藤田対小川。
「INOKI BOM-BA-YE 2012」 とんでもない結末だった。 戦前、メインの小川対藤田、久々にワクワクしていたマッチメイク。 (もしかしたら!?)の期待もあったのだが、始まってみれば、普通のプロレス。 なぜ藤田君が「仕掛けさせた!」言っているのかまるで分からない。 両者、振り抜かないプロレス仕様のパンチ、急所は蹴らないキック。 唯一、”生”に思えたのは小川君が入れたスリーパー。 でもそれも結局外している。 99年1月4日の小川対橋本の方がよっぽど”生”だった。 小川君のサミングが気に食わなかったのか!? 結末は明らかにブックとは異なり、スカされた感はある。 小川君の入場シーンの表情からも、今日は負けると予感させてくれてはいたのだが・・・ んー、実に難解な問題を与えられた。 この試合後のインタビューを聞くと、まあなんとなく見えてくるが・・・ でも、ズバリ、猪木ファンは小川対藤田でそんなヌルイ試合は全く期待してないでしょう。 メインは途方もなくしょっぱい結末であったが、そのマッチメイク自体の意味が私にとっては物凄く興味深い。 (またやってしまったな、猪木さん。)という感じですか。 (バックステージ) 藤田「(制止するサイモン取締役に対して)いいよ、やろうよ。すぐ終わるよ。なんだ、これ。なんだ、これ。なぁ、何これ。どうせ絵書いてるの、会長だろ、これ? なんだ、あれ。ひとつもレスリングできねぇじゃねぇかよ、おまえ。やる気なんかねぇじゃん、アイツ。なんだよ、おまえ。下らねぇ。いつまで下らねぇことやってんだよ。平和だ、平和だぬかしてよ。アッチにもコッチにも火つけてよ、戦争始まったら平和だって? 都合よくねぇか。一番の戦争の原因はアントニオ猪木、アンタじゃねぇか。ふざけんじゃねぇよって! (涙を流しながら)人、バカにしやがって。知るかIGFなんて。くだらねぇ、こんなことやって。だから成長もねぇんだよ。悔しくて涙出てくるわ。下らねぇ、何がアントニオ猪木だ、バカ! 小川と2人で一生やってろ、このヤロー!」 小川「なんなんだ、あのレフェリーは? なんで終わったか、さっぱり分からない。そもそも呼ばれてきたんだよ、オレは。求められてきたんだ。黒幕が誰かわかるだろ、そんなもん。なのになんだよ、それ。仕掛ける側なのに裏切られた気分だよ。納得いかねえな、ホントに! (藤田も感情的になっていたが?)アイツが一番悔しいだろ、ざまあみろ! オレが普通に来て、ハイ試合ってするわけねえだろ。ふざけんじゃねえよ! (リングサイドに猪木はいなかったが思うところは?)いや全然。オレは言われたことをやるだけ。猪木さんに手伝ってもらうわけじゃねえし。やる時はオレがやるよ。この手でやるんだよ。とりあえず藤田をぶち殺すのは失敗したけどな。なんだ、あのレフェリーは。試合を邪魔しやがって。レフェリーは1人で十分だよ。 プロレスだぞ! 5~6人、わんさか来やがって! 恥ずかしいよ! 初めてだよ、レフェリーがこんなにゾロゾロ、なんのためにいるんだよ。いらねえ、いらねえ! ノーレフェリーでもいいって言ってるのに、なんで5~6人もいるんだよ! ふざけんじゃねえよ! ああ思い出してムカつくな。んで、気がつけば終わってるしよ。何しに来たんだ、一体。 (結果に納得いかない?)当たり前だろ! 初めてだよ、いきなりレフェリーストップなんて。何度も言うけど総合格闘技と一緒にしてるからおかしくなる。あんなにレフェリーいっぱいいたの初めてだろ! (猪木に言いたいことは?)呼んどいて、仕掛けさせといて、最後止めさせるってなんだよ? 分かるか? オレは呼ばれてんだよ。求められてるんだ。やりましたよ、なんで止められるんだ? (藤田はなぜ来なかった?)知らねえよ! くだらねえ質問するな! 再戦? 客に望まれればやるよ。客が望まなかったらやらねえよ。望んでる? じゃあやるしかねえだろ、望むんだったら」 猪木「総括はリングでしゃべった通り。アイツらがそれだけの怒りを燃やせるなら、もっと5年前、10年前に燃やしておけよって。今回はオレは言ったんじゃない。アイツらがやりたいって言ったんだ。オレが仕掛けたわけでもねえよ。本来最初からオレは反対してるじゃないか。オレからすると本当にやっと怒りってのはなんだ?と。オレらは本当に色んな場面にも行ってきて、いま何が本気で真剣であるかって、こんな甘っちょろい話には乗らないよ。オレ一人で勝負してやるよ。結果は結果で仕方ねえ。コイツらを殺し合いさせるわけにはいかねえ。さっきもパキスタンの映像が出たでしょ。ペールワーンとの。未だに歯形があって、その思いがあったから今回も墓参りに行ったんだ。 彼らにとってコノヤローって(気持ちは)全てのことに通じることであって、リングだけの問題じゃなくて、人生観にも、あるいはみんなに対するメッセージでもあったり。こんな中途半端なねアレはオレが昔、なんべんもやってきてるからね。来るならオレが受けてやるよ。不満ならばよ! そこまでかける価値もね、逆にいったら選手たちを守ってやらないといけない。本当に矛盾しているかもしれないけど、守らないといけない。 (会場の空気も異様なものになったが?)だから怒ってみろって! そういうことをケンカしろとか言ってるわけじゃなくて、若い人たちが知らないことを身を持って見せるしかないという。今日来たお客はラッキーですよ。前から言ってる通り、見たくないヤツは来るなって言ってるだけでね。 それくらいリングと客席の力関係というかね。選手たちがそれくらいの、もっと言えば宗教的な信者じゃないけど。そういう意味では今みたいな怒りがお客にも出てくれば、来年も一つ、本当の格闘技・プロレスブームが起こる兆しかなと。皆さんがどう判断するか知りませんけどね。今世の中に一番沈殿してる“なんだか分からない”を爆発させる、何に爆発したらいいんだっていうね。あとになって冷静になれば。彼らもリングで興奮してただろうから、オレにぶつけるしかねえじゃん!」 もうひとつの注目カード、ミルコ対鈴川。 鈴川君がマワシで臨むという、プロレス頭にちょっと痺れたが、やはり強くなくては惹かれない。 そして、相変わらず、ミルコは素晴らしいプロレスラーである。