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カテゴリ:生きる
マカロニ猊下殿
秋の嵐が吹きぬけて、わが山は快晴となりました。眼下の川は大河となり、ふもと近在には餌を求めてクマが徘徊しており、午前にはこの秋数度目の外出注意令が出されました。 まだ山中にいます。じつは、脳味噌のエンジンがなんだか気圧とともにすこし快調になってしまい、上京するのが億劫になりました。ご招待の貴下大学のシンポジウム出席も見合わせて、せっかくぐうたらな味噌がはりきってきたので、ちょいと仕事のほうに注力したくおもいます。 そんなわけで、夕方金鉱脈の欠片などお土産を持って、マント翻しそちらにお邪魔するつもりでおりましたが、また近々後日という事にいたしたいとおもいます。勝手ながらどうか宜しく。 ハイハイ童子 複数の知人宛、こんな私信をファックスして、布団を秋空に干した。気温はぐんぐんとあがって正午をまわるころには28度を突破した。なるほど気圧のヒトに与える影響というものはバカにならない。長雨つづきでトタン屋根を叩く秋の雨音に逆立ちして世界を眺め直そうが、朝風呂の連続技で精神をけしかけてみようと、錆びついた味噌のエンジンはぷすぷすとからきし活性化してくれない。昨夜は大家のところで裏山崩壊のときの善後策をビール飲みつつ論じあい、もどる夜道のむこうから豪雨のなか、どうしたわけかイノシシの子のうり坊に首輪をつけた部落のものがのこのことやってくる。屋久島産の屋久犬を猟犬として訓練するためにこれからうり坊をかこいのなかで放すのだという。ざざざあとどしゃぶりのなかで猟犬の訓練をやるのだろうか。すこしばかり滅入っていた気分のままわが山小屋へともどれば、雨宿りの野良猫一同が、「もうかえってきたのか」といっせいにこちらをにらみつけるのであった。ばたばたとあわただしく資料を回覧し、タグをつけた録音テープの山のなかへふたたびもぐり込み、内耳をいぢめつくしつつ夜明けを迎えたところで息絶えた。目覚めれば秋の青い空に綿のような白い雲が浮かんでいたのであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.07 15:33:35
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