日記小説~青い目の亀~序章三
―どうだ、亀になってみないか。―老人は言った。―亀。何故にまた。―老人に聞き返すと―お前は今『無欲・無心』という新たな悟りを得た。かのブッタですら心からの無欲無心無心は得られなかったであろう。―老人は続ける。―お前が亀になると、まず一人の少年がお前に『月』のことを聞きに来るであろう。次は青年が、これもまた一人でそのあとも、次々と人々はお前の知恵を仮に来る。―老人が話し終えるとすぐに、―何故亀なのですか。鳥や他の獣ではだめなのですか。―と聞いた。ここは老人が座していたところの近くの泉である。老人は、「亀は万年生きる神獣だ」と言い、また「で、結論は」と聞いた。智は、答えはお心のままに。とのみ答えた。すると老人は、「この泉は『智の泉』という。智よ、お前が亀になったとき、目はこの泉のごとき深い青になるであろう」といった。その夜、二人だけのささやかな宴会が行われた。『智』の人としての『一生』最後の夜であった。