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テーマ:戦争反対(1190)
カテゴリ:歴史・戦史
毎年、綺麗な花を咲かせる昭和24年に寄贈された数十本の桜が存在する。 その名は、「嘉代子桜」 昭和20年、8月6日、広島に原爆が落とされ数十万という人々が地獄のような苦しみの 中で命を落としていった日から3日後の8月9日のこと、プルトニウム型原子爆弾ファッ トマンを積んだボックスカーは第一投下目標都市小倉に到着するが、投下目標地点を目視 できず何度も旋回、そのうち残燃料が少なくなり投下地点を第二目標都市長崎に切り替え る。高度9000メートルからファットマンは手動投下され、約1分後、爆発・・・。 中心温度は太陽と同じであり、人も物もただ影を残すのみ、何が起きたのかさえ分からず にこの世から姿を消す、爆心地から少し離れた位置にいた人々はその光と熱風で皮膚が火 傷になり、顔をさわるとズルッと皮がむけたという。体中に火傷を負った人々は、水を求 め川に飛び込み死んでいく、また水を求める人に飲み水を差し出すと、飲んでしばらくし て死んでいく・・・まさに地獄絵に変わり果てた「長崎の町」。 破壊された建物はいくらでも造りなおせるが、人、友とのつながり、家族、恋人、思い出 は二度と戻らない、たった一発の爆弾に運命を翻弄される人々、その元凶をつくったのも また人であるというアイロニー。 体制を憎んでも仕方ない、相手国を憎んでも変わらない、戦争そのものを問題にしないと この人類が抱える大きな矛盾に悩まされ続けることになるだろう。 思想家も庶民も、右派も左派も、軍人も政治家も武力による解決法を望んではいない、 ただ、外交努力の先に武力という解決法しか見出せない今の人類の限界がある。 果たしていつになったら背中に銃を背負って学校に行く少女がこの世からいなくなるだろ う、ゲリラ活動に悩まされる軍が市民を巻き込んでも仕方ないと爆弾を落とす日はなくな るだろう、あいつらが先に悪いことをしたから報復し続けるという屁理屈は人類が地球上 から一切消え去るまで続くのだろうか。 昭和20年、長崎原爆投下の日、長崎県立高女の4年生で、学徒報告隊員として城山小学 校にて仕事をしていて爆死された林 嘉代子さん。 御両親が小学校に寄贈した嘉代子さん が生前好きだった桜の苗木は今では立派に成長した。 平和も人類の努力によってつくり あげられ育っていくものだ、踏みにじる奴もいれば、引っこ抜こうとする奴もいるだろう その一方で水をあげ、肥料をまき、地道にあきらめず育て上げようとする人もいる。 8月9日、嘉代子桜は、57回目の長崎のもっとも暑かった日を迎えている。 黙祷 一 夢 庵 風 流 日 記 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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