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「はい、それじゃあ終わりましょう、宿題忘れないでね」
「先生、さようなら」 「啓太! 先に行ってるからな」 「文ちゃん、待ってよ」 啓太と文也は三年三組の同級生、学校の宿題で出された押し花をつくる ために、近所の原っぱで花・葉を探そうと約束したのだった。 「お母さんお母さん、今から文ちゃんたちと葉っぱ探してくる」 「葉っぱ? 葉っぱなんてどうするの?」 「うん、宿題、それより文ちゃんが来ちゃうよ、おやつ出して」 「お~い、啓太、行こうぜ」 外で啓太を大声で呼ぶ声がした、文也である。 啓太は食べかけのバームクーヘンを口の中に突っ込んで、 あわてて玄関に向かった。 「お母さん、行ってきます」 「暗くなる前に帰ってくるのよ、車には気をつけてね」 靴のかかとを踏んだまま、玄関を飛び出した啓太は、右手をぐるぐる 回して前を走る文也を追いかけ、原っぱに向かった。 昨日の雨が道のところどころに水たまりをつくって、初夏の日差しが それに反射し、ふたりを交互に照らしていた。 第一話完 全三~五話へ完結予定 一 夢 庵 風 流 日 記 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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