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Imre

Imre

2006.11.08
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カテゴリ:意識・意識障害
前回の続きです。

遷延性意識障害患者へのアプローチを考える その2
- 音楽運動療法における一考察 -

【症例】
 平成○○年○月に左大脳半球脳膿瘍のため、当院に入院。入院時JCS 20点の意識障害、四肢麻痺を示した。入院後穿頭術による膿瘍ドレナージ等の外科的手術を受けるが、意識レベルは改善せず。理学療法は入院第10病日目より開始、言語療法・作業療法もそれぞれ開始した。音楽運動療法は全身状態が安定した第287病日目より週1回30分程度を開始、その開始時においても意識障害JCS20点、四肢麻痺状態を示した。

【考察1】
 今回我々が試みたフィジオボールを使用した音楽運動療法実施後の即時的な効果としては、硬直傾向にあった四肢筋の筋緊張が解放され、また座位保持に必要な姿勢調節筋の活動が促通され、クッションなしで普通車椅子での体幹・頚部保持が一時的ではあるが可能となった。
 植物状態スコアリングでは、音楽運動療法開始後3回目頃より状態スケール3点→5点、反応スケール2点→7点にわずかながら改善が見られ始めたが、継続的な再現性は乏しかった。当院での音楽運動療法最終回であった平成○○年○月では、状態スケール6点、反応スケール8点であった。

【考察2】
 意識障害患者に対する理学療法は、意思疎通が困難であるため受動的な内容となる。四肢可動域訓練を始めとし、坐位・立位訓練等による抗重力刺激等の主に体性感覚からの刺激を用いる。
 今回我々は遷延性意識障害患者に対して音楽運動療法を実施すると同時に、従来のリハビリテーションに加え、健常者も含めて脳血流に増加が認められたと報告のあった刺激方法をご家族の協力を得て実施してきた。
 音楽運動療法を開始して73日が経過した平成○○年○月現在では、眼球運動に追視反応・手足の無意識的な動き・意味のない発声が見られる回数が増えた。これは音楽運動療法の他、特殊感覚等を用いた刺激方法の継続を補助的に実施し、ご家族も毎日欠かさず何らかの刺激を与え続けたことが植物状態スコアリングの改善につながったと考えられる。また日課表を用いての生活刺激も有効であったとの報告もあるが、長期的に観察を行う必要がある。

【まとめ】
1、遷延性意識障害を有する患者様に音楽運動療法を実施した。
2、その結果、即時的には全身の筋緊張状態に一時的には変化が認められ、植物状態スコアリング  にも変化が認められた。
3、意識障害からの脱却を図る方法として音楽運動療法にその可能性があるが、その効果を観察す  るには長期的な期間が必要であり、その他の特殊感覚を含めた様々な刺激方法等については、  ご家族への指導も含めた計画が必要であると考えられた。

【参考文献】
1、野田 燎、後藤幸生:脳は甦る-音楽運動療法による甦生リハビリ.大修館書店,2
  000
2、後藤幸生:音楽運動療法による遷延性意識障害の甦生リハビリ.脳と循環 5:331
  -337,2000
3、中崎喜秀、他:脳損傷後,遷延性意識障害に対するリハビリテーション.倉敷中病年報
  65巻平14
4、紙屋克子:意識障害患者の看護プログラムの開発と実践.EB NURSING 3:121
  -128,2003


第2弾を現在執筆中です。










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Last updated  2006.11.08 22:02:59
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