情報という食事
友人の推薦で参加させて頂いている小児科医のメーリングリストで、小学校低学年の子供にパソコンを使わせる事などが話題になっていた。そこに私が書き込んだ内容をここにも記す。以下転記。『RE:パソコンと子供のこころの発達についてスレッドをお読みの皆様こんにちは、神奈川県逗子市の内科小児科医 石川眞樹夫です。パソコン使用そのものの是非についての意見ではありませんが、少し思うところがあり書かせて頂きます。私は小学校低学年の子供たちにパソコンは不要だと感じますし、我が家の子供らにも、患者さんとして来られるお子さんの親御さんにも、小さいうちは、コンピューターやインターネットとの接触時間は少ない方が良いでしょうとお話しします。(もちろん、子供の資質と生育環境によってはその年代からパソコンと触れ合う事で大きな才能を開花させる子供もいるであろうと推測はしますが。)私がそのように感じ、考える主な理由は、情報は一種の食べ物だと感じ、考えているからです。食餌による子供の育成を考える場合、最低限の原則は、まずこどもらの心身を健全に育てるにふさわしい食餌をきちんと食べられるようにしてあげることにあると思います。ジュースを含むお菓子のたぐい、嗜好品を小さい子供たちに過剰に与えた場合、それら微量元素やビタミンを欠いた食品によって一応の満腹感が得られる為に、第一に食べてもらいたいきちんとした『ご飯とおかず』を子供たちは食べる事が出来なくなります。そして、新鮮な野菜と生命力の豊かなごはんなどの、本当の「ご飯とおかず」によってしか感じる事の出来ない「体験」があると私は自分の経験を基に確信しています。ヴァーチャルリアリティーとあまり早い時期に接触させることは、子供らの現実との交流能力の発展を阻害する可能性が大きいと私は考えます。つまり、パソコンやインターネットに向き合って経験出来る事柄よりも、小さい内に経験出来る、より豊な人間的経験や、自然とのふれあいといったものがこの世界には沢山あり、それらへの感受性が豊かな時期に、人生の貴重な瞬間をまだまだ未熟なヴァーチャルリアリティーを経験するために費やしてしまっては、子供もその親も、経験の優先順位を間違う事になる可能性が大きいと感じる訳です。以上は、ここ数日のスレッドを拝見していてふと思った事です。どなたかのご参考になれば幸いです。』