一号颱風の余波だろうか。午前四時前の舗道は黒く濡れていた。前夜ほんとうに久しぶりに神楽坂下の横町の小さな蕎麦屋にて、迎えた素敵な女性と差し向かいふたりきりで日本酒をたのしんだ。その二十四時間前には勝沼の高速道を時速140キロで走る四輪駆動の助手席にいた。横殴りの雨がときに笛吹川の黒い川面をたたき、アラブの宮殿をもしたドンキの駐車場に開店する屋台のつながれた犬のかたわらでは、地元やーさんが愛人連れて子供のおもちゃを買いにきている。なるほどむかしならハナモクだったかなどと隣人と遠目にそんな風景を眺めつつ、リージョンフリーのDVDプレイヤーもちろんMADE IN CHAINAを探して回ったのであった。出かける直前にまだ日本酒が抜けてないわが運転手はあわてて豆腐をほおばった。酔い覚ましには豆腐が一番良いとか。なるほどとおもいつつ、高速のインターチェンジを時速100キロのままはしりぬける車内で、ちらと運転するヤツの目を改めてみればあきらかにとろんとしたまんまであった。不思議なものだなとつくづくおもう。事故にも遭わず飲酒運転で逮捕も免れて、生きている。そうしていまは百キロ北の首都の花街で、こうして妙齢の美女とどうしたわけか盃をかたむけている。都合四合くらい呑んだろうか。そうして毘沙門さんの路地へとはいり、ふと気がつけばきょう5月20日土曜日の午前四時、生ぬるい風が並木を走り抜けている…???なんだ、夢だったか。アモーレROMA♪