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テーマ:詩&物語の或る風景(1049)
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二人並んで歩くにはやや狭い歩道。信号機や自販機に照らされた薄暗い足元を少し気にしながら、君より1、2歩下がって歩く。君はたまに後ろを振り返りながら、「寒いね」って笑うんだ。目を細め、目尻にしわを寄せながら。そこからゆっくり温もりが伝わってくる。だから寒くないけど、でも「寒いね」って一緒に笑う。ツンと肌を刺すように張り詰めた寒さが、緩む瞬間。
『一緒にいる』って、きっとこんなことなんだね。 車の走る音が聞こえ、後ろに伸びていた影が前へと伸びる。私を追い越して後方へ視線を向けた君が、さりげなく車道側へ歩み寄る。そんな優しさが嬉しくて、でも恥ずかしくて…。うつむいたまま精一杯「ありがとう」としか言えなかった私に、なんてことないような顔をしながら、君はまた目を細めてみせる。 知らぬ間にいっぱいいっぱい温めてくれる、そんな君が愛しいと思った。 END お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.03.03 23:11:12
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