カテゴリ:ベトナム政治・経済・社会観察
先週から始まったベトナム国会ですが、今回最大の議題と言っても良いのが、ハノイ市拡大計画の承認です。首都のハノイ市ですが、激しい速度で進む都市化についていけないと、現在の面積の約3倍にハノイ市の範囲を広げ、ハタイ省全域、及びビンフック、ホアビン両省の一部も含めると言う案です。
既に共産党政治局で承認済み、政府内部での議論も終了していると言われていますが、ここに来てメディアや国会での議論が注目されています。例えば、前首相で、以前からこの問題に批判的なコメントを寄せていたヴォーヴァンキエット氏が、TuoiTre紙で「この案には科学的根拠が無い、専門家委員会を設けて考え直すべき」と発言したり、国会議員やメディアの中にも「国会に諮る前に全て決まっているような議論のやり方はおかしい」との意見も出ています。 確かにベトナムの中での「議論」というのはガス抜きの意味も多いとは思います。よくあるベトナムでの会議では、ある議題が発表されて、質疑応答では皆が言いたいことをめちゃくちゃ言い合って、「こりゃあどういう結論になるんだろうなあ」と思っていると、最後に司会者(=往々にしてリーダー)が最後にその質疑応答を大して踏まえない、もともとの案に即したような「結論」で締めくくり、何となく会議が終わると言うことが良くあります。でも、皆意見がいえたことで何となくすっきりしているという感じです。 今回のメディアや国会議員の意見もそういう側面もあるでしょう。とりあえず議論は認めましょう、と。恐らく結論(ハノイ市拡大)は承認されるのが不可避なのでしょうが、それでもこういう議論が許されること自体は歓迎すべきですし、傾聴に値する意見も多いです。特に「首都だからといって面積を広げて、政治、経済、社会、文化の全ての中心にする必要は無い」との意見はごもっとも。いい加減な計画の中でただ面積だけ広げても、土地バブルを加速させるに過ぎない結果にもなりかねません(既にハタイ省の土地は一通り上がって、もう調整局面にもあるそうです)。結果は如何になるのでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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