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2014年01月04日
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カテゴリ:黄帝内経の世界

 いよいよ上古天真論2段目です。

 これまでは、主に養生法について述べられていました。

 ここからは、人の成長と老化の過程について述べられているのですが、臨床的にも非常に大切な所でもあります。


 女性は7の倍数、男子は8の倍数で変化していくと説かれています。確か養命酒のCMにも用いられた部分です。


 読み進めて頂くと、総じて女性は男性に比べて早熟ではある代わりに早く老いていくことが分かります。


 この成長と老化の要となるのが、腎の臓の充実度です。前回書きました親から受け継いだ「精神」を宿すところが東洋医学の腎の臓です。


 腎の臓について、少し解説します。


 臓腑の概念の基本形は、東洋医学の臓腑≠西洋医学の臓腑です。


 詳しくはこちらを参照してください。 → 臓象学とは
 腎の臓は、図-1のように人体を鍋に例えると、マキと火に相当します。

 図ー1
腎の臓.png

炎は腎の陽気に、燃料のマキは腎の精に相当します。

  燃料は、消化器を通じて食べ物で補われ、日常活動で余ったものが先天の精と一緒に腎の臓に蓄えられます。


そして親から受け継いだ火種は食べ物で補われた精を燃やして大きくなり、全身を温め代謝エネルギーの大本となります。


 さらにこの腎の臓をコントロールしているのが、心の臓と肺の臓なのです。東洋医学の心肺は、いわば原子炉の制御室に相当します。

 人の成長過程では、図―2のように陽気が先行して陰気がバランスを取ろうとします。そうすることによって陰陽の場、そのものが大きくなるというように説明します。

 図ー2
陽有余-子供の成長.jpg

 陽気が盛んである子供は、ジッとしておとなしくしておれないのは、当然のことなのです。 腎の陰陽の気が調和した状態が図―3になります。調和するので、ここで成長が止まります。そして図―2の逆をたどって陰陽の場が小さくなり、次第に衰えていくわけです。

 

図-3

陰陽図.jpg

 上古天真論の第1段までは、この腎の陰陽の気を損なわず、充実させるために主に、心神のあるべき姿が説かれており、第2段では、生物的な成長・老化の一般的経過が説かれています。


 長文になりますので、今回は女性の成長と老化の過程を意訳して参ります。


 

 黄帝がおっしゃるのには、人が年老いて子供を授かることが出来ないのは、精力が尽きてしまったからなのか、それとも自然の摂理であるのか、と。

 

 それに対して岐伯が次のように答えた。


  女子は7歳にして腎気が盛んになり、歯が生え換わって髪の毛も長く伸びるようになってくる。

 

 二七、14歳になると自然と体の前の正中線を通る任脈という経絡が通じるようになり、精血(せいけつ)を蓄えることが出来、体の深部を通る太衝脈(たいしょうみゃく)がいよいよ充実してくる。従って定期的に月経が来るようになるので、子供を産むことができるようになる。


 三七、21歳になると腎の精気と陽気の調和がとれるようになるので、永久歯は生えそろって身長も極まってくるので最も高くなる。


 四七、28歳で女性として肉体の最盛期を迎えるので、筋骨はがっちりとして髪の毛の伸び方も極まってくる。


 五七、35歳になると顔面部を養っている陽明の経絡が衰え始めてくるので、顔面部が少しずつやつれるようになり、髪の毛も抜け始めるようになってくる。


 六七、42歳では、いよいよ3本の陽経がまず頭顔面部から衰えるので、顔に皺が増え、白髪が生じ始めてくる。


 七七、49歳になると、任脈は勢いをなくし太衝脈も衰えてくるので、いよいよ閉経を迎えます。当然のことながら体の輪郭もぼんやりとして子供を産むこともできなくなります。

 

 以下原文と読み下し。


帝曰.人年老而無子者.材力盡邪.將天數然也.

帝曰く。人年老いて子無き者は、材力の盡(つ)きたるや、はた天數の然(しから)しむるや。
岐伯曰.女子七歳.腎氣盛.齒更髮長
岐伯曰く、女子七歳.腎氣盛ん、齒更わり髮長し。
二七而天癸至.任脉通.太衝脉盛.月事以時下.故有子.
二七にして天癸至り、任脉通じ、太衝の脉盛ん、月事は時を以って下り、故に子有り。
三七腎氣平均.故眞牙生而長極.
三七は腎氣平均す。故に眞牙生じて長極まる。
四七筋骨堅.髮長極.身體盛壯.
四七は筋骨堅く、髮の長(た)け極まり身體は盛壯たり。
五七陽明脉衰.面始焦.髮始墮.
五七は陽明の脉衰え、面焦げ始め、髮墮ち始める。
六七三陽脉衰於上.面皆焦.髮始白.
六七は三陽の脉、上に衰え、面皆焦げ、髮白くなり始める。
七七任脉虚.太衝脉衰少.天癸竭.地道不通.故形壞而無子也.
七七は任脉虚し、太衝脉は衰少し、天癸は竭き、地道は通ぜず。故に形壞れて子無きなり。
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最終更新日  2014年01月04日 10時52分02秒
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