『治療の書』13
野口晴哉先生の「治療の書」30pから。『我が見に逆ふ者如何にす可きか、と問ふ人あり。 逆らしむる也、その逆ふ気力認む可き也。もう少し上手に逆ふこと教へる也。逆ひしものは逆ひしまま従ふ也。之従へる自分認められるが故也。士は己を知るものに命托すとは古人の言也。逆ひし者も逆ふこと知れる人に随(したが)ふは当然也。逆ふは溌剌たり。一人逆へば百人随ふ也。逆ひし者も逆ひしまま随ふ也。治療する者この如く導く可き也。逆ひてはなるるは彼の逆ひに我が逆ふものがある故也。その故に背く者背かしむ可し、背きし彼も背き乍ら随ふ也。ただ随ふ人に逆ひ背くこと教へなば溌剌として誰も随ひて来るなり。ただ逆はず、背かず随ふものに放るるの時あり。』