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テーマ:本のある暮らし(3309)
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(プルースト,高遠弘美訳,2010-,光文社新訳文庫)
20年ほど前,筑摩書房から「失われた時を求めて」の文庫・新訳版が出版され,機関誌「ちくま」にはその評論などが書かれた。おそらく私はそれを斜め読みし,内容こそよく憶えていないものの,おぼろげながら「この作品のイメージ」というものを把握した。 すなわち,文章は格調高く,上流階級の生活が描かれ,物語の進行は非常にゆったりとし,長大であること,そして読む前から敬遠する者,途中で挫折する者が多そうなこと,その魅力を簡潔に説明するのは容易でないことを。 そのころの私は長い小説など読む気はさらさらなかったけれど,いつか読んでみたいとは思っていた。なぜだろう。 まずタイトルや装丁の格調高さにそそられた。根拠もなく,アールデコ風の例えばミュシャとか,あるいはクリムトの「接吻」とか,あんな雰囲気を味わえそうな気がした。そして何よりも「ちくま」のプルースト論の文章の雰囲気,言葉の断片から,その評価は信用できるという気がしたのだろう。 * さてそれから20年経ち,ようやく読み始めました。直接的な契機は長門有希の百冊(記事はこちら)ですが,むかし何となく心に引っ掛かっていたことに,ささやかな縁を感じたからです。 光文社古典新訳文庫を選んだ理由は,装丁,注釈の細かさ,それに訳者の個人的な思い入れのこもった,やや癖のある読書ガイドが気に入ったこと。 他の出版社の装丁は。。ちょっと古臭い感じがして敬遠しました。集英社文庫の装丁はすごくいいんだけど,全訳ではなく抄訳なので断念。これから十何冊も集めるのなら,これくらい軽い装丁がいいなあ,と思ったのです。 内容については,またいつか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.05.06 21:20:19
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