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カテゴリ:雑記
なんだかピントが甘い自分の写真を
遠く離れる恋人に渡す年若き女優 怪訝そうな彼に あなただけに向けた笑顔を渡したかったのだと 言いたくて言えなくて そんな とある少女漫画のワンシーンを 微笑ましく思い出しながら 久々に聴くアルバム カセットにダビングして 父の車で聴いて歌っていたっけな 母も後ろで聴いていた 恥ずかしくなっていつも同じ場所でわざと歌詞を間違えたり うたの途中で目的地に着いてしまうと むくれて少し乱暴にドアを閉めたり 毎度ばかばかしく 懐かしき日々 ミルクはひんやりぽつんと置かれていて 真夜中にひとりでレンジで温める そこいらでぼうっとしている姿を 大概見飽きたらしく 両親はうかっと 娘が生まれた日を忘れたりもする あれから15年後の冬 「自分ではそう思えんのかもしれんけど すごく頑張って来られたんじゃと思う。」 ドクターの言葉にとっさに出てきたのは ありがとうではなく 「それは誰でもそうです。 頑張ってない人なんていませんよ。 生きている人は誰だって頑張ってます。」 気付きたいことにばかり 気付くわけでもなく 数年前の誰かの悪ふざけが 今になって心を険しくさせる 湿って冷え切ったその場所に どうしても火が灯らない 素直でなくねじれながら どこかへ向かってぐるぐるのびる とげをさりげなく抜くのは やはりひとの言葉 だから私もきっと たとえ何一つ報われないとしても 本当は優しく生きていたいのだと 泣き腫らした鏡の中の目を ただ見つめる ただ祈る 昔と同じ場所でうたい間違えて 苦笑しながら ハンサムな彼女 全9巻 吉住渉/作 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.02.08 14:42:33
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