どうしたもんかねえ、という。柿はなるのだが熟す前にぽとんと落ちてしまう。シイの実もドングリもいつものように実をつけない。言われてみればうちの裏山もそうだ。この季節、トタン屋根にどんぐりの落ちる音がひときわ大きく響くのに、なぜかこの秋はそんなこともない。それがにゃあ、蜘蛛だけは威勢がええだよ、とハクサイのお新香を噛みながらおばあちゃんがつづける。あちこち蜘蛛の巣張ってなあ、取ってもとっても出てくるだわ。かたわらで炬燵に入ったまま寝息を立てる八十八歳の連れあいがやかん頭をぐらっと動かした。ナルホドなあ、うちも蜘蛛の巣があちこち架かって先般しばらくぶりにもどれば、玄関ドアから屋内までが蜘蛛の巣だらけだった。すこし怠けて横になっていると内股にまで蜘蛛の巣が架かるかもしれず、うっかり怠けることも出来ない。どうしたんでしょう?うんだあなあ、これじっちゃまおきんか。ぐううぐぐぐううう♪「幾山河越えて金婚良夜なり」って、あ、なかなかいい句ですねえ。ほんとになあ、金賞いただいただよ。金婚式やってねえ、それで詠んだの。あ、この白菜ね、アブラで軽く炒めると持ちがいいでしょ。ああ!美味しいです。そうかい。じゃあ、待っててね、包むから持って帰ってくださいな。やっぱりクマもだからさあ、里まで下りてくるだでよお、おなか空かして。うちんなかに居たりするから怖いねえ。このあいだはそこの神社に出ただよ。じゅじゅううじゅううがしゃがしゃぱっぱ。嗚呼、そんな沢山いいですよ。ええからいいから持って帰って。猪とクマとサルも出てくるみたいですねえ。そうだうちんとこの山道にはミミズがたくさん死んでました、あれもなんかの兆しですかねえ?お祭りみたいなモンじゃろかねえ。そうだ、そこに「廿三夜」って古い石碑建ってますが、あれはなんですか? アレか、お祀りするだよお、集まって二十三夜にお月様山に登るのまってね、夜中ぐらいに出るのお参りするのよ。アーそうでしたか。こどもが授かるって話有りましたねえ。うーん近所のおばさんたち集まってそうさねえ、このあたりでもしばらくまえにはやっておったみたいですねえ。ぢやあごちそうさまでした!!あ、中華饅頭はね、あんまんだけでいいですからねえ。ハイハイ了解。
あいにくと今夜は月齢27.6である。これからちょいと隣町まで行かなきゃならず、山もなかなか忙しい。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.20 17:05:04
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る