大阪天満宮の髄人さんと髄人の決まりごと
大阪天満宮の表門
表門
他の神社の如く、独立した隋身門はありません。表門の左右に隋身さんの隋身
部屋があって、そこに隋身さんがいます。上の写真の小さな屋根がそれです。
大阪天満宮の髄人さんは、ある方のブログを拝見したところ綺麗だったので、髄人の写真を撮影出来れば、「髄人の参考」として最適だと思いました。
それでこれまで4,5回撮影の機会がありましたが、保護に利用されているガラス窓がホコリの為、光を反射して中の髄人さんの写真を満足に行く状態で取れませんでした。
結局、ある日の夕方、日蔭になった状態が最適の撮影条件でした。
(1)参詣者側から見て、左側が右大臣で、向かって右が左大臣です。
大阪天満宮の髄人-コラ-ジュ写真
右大臣(神様に向かって左側) 左大臣(神様に向かって右側)
神社では、お祀りされている神様の側から見て、右左が決められております。
従って、このコラ-ジュ写真の如く、参詣者側から見ると右大臣と左大臣の並びに
なります。隋身門のこれが決めごとです。
大阪天満宮は、隋身門が考案された時代に遡って、正規の位置におさめられているものと判断いたしました。
いつの間にか、あるいは何かの事情で左右がアベコベになってしまった例も全国ではかなりありそうですが、あまり律儀に昔の正規の状態の戻すことを強行されるのも考え物であり、地元の方々が納得のいく相談の末、実行されるのが良いと思います。
(2)髄人さんの決まり事 冠とおいかけ
髄人さんの横顔 耳当てが「おいかけ」で、武人の決まり事です。
このお宮さんの隋身さんの巻纓冠は、はっきり写っておりません。
次に示す百人一首でご参考に願います。
髄人さんは、平安時代でしょうか、天皇や貴族など貴人の警護者が任務であり、その事から髄人と命名されていたようです。
検非違使庁のお役人は、今の警視庁の如き役所で、いわば警官と思えばぴったりの姿ですが、髄人は貴人が外出する際の警護が任務でした。
そこで、貴人と識別できるように、その冠も巻纓冠(けんえいかん)と呼ばれ、纓が
下に垂れずに、巻かれていたのです。
また、その耳当てとして「おいかけ」を付けるのが決まりだったそうです。
百人一首に見る貴人と武者の違い
貴族や文官は、纓をたらしており、武者は巻纓冠を被っております。
大阪天満宮の隋身さんも巻纓冠を被っております。
このカルタに描かれた居る和歌の作者は、貴族かと思いますが、武者風の絵柄にされて居るのではないでしょうか。
貴族のカ-ルしないで垂れている「纓冠」とカ-ルしている巻纓冠で区別がはっきりしています。
(3)左大臣は老人風で髭・髪が白く、右大臣は、若々しい黒いひげと髪の毛が特徴
左大臣の白髪 どこまでもはっきり区別されております。
多くの神社の関係者や信者の皆様に不快の念を持たれる恐れがありますが、隋身門の多くは、窓の内外の清掃に手が回らず、髄人も長い年月に晒されて、褪色や剥落などが見られます。
その点、この大阪天満宮は、窓ガラスに埃が見られましたが、髄人さんは綺麗でした。
今回撮影してみて、左大臣の白髪まできちんと整えられているので驚きました。
(4)上着の色で、左大臣、右大臣の違いも分かる。
二枚目のコラ-ジュ写真でお分かりいただけるとおもいますが、左大臣は
黒い上着であり、右大臣は赤い上着です。
堺市の菅原神社の社務所でお伺いした処、神官の着衣は、黒が最上位者で、赤が次席の方の色と順位に決まりが有ることがわかりました。
また、我々は、普段物の場所を示す際、・・・左右の云々・・・と左を先にしまします。
また、左大臣が上位で、右大臣がその次の地位にありました。
これらのことからも、左大臣が黒の上着を、右大臣が赤い上着を着るのが決まりです。
(5)右側の左大臣は、口を開き、左側の右大臣は口を閉じている。
先例となったお寺の仁王門の仁王や神社の狛犬はしっかり口を開いている。
神社の隋身さんは、左大臣(右側)が上品に?口を開けており、右大臣は
口を閉じていて、仁王さんや狛犬と同じ形式を踏まえていると思われます。
上述の通りで左大臣の口の開け方がつつましいので、お気づきでない方も
いらっしゃることでしょうが、この口の開閉も左右の隋身の見分け方の一つ
方だと思います。
(2012.01.10 私のブログで、カテゴリ-{広く・深く・学}隋身門故事を巡っ
て仁王門から狛犬まで・・・写真を添えて載せました)
大阪天満宮へ参詣する機会が多かったものの、その位置と日の光などで、素人が写真撮影をするのになかなか難しい場所でしたが、お陰様でやっと目的の写真を撮影できました。
隋身(ずいじん)さんは、向かって右にいるのが左大臣であり、向かって左にいるのが右大臣です。
また、上着の色が黒が左大臣であり向かって右、赤い上着が右大臣で向かって左側の隋身門の部屋におります。
これからも各地の神社を参詣する機会が多いことでしょうが、髄人さんに関しては
楽しく拝見できそうです。