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【浪花ぐらし】
子ども落語家 りん吉さんの行く末 2012.3.25 13:07 (1/3ページ)[石野伸子の世界] 大阪在住の童話作家、藤田富美恵さん(73)から新刊本が届いた。珍しいノンフィクションものだ。 『子ども落語家 りんりん亭りん吉』(文研出版)。タイトル通り、アマチュア落語家として活動する奈良県大和高田市出身の田村凛夏さんを追ったお話だ。 りんりん亭りん吉さんのことは落語に関心のある人ならどこかで聞いたことがあるかもしれない。小学校低学年から落語を始め、アマチュアの落語コンテストなどで受賞歴を重ね、13歳のいまも地域寄席などにたつ中学生だ。 本の表紙に、ピンクの着物を着て正座するりん吉さんの姿が大写しになっている。赤い眼鏡がご愛嬌(あいきょう)。しかし、こちらを見つめるまなざしは利発そうで強い。 【浪花ぐらし】 子ども落語家 りん吉さんの行く末 2012.3.25 13:07 (2/3ページ)[石野伸子の世界] 私がりん吉さんのことを知ったのは3年前、藤田さんが大阪市中央区の自宅の蔵で1日寄席を開いたとき。藤田さんが住む「空堀」付近は戦災で焼け残った路地などが若者に愛され、ユニークな店や町づくりで注目を集める。そんな町おこしイベントの一環として企画されたのだが、童話作家だから子供だけの寄席で、その出演者の一人がりん吉さんだった。明るい声と堂々たる話しぶりが印象的だった。 藤田さんも、客をそらさぬりん吉さんのパワーに感動した。以来、彼女をテーマに話を書こうと取材を重ねてきた。藤田さんは父親が漫才作家の秋田実氏だから多少なりとも演芸の世界になじんでいる。しかし、まったく縁のない家に育った少女がどのように落語を始め、成長してきたのだろう。そこに興味をもった。 【浪花ぐらし】 子ども落語家 りん吉さんの行く末 2012.3.25 13:07 (3/3ページ)[石野伸子の世界] 落語一直線の娘のために子供向けの台本を手作りする父親、何かあればインターネットで調べ、関係者に体当たりして道を開いていく母親。娘の思いをサポートする家族がリアルに描かれていて興味深い。「りんりん亭りん吉」という名前も、体当たりメールで相談をした桂三枝さんがつけてくれた。 いま13歳。子供落語家として注目を集めてきた少女はこれからどう自分の道を進むのか。「孫のつもりで書きました」という藤田さんの筆が温かい。4月3日には、大阪市中央区の高津神社で出版記念の寄席が行われる。りん吉さんは「崇徳院」で登場予定だ。 (編集委員・石野伸子) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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