朝顔が好きです
この季節は 花屋さんの店頭は カラフルで盛り沢山。 道路脇にも パンジー や ツツジが こんもりと 艶やかで きれい・・・きれい・・・ 眩しさに目を細めながら ぼーっ・・・・と 観賞 御近所の 庭付き戸建てのお宅も ガーデニングに手抜きはなく 素敵。 (私の)実家の庭は だだっ広くて 統一感のない いわゆる 田舎の庭だったんだけど。 祖父母や母は 気紛れに種をまき、 好きな花を 「好きなように」 育てていた。 (!過去形ではヘンです! 今も 母は相変わらず 同じ事やっているので!) 野生の蘭とか 大きく育ち過ぎたツツジ バラ カラー おしろい花 お茶~ その反対側では 茄子 紫蘇 トマト きゅうり~etc、 もう しっちゃかめっちゃか!(苦笑) ままごとの材料には 事欠かなかったが うっかり 新芽を摘んでは 叱られた。 幼心ながらに 不思議に感じていた 庭の花があって それは 『朝顔』 頼りない ひらひらとした朝顔は 花びらが分かれてなくて その様子が 幼い心に不可解 なぜか どうしても 摘み取れなかった 日中、ふと気が付けば もう やんわりと閉じた パラソル状態・・・・ くるくると 添木に巻き付いている茎は 細くて ヘビを連想させたりもして ついぞ 私の おままごとの材料に 使われる事は無かった。 でも 母はこの花が 大好きだったらしく た~っくさん!植えていたんですね チューインガムの 空になったケースを いつのまにか集めていて (これも た~っくさん!) もうすぐ咲きそうになった 蕾に すっぽり かぶせる。 だから 夜の庭の片隅に ヘンな風景が・・・! 黄色い、ジューシーフルーツ! 深緑のグリーンミントガム! 青いクールミントガム!etc, 遮光性のある、アルミ貼りの ロッテの7枚入りガムのケースで 覆われた蕾たちは 朝が来ても、 『まだ 暗いわよね? 夜よね?』 と カン違い。 私は 目覚めて ケースを ゆっくり外してあげて 朝陽を当ててあげる。 スローモーションで 花びらが開く様子は 可愛くて 眺めているのが楽しかった・・・・ 朝寝坊した女の子が う~ん・・・あ~ん・・・と 伸びをして 照れてる感じ。 力強い色した花ばかり 見る機会が多かったせいか きゅうに『朝顔』のことが気になりだした (私にとって) 触れてはいけないような・・・ 鋏を入れたら、死なせてしまうような・・・ 守ってやりたい花 である。 そういえば~ 加賀千代女も 『朝顔に 釣瓶取られては もらひ水』 と 詠んでるし 女性にとっては 切れない花?! 早起きで、強い陽射しが苦手なこの花は 夜明けと共に始まる~家事に忙しい女達の為に ひっそりと咲くのだろうか 幼い私は この花に 何を感じて 見守るだけだったのか・・・ ちょっと、オマセに 朝顔の番人を 気取っていた。 今でも 「花の命は短くて~」 この歌が これほど似合う花はない と思う 添木に くるっと巻きつく茎は 誰かに絡めた細い腕のようで・・・ 蛇のようで・・・ ・・・花の命は短くて 苦しき事のみ 多かりき・・・ ・・・・ こんなにセンチメンタルな歌、娘に教えたら きっと~ 「時代錯誤も いいとこよ!」 笑うだろうな・・・ 力強く、逞しくて それもいいけれど。 私も~内心・・・自立出来ない、哀れな花だな、と思っている。 それでも なぜか 『朝顔が好きです』