れるとか、腹式呼吸を続けて足先が暖かくなってくれば眠れるとか、宗教の題目を唱えていれば眠れるとか色々言われているが、羊を何千匹数えても眠れずますます焦って苦しくなる場合もある。最初から眠ろうと思わないで「ラジオ深夜便」を聞いていれば眠れても眠れなくても心が落ち着いてそのうちに眠れることがある、など様々なアドバイスや工夫があるが、それでも眠れなくて苦しんでいる人は多い。 そういう人たちのために睡眠薬が何種類も製薬されており、それで救われている人が何百万人もいる。 しかし今回入院してきた患者さんのように前医が眠剤を処方してくれたのにそれを服用しても眠れないという人の悩みは深刻だ。回診の時「全然眠れませんでした」と打ちひしがれて苦しそうな表情で訴えられた。眠剤にも色々な薬があるので、何種類かの薬を順次試してみたがやはり眠れませんでしたと悲しそうに訴えられた。薬を変えて3回目の薬がよく効いてその後は眠れるようになったので見違えるように元気になり、廊下を車椅子で通る時でも私を見つけると嬉しそうに手を振ってくれる。 その人の人生経験や性格、年齢などで心に余裕があり、眠れなくても「ラジオ深夜便」などを聞きながら普通の日常生活を送っている人もいるが、多くの人は苦しみが苦しみを呼び、絶望の淵に立たされることもある。今回のケースでは「自分は眠り薬を飲んでも眠れない」と言う不安に押しつぶされそうになっていたが、眠剤は何十種類以上あるのでそのうちのどれかで必ず眠れるものなので安心してもらいたいと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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