カテゴリ:ベトナム政治・経済・社会観察
このところ、地方での汚職問題の話題が新聞記事をにぎわせています。一つにはカマウ省で、もう一つにはカオバン省で。後者では省人民委員会委員長が多くの寄付を企業などから受け取った後に「慈善事業」に使ったということについて、各方面からその不自然な行動に疑問が投げかけられ、今日のTuoiTre紙でもBangLoIch委員長自らが取材に答え、「全て公開している」と釈明しています。
更に大きな波紋を投げかけているのは前者のカマウ省の汚職で、これに関しては省共産党委員会書記が1億ドン(約700万円くらい)を受け取ったとされていることで、それに関連してか、同省幹部の不自然な人事異動が報道されています。2日付TuoiTre紙によると、地方省の人事案は省内務局が共産党組織委員会(Ban to chuc tinh uy)の意見を受けつつリストを作り、人民委員会党幹部会(Ban can su Dang UBND)に送る、その後更に共産党組織委員会と党検査委員会(Uy ban kiem tra tinh uy)により認可され、それが人民委員会の決定となるという、厳密な(地方)共産党内部での審査を経ることが通例だそうです。ですが、今回のカマウ省のケースでは、共産党組織委員会と党検査委員会を経ずにいきなり党幹部会にと共産党常務委員会に送られてしまったがゆえ、各組織の意見調整が図られず、人事案の意見を巡る対立ができてしまったそうです。記事は個人名をどんどん挙げながら人事案の対立の行方を描いており、なかなか珍しい地方政治のどろどろの一端が見られます。これらとその1億ドンとの関連が今後焦点となるようです。あまりのどろどろさにか、中央検査委員会(Uy ban kiem tra TW)は現在の人事案の実施中止を勧告したそうです。 汚職はどこにでもありそうなこの国ですが、その背景にある政治的背景や、政治制度が見えてくると、「あー、また賄賂ね」よりはもう少し興味深く汚職事件も見て取れそうです。例えば、「何故カオバンとカマウが特に今取り上げられているのか?」とか、「どこを踏み外すと(この場合は共産党内の根回し?)問題が露見するのか」などなど。 また国会議員でもこういう「役職買い」汚職追求が得意な人がいるらしく、ThanhHoa省選出のLeVanCuong議員という方は、特にこういった問題に対し声の大きい人のようです。国会議員もこういう問題をきちんと声に出して暴ける人が出てくれば、ベトナム国会も機能し始めてきたと言えるのでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月03日 11時11分33秒
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