カテゴリ:ベトナム政治・経済・社会観察
物価が上がっているという日記を書いた際に土地が高いとも書きました。ちょっと今日は土地にまつわる話を。
2月16日号のエコノミストには、中国がものすごい勢いで電車や空港などの交通インフラを整えていると言う記事にひっかけつつ、農民の土地がいかに簡単に収用されているかということに警鐘を鳴らしています。中国では土地の私有は基本的に禁止で、中国人は土地の「使用権」を売り買いしているということになり、農村では特に土地が「集体所有」という形態になっています。この所謂集団所有が土地を処分する際の権利者を不明確にし、結果地方政府の幹部が勝手に売り買いし、実際にその土地にいる人には若干の補償金しか入らない仕組みになっていると言います。それに抗議した黒竜江省佳木斯の農民は土地私有を求めた動きを始めたと報道されています。やはり否定されたそうですが。 翻ってベトナムと言えば、やはり状況は似ています。土地の私有は認められておらず、人々は「土地使用権利書」通称レッドペーパー(So Do、赤いのでそう言われています)を申請し手に入れることで、一応の権利関係を規定しています。ただ、農村での状況は似ています。 ベトナムの人に聞いたところ、仮に工場を作るために農村の土地をまとめて手に入れたい企業は、各戸農家に個別に相談するわけにもいかず(基本的に北部の農家は僅かな土地しか一戸辺り分配されていません)、窓口になれる役所、郡人民委員会や、コミューン人民委員会に相談に行きます。そこで「人民を代表する」政府幹部を「説得」し土地を取得し、幹部に補償金を手渡し「後の補償段取りはよろしくお願いします」といって土地を手に入れていくようです。その後のお金の流れがその通り農家各世帯にたどりつくかどうかは・・・、といったことが良く問題になります。 また、このSoDoを手に入れることも、とても大変なようで、その手続には年単位の時間がかかることも。また、売り買いしたので土地の名義を変える、といった手続も必要以上に複雑にできていて、それをお手伝いする、まあ行政書士のような人の家に行ったら実はその人はその書類を役所で受け取るべきコミューン人民委員会の役人(!?)という仕組みになっている場合もあるそうです。自分で仕事を作り、収入(内容にもよるでしょうが何百ドルもとるそうです)を作り、書類を作り、書類を受け取っているというわけですね。まあ、その「行政書士」を通さなければいけないというルールは無いそうなのですが、そうすると難癖を付けられて1年かかる、というわけらしいです。 ベトナムでは黒龍江省のような極端な動きは起きていませんが、地方政府の横暴さが度を越すようであると、問題は大きくなるかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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