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一 夢 庵 風 流 日 記

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2008年03月12日
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カテゴリ:その他
                    


「文ちゃん、宿題はレンゲの押し花にするの?」
「違う違う、オレはこれにする」

文也が指差す先には真っ白くてかわいい花が並んでいた。

「ん? シロツメクサの花?」
「違うよ! 啓太、よく見ろよ」

文也は小さな葉っぱを指して、啓太の目の前で四本の指を
大きく広げた。

「ああ、葉っぱのほう? クローバーだ、四葉?」
「うん、四葉のクローバーを探すんだ」

文也はしゃがんでクローバーを摘みはじめた。
一枚千切っては、これじゃない、さらに一枚千切っては、
あれじゃないと、ぶつぶつ言いながら探している。

どれくらい時間が経ったのだろうか、陽は少し傾き、
大きな桜の木の影は、背がのびてスリムになっていた。

「文ちゃん、どう? 見つかった?」

夢中で探している文也のまわりには、たくさんの三つ葉の
クローバーが千切り捨てられていた。

啓太は、少しさびしくなり、そっとそれらを集め、袋に入れ始めた。

「おい、啓太、それ、三つ葉だぞ」
「あ、うん、知ってるよ」
「四葉じゃないと、幸運は来ないんだぞ」
「でも・・・三つ葉も葉っぱだから」
「おまえなあ、三つ葉じゃ幸運は来ない・・・」

啓太は文也の言葉をさえぎるように少し声を荒げて言った。

「四葉も三つ葉も、同じ葉っぱだから!」

文也は最初はきょとんとしていたが、啓太の言いたいことが
わかったのだろう、バツが悪そうに、口笛を吹きながら
お地蔵さんのほうへ走っていった。



第一話「宿題」はこちら
第二話「レンゲ」はこちら


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花粉が・・・舞っています・・・





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最終更新日  2008年03月15日 09時22分50秒
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