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カテゴリ:意識・意識障害
脳死判定された30歳女性患者が意識を回復(301)
http://www6.plala.or.jp/brainx/recovery1990.htm *横山 正義(東京女子医科大学第1外科):“医工学治療と倫理問題 「植物状態」VS.「品位ある死」”、クリニカル エンジニアリング、7(5)、421-426、1996 九州の某大学病院に心臓弁膜症で入院中のAさん。人工弁手術後15日目の朝、脳血栓症で全身痙攣、30分後に瞳孔が散大し、呼吸が停止、人工呼吸器を装着した。脳波平定、脳神経専門医の診察は「脳の局所的障害ではなく、脳全体が広範に障害されている。無呼吸、瞳孔散大、対光反射消失などは延髄(生命の中枢)の障害を意味する。痛覚も消失している。したがって、今後の見通しは悪く、回復はほとんど望めない」。 約3週間、集中治療室で患者を治療し、人工呼吸器を使用しているものの状態がそれなりに安定してきたので、患者を一般病室に戻した。患者はうめき声のほか、声を出さない。ときどきベッド上で全身性痙攣発作を起こす。 脳梗塞以来1ヵ月を経過し、人工呼吸器だけは取り外せた。しかし意識はなく、瞳孔は散大、脳波の結果も不変であり、再度の脳死の判定が下された。 意識消失以来4ヵ月経過、「患者が何かしゃべるようだ」という。ミカンを患者の口の中に入れたら「すっぱい」というような発言をしたという。横山氏は「死ぬ予定になっていた患者が話し出したという。幽霊かもしれない」と書いている。脳神経の専門家の診察結果は「不思議にも回復の過程に入っている。脳波も以前のように平定ではなく、スパイクが認められる。これまでの診断は間違っていた。訂正する」ということであった。 心臓手術後7ヵ月経過、Aさんは自分でトイレに行ける。目は少ししか見えないが、何とか手探りで歩けるようになった。耳は聞こえ、周囲の質問には幼稚な言葉で返答するが、言葉になっていない。 横山氏は「急にAさんが声をあげ始めたときは、病院スタッフ全員で大喜びした。『脳神経専門医の診断はあてにならない』と言った人もいた。しかしその後のAさんの状態をみると、やはり専門医の診断は正しかったと考えざるをえない。Aさんが無意識状態から回復したという点では、なるほど誤診であったが、脳の障害との関連でみれば、診断は正しかった。Aさんの知能は幼稚園児以下である。『奇跡の回復』という言葉はあるが、現在の脳神経専門家からみれば、診断は当たらずとも遠いからずである。『奇跡』の介在する余地はほとんどない」・・・・・・「生きているだけが人間ではない。意識があっても生きようとする努力がなければ、生きている意味がない」と書いた。この論文の文末では、「(疾病の)回復可能性のないときは自然死を選択する。これが生と死の調和であり、現代医療の中に仕事をしている我々の義務である」としている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.10.14 23:38:25
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