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子供の頃(それは多分、小学校3~4年生くらいだったと思う)、私はくまのプーさんという存在を、物語本編からではなく、お料理の本から知った。
プーさんのお料理読本(文化出版局)というそれは、私にとってプーさん云々ではなく、イギリスと子供向けお料理という二つの憧れを運んでくる本だった。 でも、変に律儀というか、神経質といおうか、理屈こねといおうか、私は「この本がプーさんという熊を主体にした本ならば、やはりその熊についてキチンと理解せねばなるまい」と考えて、そういう意図で『くまのプーさん』を読んだのである。 …何が面白いのか、よくわからんかった。 でも、岩波書店である。子供向け名作である。石井桃子である。ついでに、自分が大好きな料理本のモトネタ? である。 本当にイヤったらしい子供ではあるが、私は以上のように考えて、それ故にその「名作性(?)」を理解しようと、何度となく、プーさんを図書館から借りては読み直した。が、ついに、その面白さが理解できぬままに、大人になってしまったのだった。 そして、結婚して子供が生まれ、そのムスコが絵本を理解するようになったとき、私の頭にある実験がひらめいた。 「コイツにプーさんを読み聞かせたら、どのような反応が?!」 まさに子供時代まっさかりのときに、この物語に入り込んだら、100%日本人男子幼児は、どのような反応を示すのか?! 被験者の条件としては、申し分ない! 実行あるのみ! 使用するテクストは、岩波書店の文庫版「くまのプーさん」で、岩波少年文庫何十周年記念版のウィリアム・モリス装丁バージョン。当然、挿絵は表紙にない。中の挿絵も、モノクロで小さくて、文字の合間に入っている程度。 ムスコが4歳くらいのときに、初めて読み聞かせた。 くまのプーさんについては、ディズニーからの知識として彼の中にあったので、プーさんを読んでもらえるということには反応するが、読み聞かせの中から、モノクロの小さなイラストのみで想像をふくらませていく作業はちょっと難しいらしく、あまり興味を示さなかったため、すぐに終了。 テクストがよくないのか、やっぱりプーさんの原作には興味がわかないのか、わからないままだった。 ところが今日、セキが出始めたのでかかりつけ医のところへ連れて行った際、待ち時間が長いところなので時間つぶしにと思い、また同じプーさんのテクストを用意していった。 現在ムスコは5歳だが… 喰いつく喰いつく!! プーさんの物語に大喜び。 難しい表現や単語は、どういう意味かいちいち私に確かめながら、小さな白黒の挿絵を頼りに、しっかりとプーさんの世界に入り込んでいるではないか!! ちゃんと、話の流れと趣旨を取り込んで、笑ったり、驚いたり、納得したり、「ばっかなクマのやつ!」と言ったりしているのです~!! すごい。 やっぱり、小さな子供のうちに読むと面白い話なのか、単に私が物語に入り込めない子供だというだけだったのか、結論としてはわからないんですけど… ただ、子供に読み聞かせてやっていると、どういう話でどう面白いのかは、自分が子供だった頃よりははるかにちゃんと理解できました。 どうして自分が子供の頃、理解できなかったのだろう… でも、この面白さを「理解」でなく「感じる」ということを、私は多分望んでいながらできなかったんだろうし、今、それを自分の子供に体験させてやれることが、ちょっと嬉しい。 そして彼がそれを自分自身で体験できているということが。 私と違って、ムスコは『プーさんのお料理読本』も、ちゃんとその本の大事な部分…つまり《プーさんが居るからこそのお料理》ってことを、感じて体験してくれるんじゃないか、と期待してしまいます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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