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テーマ:本のある暮らし(3309)
カテゴリ:Other topics
この作品は「涼宮ハルヒ」シリーズの原作・アニメの中にちょろっと一瞬だけ登場する作品ですが,ハルヒファンの間ではわりとよく知られている海外SF小説です。この500頁超の単行本4部からなる長大な物語を,約半年かけてようやく読了しました。 SFとか長編小説とか,長らく手に取る気すら起きなかった私が,この特段読みやすいとは言えない作品をなぜこうも熱心に読んだのか。何度か放り出しながらも,なぜ読み続けようと思ったのか。 その理由の一つは,読み進めるとともに自分自身の心境に変化が起きたことです。自分の意識が変わるという体験自体が楽しかったために,途中で投げ出せなかったのです。つまり作品の内容だけでなく,読んだ動機,タイミングなどの外部条件も影響していたわけです。 * その心境の変化とはつまり,SFというジャンルの奥行きの深さに驚いたこと,というか,この作品のジャンル横断的な自由さに感激したからでした。 例えばこの作品は,多様なジャンルにわたる大量の古典作品を「本歌取り」の元ネタとして作品中に取り込むことで,重層的な楽しみ方ができるようになっています。その元ネタはギリシア神話だの19世紀英文学だのサイバーパンクSFだのと,馴染みの薄いものも多いです。 元ネタを知らなくてもストーリーは理解できるけれど,元ネタを知れば十倍楽しめる,そういった類の知的ゲームとしても楽しめるのです。なんとなく悔しいから元ネタも知りたい,それを探すためにはあれこれ調べなくちゃいけない,そしたらその過程でもっと面白そうな作品に出会ってしまう,そういった楽しさを際限なく追求することが可能なのです。 さらに,ハイぺリオンシリーズなどを読むSFファン達は,こうした「本歌取り」「内輪ネタ」的な側面も含め,実に楽しそうに語らっていました。これは近年私が源氏物語や和歌に興味を引かれたときにもあったことですが,「楽しそうなファン同士の語り」を覗き見したいあまり,ついつい深みにはまるというパターンでした。 (つづくかも) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.03 00:13:41
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