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カテゴリ:日本民俗・宗教哲学
一条天皇の中宮・定子が、「少納言よ、香炉峰の雪、いかならん」との言葉に上記の 白楽天の名詩の謎かけだと察知した清少納言が、ススッと御簾を巻き上げ、雪景色を 御覧に入れたというエピソードがある。 清少納言の主家がいま少し権力を維持できていれば、当時、高価だった紙をふんだん に使うことができていれば・・・「源氏物語」を生み出した女流天才作家とは異なる タイプのフィクションの物語を、世界にもうひとつ提供できたと思われてならない。 清少納言の作品は日記や随想などの短い断片ばかりで、才能を浪費した彼女を無念に 思う、確かに「枕草子」は個性的で素晴らしい作品ではあるが、だからこそ、彼女に は長編物語を書いて後世に残して欲しかったとないものねだりをしたくなるのだ。 日本人の美意識を代表する「雪月花」という言葉は、清少納言の「枕草子」の香炉峰 の雪、紫式部の「源氏物語」が石山寺で名月を見て書かれたという伝説、それと美女 の中の美女である小野小町「花の色はうつりにけりな・・・」という和歌で、それぞ れ代表される、という意味である。 明治時代に天才女流作家が舞い降りた、その名は「樋口一葉」。短編「たけくらべ」 を読むと、一葉に長編小説をぜひ残してもらいたかったと考える人は慶次だけではない はずだ、必ず大傑作を残してくれただろう。清少納言は政治的状況に才能を圧迫された 、樋口一葉は無慈悲にも若いうちに天に引き戻された、現代、眠っている天才女流作家 が早く出てきてくれることを望んでやまない。 定子の父親は藤原兼家の長男・道隆、「氏の長者」である第一人者である。平岩弓枝の 「平安妖異伝」には大酒のみで傲慢、好色な男として描かれているが、これは本当らし い。道隆の死後、長男の伊周は人望を集められず、叔父の道長に権力の座を奪われる。 この様子は、「大鏡」や「栄花物語」のなかでダイナミックに語られており、落日の道 隆一門、この家に仕えた女房が「清少納言」である。 5千円札の樋口一葉は、あまり好きではありません 一 夢 庵 風 流 日 記 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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